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ダムトンタイ工事が始まる建設予定地 |
昨年、太田国土交通相が本体関連工事早期着工を表明したので、今、川原湯温泉、代替地はどうなっているか関心があり1年半振りに川原湯温泉に行ってきた。今やっているのは「足湯」、共同浴場の「玉湯」だけで観光客はまばら、土産物店、食堂、旅館は基礎部分を残し、跡形もなかった。
昭和27年に計画が持ち上がり、激しい反対運動が繰り返された。生活再建案、振興対策案など推進され関連工事が始まったが、民主党政権で「八ッ場ダム建設中止」が決定、「コンクリートから人へ」の政策の代表に上がったが、今度は「建設中止反対運動」が展開され、平成23年前田国土交通大臣が「建設継続」を表明、昨年太田国土交通相が「早期着工」を表明した。
時の政権に翻弄され尽くした八ッ場ダム建設事業だった。
5月25日、天候もよく新緑も楽しめると期待して、国道145号を中之条方面から川原湯を目指した。吾妻渓谷入り口信号でうっかりして国道145号BD(付け替え道路)に入ってしまったが新設の雁が沢トンネル手前で現在の国道145号に戻った。
八ッ場ダム本体建設予定地では、業者の現場作業所も出来、関連の試掘工事をやっているようだ。期間は平成26年4月1日から平成32年3月31日を表示されていた。ダム完成は平成32年になるのか。
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工事中の湖面1号橋
全長494m、高さ74m
標高583mに青い線 |
30人ほどのツアー客がガイドの案内で見学していた。
この付近の吾妻川には水が流れていないので以前工事が終わっていたトンネル放水路(?)を通して流しているのだろう。実際に見てみようと瀧見橋入り口に行くとチェーンが張られて通行止めになっている。
対岸の遊歩道へ行こうとしたが、ここも通行止めだ。
あの瀧見橋からの新緑、紅葉の美しい景観を見ることは出来なくなったのだ。
遊歩道の案内板に「自然を大切にしましょう」と記されていたが「国土交通省よ、お前が自然を壊しているのではないか」と言いたくなる行為だ。
JR川原湯温泉駅に近づくと、建設中の湖面1号橋を見上げることが出来る。全長494m、高さ74m、標高583mのところに青い線が入っている。ダム満水時の水位だ。この高さだと全部の旅館が水没する。一番奥の高い場所にあった牛乳屋でも少し高い場所に工場を新設している。
川原湯温泉街へ向かってみた。あの有名になった土産物店も撤去され基礎だけ残っている。郵便局はまだやっているようだが移転するのだろう。美容室のなくなっていた。
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露天風呂で人気のあった聖天様も
閉鎖 |
安く入浴できた聖天様(露天風呂)の入り口も6月30日で閉鎖と書いてある。昨年のことだろう。
旅館と言えば「やまぼし」「ゆうあい」が建物としては残っている。「ゆうあい」で窓が開いていたので覗くと男性が掃除機を操っていた。最後の掃除でもしているのか。
○○様ご一行の歓迎板が掲げられたままだ。最後に書いたのは何時だろうか。
更に上っていくと観光客がまばらだ。「足湯」と共同浴場の「玉湯」のお客さんだ。
この辺は以前は3~4軒の旅館があり川原湯温泉の中心街だったろうが、今は基礎がのこり駐車場だ。
嘉納治五郎の別荘地跡も水没し観光地でなくなるのだ。水没はこの辺の歴史までけしてしまう。
川原湯の代替地でもある打越に上がってみた。
立派な和風の建物が目立ちだした。1~3号橋建設など生活再建案が軌道に乗っているのだろう。余りのも立派な民家に驚くばかりだ。
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共同浴場「玉湯」の移転先
周りはまだ整備中 |
区画も道路も未だはっきりしないが、「お福&まるきや」の土産物店も営業を始めている。水辺(?)の方には共同浴場の「玉湯」もできあがっている。
あの有名になった湖面2号橋(不動大橋)を渡り、「道の駅八ッ場ふるさと館」に立ち寄ってみた。
八ッ場ふるさと館で事務の人に「いつから始まるんですか」と聞くと、「今秋からです」という。やっとダム本体工事に取りかかることが出来るのだ。
不動大橋の真ん中辺まで行って下流を見渡した。
遠方に工事中の湖面1号橋(仮称)(完成後は八ッ場大橋)、右手に川原湯温泉、新川原湯温泉駅が見える。目下には国道145号、JR吾妻線が見下ろせるが、満水後は水をたたえた湖面だ。どう感じるのだろうか。
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不動大橋から下流の臨む
この景色は全て水没だ |
ご多分に漏れず、心配事も解決していない。
両側とも急峻で地滑りの心配があるのだ。資料を見ても○○沢という名が多い。砂防ダムも多い。満水にすると地下水位が上がり地滑りの危険は拭えない。
そしてこのダムの必要性も疑問視する意見も多い。過去の予測を鵜呑みにして巨額な投資を強行する政治に何とも言えない違和感を覚える事業なのだ。
「自然を大切にしましょう」の看板が哀れだ。
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八ッ場ダムの構造 |