笹井さんは、それでもSTAP細胞の存在を信じるのか。「STAP細胞は必ず再現してください」と言い残して死を選んだが、その前に今回の論文疑惑にしっかり答えるべきではなかったか。責任の重さを追求され、疲れ果てての行為だったのだろう。ノーベル賞に近い男と言われた人材を失った損失は計り知れない。
あの華々しいSTAP細胞論文発表記者会見とは打って変わってのネット上で広がった疑惑には驚いた。世界的な科学誌Natureに掲載された論文でこんな事があっていいのかと疑問が高まったものだ。
理研内や外部の研究者等の検証で「ES細胞ではないか」「ES細胞とTS細胞の存在」「緑に光る現象は細胞が死ぬときの現象ではないか」などの疑惑と共に、第三者による再現実験は一度も成功していないことから「STAP細胞の存在」に大きな疑問が出て来た。
理研は意地になってSTAP細胞の検証実験を始めた。その中間報告が間近に迫っている。
そして、STAP細胞の不正の深層を解明したのがNHKスペシャル番組だった。
番組の中で論文を検証した研究者は「こんな事があり得るのか」、「もっと調査していればこんな事にならなかった」、「もしこの事実を共著者が知っていたらこの論文のストーリーはなりたたない」など辛辣なコメントが続いた。
しかし、一方で内容は別として論文の体裁をこれほどまで整えたのは「さすが笹井さん」と絶賛されていたのも事実だ。笹井さんの存在があったからこそNature誌に掲載されたのは事実かも知れない。
4月の弁明記者会見では、STAP細胞は私の研究ではない。若山さんの研究室での仕事、自分は一時のアドバイサーだったと言ったことに責任逃れではないかと批判が集中した。
私も疑問に思ったことは、画像に多くの疑惑が出て来ているが、笹井さんは本当にその画像、その出所について小保方さんを追求していなかったのか。自分も共著者として名を連ねるのであれば、そこのところもしっかり検討しなければならない責任はあったはずだ。
更に、小保方さんはこれらの画像について笹井さんにどう説明していたかだ。特に説明していなかったとすれば、「うっかり(?)」とはいえ笹井さんを騙したことになる。
その点を笹井さんは言い逃れとも思えるが「直属の部下ではなかった」ので実験ノートなどを見せろとは言えなかったという。笹井さんともあろう世界的な研究者がハーバード大の看板にひれ伏していたのか。
笹井さんの今までの実績を汚すような事態がSTAP細胞の研究をひっさげて登場した小保方さんと知り合ったことから始まった。
こう言う論文不正行為をどう防止するか。NHKスペシャル番組でも言及していた。
常に不正防止を考えていなければ防止は出来ないという一方で、組織がプレッシャーをかけるようなことがあれば防止は出来ない。組織の風土の問題だという。
背景に理研の思惑があり、それがプレッシャーとなって不正行為が起きたと考えると、その背景にはSTAP細胞の特許の問題があるし、理研と文部科学省が進めていた特定国家研究開発法人での認定の問題だ。そのためにNature誌への掲載が急がれたのだ。
今回のSTAP細胞論文不正事件は小保方さん、笹井さんの責任も大きいが理研という組織の問題でもある。
成果主義、任期制の研究者などブラック企業まがいの理研の風土を替え、日本の科学界の失墜した信用を回復させるためにも理研の改革が急がれる。理研が身勝手な改革を進めるのではなく、日本学術会議主導の改革をすべきではないか。
今は笹井さんのご冥福を祈るばかりだ。
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