2018年6月7日木曜日

G7 シャルルボア・サミット:政治、経済で遅れる日本の存在感は?

読売新聞 2018.6.7

G7 カナダ・シャルボア・サミットで日本は存在感を高める事が出来るのか。サミット発祥は第一次石油危機での世界経済の混乱に対応するため日米英仏伊で始まったが経済では日本は後れを取り、今回の主要テーマは政治問題になりそうだが世界政治への日本の存在感は薄い。

G7での日本の立ち位置は危うい。

先に開かれたG7財務相・中央銀行総裁会議では米国が保護主義、関税貿易で攻勢をかけていることに対し6ヶ国が猛反対で6vs1の構図になった。

G7そしてEUの結束にも亀裂が入りつつあるのだ。日本はアメリカべったりだから米国の関税貿易にも強くは言えない。こんな事では5vs2(アメリカ、日本)という事にもなりかねない。

世界銀行の18年度経済成長を見ても全体が3.1%だが、日本だけ1%の低成長で世界経済をけん引する力など無い。先の伊勢志摩サミットでは安倍総理は「世界経済の危機」を訴えたが賛同する首脳はいなかった。

一方、政治課題は山積しているが、これもトランプ大統領が震源だ。

イランの核合意から離脱し制裁強化するという。また在イスラエル大使館をエルサレムに移転するという。シリアの対アサド政権対策、これらは中東和平に支障を来す結果になる。

そして対北との米朝会談だ。完全「非核化」へのプロセス、日本が抱える拉致問題、制裁にもかかわらず中国、韓国は北と公海上で瀬取りをしている違法行為への対応などテーマになるだろう。「圧力より対話」は欧州首脳の意向だが日本は制裁強化の圧力をかけてきた。米国が対話路線に進めば日本は蚊帳の外になる。

G7=G6+1の日が近づいているが日本は存在感を薄くするばかりだ。こんな事が続くと中国、ロシアが隙を見て強引に入ってくる可能性もある。G7で世界を動かす時代ではなくなってきた。

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