経済財政諮問会議で4人の民間議員が、先に「法人税下げでも税収増」を提言したかと思ったら、今度は「脱デフレなら税収増」を提案するらしい(讀賣新聞2014.3.18)。法人税下げに前のめりの安倍総理を援護する提言を続ける。
讀賣新聞によると民間議員は、アベノミクスの効果で景気が回復し、黒字企業が増え法人税収が増えると、その一部を企業に還元するために法人税を下げろというのだ。デフレ脱却が実現すれば法人税を下げても税収増になるらしい。
だから、法人実効税率35%から25%程度まで下げろというのだ。
19日の経済財政諮問会議で提言すると言うからまだ、詳しいことは分からないが、「○○ならば○○」式の提言に疑問を感じる。そんな事だったらエコノミストでなくても言える。
実効税率1%下げれば4700億円の減収、10%なら4.7兆円の減収になるのだ。恒久的税率だから毎年税源をどうするか知恵を絞らなければならない。社会保障費の減額、財政支出の削減が考えられるが政府の人気取りもあってうまくは行かないだろう。今までの安倍政権を見ていれば明らかだが、しばらくは国政選挙がないから不人気の政策もやってしまうかもしれない。
ところが、デフレ脱却で景気が回復すれば企業も増収になり法人税を下げても税収増になるのだそうだ。
単純には、5兆円以上の税収増が必要になる。
先に提言した「法人税を下げても税収増になる」提言は海外の事例を挙げての提言で、我が国では、橋本内閣の時に法人税下げは税収減になった過去がある。海外で成功したのは同時に課税対策も十分にやっていたからではなかったか。
ところで、デフレ脱却は出来るのか。
日銀は、2年程度で2%の物価上昇を目指し、今年の1月末は1.3%で順調に2%へ向かっていると言うが、揺らげば躊躇なく政策調整すると黒田日銀総裁は言う(朝日新聞2014.3.15)。しかし民間エコノミストはこぞって2%達成を否定している。
安倍総理もよく言うことに「法人税が高いから企業は海外へ出て行く」という。でも、これはまやかしらしい。3月4日の参議院予算委員会で自民党の西田議員が示した資料「海外進出をする理由」によると、トップ3は、「海外の需要の増加」「国内需要の減少」「取引先企業の海外進出」で、「円高の影響」「人件費」「FTA」が続き、最後の方に「法人税などの税負担が重い」が位置する。
「法人税が重い」は経団連のお決まりのおねだりだ。自らは何もせずに消極的な経済界が一応言ってみようの感じではないか。
以前、国内需要喚起で前川レポート、21世紀版前川レポートが出されたが、企業の儲けを家計へ再分配することで企業側が抵抗し少しも進まなかった。企業ってそういうものだ。人件費は削っても内部留保に精を出し280兆円を越えているらしい。
今、アベノミクスの効果を確かなものにするために安倍政権は企業のベースアップを要求し、連合顔負けの圧力をかけているが、津々浦々まで手に届くのは何時のことやら。
景気の回復、企業の儲けと言うが、今は株高、円安の効果であって内需拡大までは行っていないし、物価上昇も円安による輸入物価高による好ましからざる現象ではないか。
そして、4月からの消費税増税を機に50%以上の人が支出を減らすと答えているし(讀賣新聞2014.3.17)、増税は重いと感じている(朝日新聞2014.3.18)
経済の舵取りは慎重に、国民が納得のいく政策を期待する。
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