安倍総理の評価はアベノミクスの成果と関連するのだろうが、いつまでアベノミクスを標榜するのか。アベノミクスの根幹は異次元の金融緩和で円高→円安、輸出の伸びで株安→株高で国内経済を活性化でき「第一の矢」、「第二の矢」、「第三の矢」で一見成功に見えた。
安倍総理は「アベノミクスは株価で評価されるとすることがわかりやすい」と言ったそうだ。上がった時は勿論だが、下がった時もわかりやすいと言うのだ(朝日新聞2014.3.23)。
では今の株価は高いのか、安いのか。過去のピーク3万円台だったことを考えるとその半ばの株価だが、民主党政権時に比べると高い。
安倍政権が目指す成長戦略もアベノミクスの第三の矢では期待外れで6月に見直し案が出ることになった。でも考えているのは同じ官僚だ。良い案があればすでに出ているはずだ。出ていないのは良い案がもうないからなのではないか。
「第一の矢」の思い切った金融緩和は、積極的金融緩和論者の黒田総裁を任命して2%の物価目標、2年で2倍のマネタリーベースを日銀は実行中だ。でも2年で2%の物価目標の実現は怪しい。
「第二の矢」の財政政策はよく分からない。1000兆円超の国の債務を抱えG20、IMFからも財政再建を要求されているが、震災対策、国土強靱化にかこつけての公共事業による景気対策を優先する余り、財政再建策は消費税増税に頼り国民に負担を強要する始末だ。
おまけに予算は付くが執行が滞り政策の効果が薄い。基金は官僚の利権の温床になっている。5兆4600億円の補正予算が使い切れないのに26年度予算が成立した。財務省は「早く使え」と言うだろうが簡単にはいかない。「おカネが余っているのか」と疑問が残る。
「第三の矢」の成長戦略は成長分野で好循環の経済を狙っているが官僚による既得権益の岩盤は固い。ダボス会議でその岩盤にドリルで穴を開けると安倍総理は公言したが、国際公約を守れるのか。
税収は減るのに「法人税下げ」に前のめりで、経済財政諮問会議は「法人税下げでも税収増」「脱デフレならば税収増」と安倍総理にヨイショする有様だ。
円安で輸出増というが数量は微増でも円換算で増加している有様、決してアベノミクスの好循環ではない。
そういう事もあってか、一見成功(?)に見えたアベノミクスで安倍政権に楯突く者が自民党内にいなかったが、ここに来て自民党の総務会や出身派閥の町村派からも安倍政権の政権運営に異論が出て来た。集団的自衛権の行使問題も相まって圧倒的多数の議席を保っている自民党にあって安倍政権も盤石ではなくなってきた。
頼りにならぬアベノミクスとなると安倍総理の命運も尽きる。
確かにアベノミクスは海外ファンドの日本買いのきっかけを作り株安→株高基調へと変わってきたが、為替は101~104円、株価は14000~15000円台で足踏み状態だ。
アベノミクスより欧州、米国経済状況、国際情勢が大きく為替、株価を動かす。日銀は量的緩和で市場にカネを流し続けるが為替はそんなに動かず、好循環の物価上昇も覚束ない。
アベノミクスに「さようなら」し、安倍政権を厳しく評価すべきではないか。
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