2015年2月3日火曜日

国連か、米主導の有志連合か:安倍総理の「テロに屈しない」と言う日本の立ち位置は

2015.2.2
民放テレビニュースより
邦人2人の「イスラム国」による殺害で名指しされた安倍総理は「テロリストを絶対許さない。その罪を償わせるため、日本は決してテロに屈しない」と言い国際社会と連携していくことを強調するが、日本の立ち位置は国連なのか、米国の主導による有志連合なのか。

湯川さん、後藤さんの殺害は私たちに大きな衝撃を与えたが、落ち着きを取り戻す中で今回の「イスラム国」人質殺害事件の検証も始まった。

国際社会とどう連携するのか。2日の朝日新聞、読売新聞でどの機関、組織が中心になるのか調べてみた。2つの新聞で記事の中に出てくる国連、有志連合が上げられている箇所は国連が6カ所、有志連合が9カ所、国連は声明を発表している以外は特に対応策は出ていない。一方有志連合は60カ国が参加し米国、フランスが主導でシリア、イラクの空爆を実施しそれなりのダメージをイスラム国に与えているという。

国連は声明だけで、事務総長が「イスラム国などに捕らえられている全ての人質の無条件解放を求める」と言うし、国連安保理は「イスラム国は根絶されるべきでありイスラム国が信奉する不寛容、暴力及び憎悪は撲滅されるべきだ」と言う非難声明が2日の未明発せられた。

人道支援としては国連難民高等弁務官だった緒方さんのように難民と寄り添う心が大切だという。

そんな声明以外にこれと言った動きは国連にはない。国連の弱体化がこういった無法国家の拡大を招いているのではないかと思う。

一方、米国を中心とする有志連合の結束は揺るぎないと言う。今回の人質殺害で連合によるイスラム国掃討作戦が早まるのではないかとみられている。

更に19日には、米国主導の対テロ対策「暴力的過激主義に関する国際会議」がワシントンで開催される予定で外務大臣が出席し各国と連携するという。

国際社会で有事の時は国連ではなく、相変わらず米国頼みの対応が続くのだ。

一方、集団的自衛権、安保体制などに前向きな安倍総理であるが一挙には行かないようだ。

国会審議で自衛隊出動、後方支援は考えられず、中東への人道支援を徹することが日本としての責任を果たすことになるというのだが、その人道支援が安倍総理の記者会見の表現でイスラム国に誤解を与え今回の人質殺害に至ったとみられているのだ。

一方、菅官房長官は定例記者会見で、有志連合の空爆には協力しないが、テロ撲滅の支援策は国連でも決議しており、その選択肢の中で対応する方法もあると言う意味の発言をしていた。

国連の一員としてあるいは有志連合の一員として人道支援に力を入れることになるのか。

思えば、あのブッシュ大統領の時のフセイン政権壊滅の結果が遠因になっているようだ。大量破壊兵器、化学兵器か生物兵器か忘れたが、米国は隠し持っているという主張するもフセイン政権は持っていないと対抗した。隠し兵器の発見に努力するも発見できず、国によっては「隠し持っていないのではないか」と見たが、米国は譲らずフセイン壊滅作戦に出た。大きなフセイン銅像が倒される画面が放映され、最後は出身地近くの地下に隠れているところを発見された。

当時、フセインがいるために部族、宗派間の不満も抑えられているが、フセインがいなくなれば国内のまとまりが付かなくなり混乱すると言う意見もあったが、その通りになった。

ノーベル経済学賞受賞のクルーグマン教授は「戦争は算数の苦手な指導者がやるもの」で、当時ブッシュ大統領は費用も安くて済むと思ってフセイン壊滅作戦に出たが、大きな損失を負うことになったのだ。

米国の主張も簡単に信じてはいけない。

そして段々、いろんなことが分かるようになってきた。

後藤さんがシリア行きを申請したとき、外務省は3日にわたって止めるように説得したが聞き入れられなかったという。

大使館機能もヨルダンに移し、退避勧告の地域へ後藤さんは何故、危険を顧みず飛び込んでいったのか。最後は3人目のガイドに騙されて人質に売られたという。後藤さんの方にも落ち度があったことは確かなようだ。

国境線の安全な側には既存のメデイアがおり、危険な側にフリージャーナリストが入り現状を報告する。そんな構図になっていたのではないかと思うが既存のメデイアの報道だけでは不足だったのか。

3日の新聞には「喜んでくれる人がいる限り危険でも行くのだ」という人たちの声が載っている。価値観の違いに頭が下がる思いだ。苦しく、危険な生活でもあるが会った時にニッコリ笑ってくれる人がいることはその人の大きな財産なのだ。分かる気がする。

私も一度、「恵まれない子を救へ」という考えに賛同し募金したことがあるが、そういうおカネが本当に困っている人たちにどのぐらい渡っているのか分からないというニュースが流れ止めた。開発途上国ではおカネを分配するシステムの構築が遅れており、ピンハネされる機会が多いという。

安倍総理は今回2億ドルもの大金を人道支援すると言うが、確実に末端の困っている人たちに行き届けて欲しいものだ。権力者のポケットに入っていっては困るのだ。


0 件のコメント: