今、日本の株価19000円、円レート122円は日銀の追加緩和、年金基金運用のGPIFへの期待感と安心感から14年ぶりの高値と円安になっているが、こんな期待感と安心感で動く市場に支えられた日本経済の現況に浮かれていていいのか。
12日の国会予算委員会での民主党・細野さんは、27兆円に上る公的マネーに期待し高値を付けているのは不健全ではないかと安倍総理を追及した。投資家の動きを見ても個人投資家は売り越し、海外投資家は買い越しから売り越しへ転じたが、今、信託銀行が買い越しているという。年金運用なのだそうだ。
一部エコにミスとも何時、株安、円高に転じるか警戒を強めているようだ。海外ファンドの「日本売りがいつ始まるか」なのだ。
日銀は消費の落ち込みによる景気下支え、2%物価目標達成に向けて追加の量的緩和を決めたが、日銀が量的緩和で市場から国債を買い上げているが、欧州では「国債はリスク資産」と見られ銀行の規制強化に向かうらしい。
その動きを受けて、日銀・黒田総裁は先の経済財政諮問会議で特に発言を求め「国債はリスク資産」について言及したが、その議事録にはこの発言が削除された。政府にとってみれば国債下落、金利上昇は絶対避けなければならない事態であり国民には知られたくない情報なのだ。
政府も日銀もデフレ脱却が至上課題で2%物価目標を掲げ、2015年に達成させると見えを切った岩田副総裁、黒田総裁も辞任し責任をとる代わりに達成年度に含みを持たせる発言を繰り返した。
マネタリーベースも2年で2倍、270兆円を市場に流すという。
日銀の誰かは忘れたが地方での講演で2%物価目標にむけ追加緩和も辞さないと発言している。
本当に2%物価目標の達成は重要なのか。そして、際限なく市場におカネを流すように見える量的緩和が必要なのか。景気が下向くと追加緩和をする。それが消費拡大、設備投資に結びつき経済の好循環をきたせばいいが悪循環の要因にもなる。
今の株高は円安による輸出産業の伸びとともに、内需産業にも波及しているという。でもどこに需要があるのか。モノづくりでの変化が出てきているのか。
欧州でのデフレ危機、景気停滞でECBも9日から量的緩和で国債を買い上げ市場におカネをながし、低金利で個人消費増、設備投資を促すという。
ところが、FRBが金融政策正常化に向け、何時利上げをするかタイミングをはかっているのだ。利上げすれば今まで開発国に流れていた緩和マネーが米国に戻ってきてドル高、円安、ユーロ安が問題になってくるのだ。
ドル高、円安の動きは今後も変わらない。今、一時122円台になったが121円台後半だろう。もうそろそろ円高に向かうはずだというエコノミストもいるが、そう言われながら122円だ。
自民党が政権奪還をかけた衆院選で、「今、円高なのは市場に流れているおカネの量が少ないからで、おカネの量を増やせば円安になる」と新人候補者まで街頭で訴えていた。そうだろうと有権者も思い、「やっぱり自民党か」ということで自民党が圧倒的議席を得た。
日銀も政府と同調しリフレ派の総裁、副総裁が任命され異次元の金融緩和を打って出た。77円ぐらいだった円レートが100円を超え、今122円だ。輸出産業を中心に業績が伸びてきたが、輸入品の高騰は国内経済で物価高の悪循環を招く結果になった。
やっぱり今の円安は行き過ぎという。民主党政権の時、菅財務相(当時)が適正円レートを聞かれ90円台半ばと答えて顰蹙を買っていたが、100円~105円と言われている。
企業によっては一部国内生産に回帰する動きも見えるが、基本的には現地生産の方針に変わりはなくいつまで続くかは分からないが、新卒者の内定率もよくなっているし、失業率も3.5%で戻ってきた。
「アベノミクスの効果」が国会で議論された時、野党がマイナス効果を主張すれば安倍総理は別の経済指標をもちだしてプラス効果を主張する。与野党ともに同じ経済指標での議論をしないからいつも議論は平行線で終わり、政策の改善はない。
非伝統的金融政策である量的緩和も劇薬、毒薬だ。
日本も金融政策の正常化に向け量的緩和の縮小に向かうべきではないか。日銀は1000兆円を超える国、地方の借金にたいし財政健全化を訴えている。日銀の量的緩和を財政ファイナンスと見られることが多くなったためだ。
市場がそう思ったときに「日本売り」が始まり、国債下落、金利上昇、日銀をはじめ金融機関の経営悪化で日本経済は奈落の底だ。日銀が潰れることはないだろうが、経済財政諮問会議でも「日銀の経営にも注視しましょう」という発言があった。
今の円レート、株高は連動していないともいうが、米国での株価の変動が直接日本株に影響する。海外投資家が7割を占めるのだから仕方ない動きだろうが、日本の株主のように長期に保有しきぎょうをそだてるような意思はない。その時その時の売り買いで収益を上げるのが海外ファンドだ。
我々の老後の助けになるはずの年金基金が海外投資家の考え一つでぶっ飛んでしまう危険にもさらされている。
安倍さんは、自民党大会で「三本の矢」は間違いなく成果を挙げている。この流れを変えてはいけないと述べ、「日本の夜明け」を確かなものにするという。
それならもっと真剣に野党との審議に当たったらどうか。他人任せの真剣さに欠ける経済運営に見えて仕方ない。
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