やっと理研理事長の野依さんが辞任するという。文科省が進める「特定国立研究開発法人」懇談会での笹井さんの言う“尖った”、野依さんの言う“トップダウン”の研究機関が本当に必要なのか。世界三大不正事件とまで言われるSTAP細胞不正事件を起こしながら外部の研究機関の忠告にもかかわらず早々に幕引きをしようとした背景には特定法人の指定問題があった。
辞任と言ってもその意向を文科省に伝えたというのだ。
誰だってSTAP細胞事件での責任を取ってと思うが、そうではなく高齢であること、STAP細胞事件も一段落し組織改革について外部有識者による評価が公表される見通しになったので辞任するというのだ。
STAP細胞での理研の対応には専門家の間でも批判が多い。「STAP細胞はES細胞」との結論になったが、小保方さんは混ぜてないと言うし、他の研究者もやっていないという。原因者、動機が不明なまま小保方さん単独の不正行為として「懲戒解雇相当」の処分を出したが、既に退職しているので実質的効果はない。
これに異を唱えた理研OBの石川さんが小保方さんを刑事告発した。更に理研も刑事、民事両面で小保方さんに責任を求めるかどうか検討するらしい。
これ以上突っ込むと理研自体のあることないことが表沙汰になるのを嫌っている節もあるが、早々と幕引きを図ろうとする背景には特定国立研究開発法人の指定問題もあるようだ。
これに指定されると人材を集めるため国家公務員を上回る給与が支給されるし、課題解決型の目標設定が出来るメリットがあるらしい。野依さんは設立に向け文科省と二人三脚で走ったという。成果主義は野依さんの考えとも合うのだ。
平成22年3月の文科省の「国立研究開発法人(仮称)制度のあり方に関する懇談会」の資料によると笹井さん、野依さんが出席し構想を述べている。
それによると、笹井さんは“尖った”科学的優位性と人材育成による、急成長分野における国際競争力の強化が必要であると言う。指定法人を2~3に絞れというのか。
更に、野依さんは国の研究戦略について、組織としてトップダウンで研究開発を実施できる体制を持ち世界水準の研究開発システムを構築することを目指すべきだという。
平成22年というとSTAP細胞研究を当時の若山研究室で始めた頃だろうか。良いことを言っているようだが、STAP細胞で若い未熟な研究者に騙されたとは皮肉なことだ。トップダウンで秘密裏に研究を進めたことが不正の原因であったことは分かっている。
笹井さんも野依さんの成果主義に迎合したのだろうが、STAP細胞不正事件では人材の育成など基本を忘れていたことになる。
理研のみでなく、日本の科学界の信頼を大きく失墜させた責任は野依理事長にあると誰でも感じることであるが、自らは報酬の1/10削減、3ヶ月で果たしたと思ったのだろうか。広報の記者会見でも既に処分は終わっていると言った。
それなのに今、辞任の意向を伝えたという。
高齢を理由にするのであれば、3期目を辞退すれば良かったのではないか。そして今の理研がSTAP細胞不正事件の反省から生まれ変わったとは誰も思っていないはずだ。
この辺で野依さん自身が辞任しなければ世間が納得しないと考えたのではないか。年間840億円の予算を使っているのだ。野依さん一人の我が儘は聞けない。
科学者として政治的に動きすぎ、STAP細胞不正事件への対応を誤ったことで晩節を汚したことになるのだ。
もっと早い辞任が出来なかったのか。
そして、特定国立研究開発法人など必要なのか。ノーベル賞候補までは行かなくても日本全国で地域に密着した立派な研究をやっている科学者は多い。そういった研究者を発掘し予算を付け応援する制度の方が良いのではないか。
今国がやる予算化もその分野の権威者に配分を任され、恣意的な配分が横行しているというニュースを読んだことがある。これからの成長分野へ優先的に予算化し効率を上げるのも良いが、今のようなシステムを見直すことも大切なのではないか。
科学の研究に○○村なんて必要ないのではないか。官僚、国会議員、研究者の利得権益に走ってはならない。
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