2015年3月8日日曜日

東電・福島第一原発汚染水:汚染水処理を加速か、タンク増設計画推進か

凍土壁工事
報道特集 TBSテレビ 2015.3.7
東電・福島第一原発の汚染水は汚染水処理の加速か、タンク増設計画の推進かにかかっているようだ。もう処理は相当進んでいるのかと思っていたら、今も汚染地下水は300トン/日出ており、原子炉建屋付近の井戸から地下水をくみ上げ浄化した後、海に放流する話し合いの矢先、2号機建屋屋上で汚染された雨水が排水路を通じ海に出ていたことを東電が1年以上も隠していたことで地元漁業者の反感を買い、信頼関係を崩し頓挫してしまった。

テレビ報道や新聞で敷地内に林立する汚染水タンク群を見ると唖然とすると共に汚染水処理がうまく行かなければ敷地内保管が行きつまり、打開策は海洋放流しかないことになるのではないか。

そうなれば海洋汚染、風評被害でこの地の漁業は壊滅だ。世界からも批判が集中するだろう。しっかりした基準を決め、海洋投棄(外洋放流)の可能性を模索していかなければならないのではないか。

今、新聞報道によると敷地内のタンク容量は80万トン(2015年3月末)に達しているという。更に体育館撤去、資材置き場転用で10万トン分の容量を確保したらしい。

それでも一日300トンの地下水の汚染水が出るから1年分の保管しか出来ないのだ。

ALPSという処理設備を設置したではないかと思っていたが、なかなかうまくは稼働しないようだ。試験運転始めたと思っていたら不具合で停止という記事を見たことがある。事故当初、いち早くフランスから処理設備を購入したがとんでもない代物でほとんど役に立たなかったようだ。

こういった処理設備がうまく稼働しない要因に設置する場所の放射能汚染濃度が400~700マイクロシーベルトと高い環境にあり防護服などを着ての作業、運転は困難な状況ではないのか。

放射能汚染がなく、防護服を着なくても作業が出来る場所で十分な維持管理の下で運転することも考えた方が良いのではないか。

読売新聞(2015.3.6)によると主な汚染水対策が載っている。

山脇の井戸からくみ上げた地下水は昨年5月から海に放流、原子炉建屋近くの井戸からくみ上げた地下水(サブドレン)を浄化して海に放出することで建屋に流入する地下水は4割減る予定だったようだが、漁業関係者との協議がこじれたようだ。

海側遮水壁の780mのうち770mが設置済みで汚染水の海洋流出を防げるという。

問題は凍土壁だ。建屋周囲の土を凍らせて地下水の流入を遮るのだが建屋周囲には配管などが埋設されており冷却液を通すパイプの打ち込みに支障があるし凍るどころか溶けるのではないかという心配もあるが、凍土壁工事には345億円かけ3月には一部凍結を開始するらしい。

でもこの工事は地盤学者からも異論が出ていたはずで政府、東電は巨費をかけてどうして強行するのか。トンネル工事の止水しか実績がない工法を広域の遮水に応用する是非が問われるのだ。

批判の多い工法を強行するのにはゼネコンなどとの利権が絡んでいるのではないかと疑う。

廃炉計画にも重大な支障が出る福島第一原発の汚染水処理だ。ALPS などで処理を加速しても処理水にはトリチウムは残ることになることを考えるとタンク増設計画を進めるしかない。

タンク増設計画も海洋放流をしなければいつかは行き詰まるのではないか。


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