安倍総理は自民党の第82回定期党大会で、黄昏から新しい朝をむかえた「日本の夜明け」を確かなものにするために統一地方選を結束して勝ち抜こうと党員に訴えたが安倍政権で出来るのか。夕暮への道を歩いているようにも思える。
安倍総理は、経済はマイナスからプラスに転じ経済も好循環しているし、国民の生命、平和を守るため安全保障法制の整備に取り組んでいることを強調していた(自民党第82回定期党大会 安倍総裁「統一地方選を勝ち抜こう」より)。
確かに経済は円高、株安基調が変わった。一見アベノミクスの成果が出ているとも思える。
安倍総理の経済政策は、今まで冷や飯を食っていたリフレ派を取り込み、従来の経済政策とは180度転換した金融政策で円レートは70円台から100円を超え今121円台、株価は8000円から19000円を超した。
安倍総理、リフレ派、メデイアはアベノミクスの効果と囃し立てるが、著名な経済学者には批判的な人もいる。民主党政権末期には市場はマイナスからプラスに転じる動きがあったと言うのだ。
アベノミクスの成果として好転した経済指標を安倍総理はまくし立てるが、津々浦々までの波及は遅れている。それを知っているので安倍総理は地方経済の底上げに言及するも、地方に仕事が少ない、人口減が続く事もあって難しい。
当初トリクルダウンと言って富裕層、大企業が儲かれば貧困層や中小企業にその恩恵が回ってくるとみていたが、減税も法人や富裕層向けの政策で終わりそうだ。
消費税増税、好ましからざる物価上昇に対応するために財界に賃上げを要求、ベースアップ交渉も4000円,5500円と好調のようだ。良い人材を確保するには待遇の改善が必要と経営者の考えも変わってきた。「経費の切り詰めはまず人件費から」と従来の姿勢で経営は成り立たなくなってくるのは良いことだが、中小企業まで波及するか。
安倍総理が入れ込む積極的平和主義も集団的自衛権行使容認の閣議決定を急ぎすぎた。自衛隊法改正、安全保障法制化が待ち受けているが、集団的自衛権については朝日新聞(2015.3.17)の世論調査では52%が反対で33%の賛成を上回った。
日本国内ばかりでなく周辺国がどう思うかだ。国民の安全、生命を守ると豪語するが周辺国の対応次第では国民を危険な状態に近づかせているとも考えられる。
領有権、歴史認識でも70年談話とも関連し近隣国の中韓からも注目されて、度毎に牽制されている。懇談会の座長は「侵略戦争を認めること」と発言しており、安倍総理の意の向く談話が出せるかどうか。
それらとも関連し憲法改正に向け国民の議論を進めるという。「日本国憲法があって今の日本の繁栄がある」、「第9条があるために日本は国際社会で信用されている」という考えはどうなったのか。メデイアの言論を牽制しているように思える安倍政権で国民はしっかり議論出来るのか。
天皇や皇太子が日本国憲法に関連した発言をしておられるが、今一番日本人的な考えではないかと思う。
また、1000兆円を超える借金を抱えた今、財政健全化は重要な課題であるが、2020年までに黒字化は難しくなった。経済財政諮問会議では2020年黒字化を他の指標で表現出来ないかと提案された。どうも逃げの手を打っているようだ。
経済成長と財政健全化は経済再生の両輪だと安倍総理は言うが、経済成長→税収増→財政健全化を目指しているのだろうが消費税増税に頼らなければならない状況に変わりは無い。
2%物価目標も原油安などで実現が遅れそうだ。日銀は景気下支えのために追加緩和も辞さないと考えているようだが、マネタリーベース増も2年で2倍の270兆円に達するらしい。
そんなに市場にカネを流してどうするんだと心配になる。
更に、欧州では「国債はリスク資産」と見なされ、保有する銀行を規制強化するという。黒田総裁はこの動きを受け、経済財政諮問会議で発言したが、議事録ではこの部分が削除されていたという。政府は国債下落→金利上昇は避けなければならないと思っているが赤字財政を支えるのは日銀が買い取ってくれる国債しかない。
財政ファイナンスは海外でも注視され始めたし、日銀の政策決定会合でも財政ファイナンスに対する発言が出て来た。
そして、一番心配なのは「強権政治」だ。
政府の政策に反対するメデイアを牽制する。メデイアの情報番組では政府にヨイショする発言が多くなっているのか。NHKの籾井会長の「政府が右と言えば右」発言が批判されているが、民放はどう考えているのか。
ポスト安倍の候補が見えなくなった。時々週刊誌で自民党OBが安倍政権に楯突く発言をしているが、こういった人たちが絶滅危惧種と揶揄される時代になった。
こういった安倍政権を国民はどう考えているのか。朝日新聞(2015.3.17)の世論調査を見た。
安倍政権の支持率は「支持するが46%」で「支持しない」の33%を大きく引き離しているが、支持する人たちの内でその理由を聞かれ、「安倍さんだから」が14%、「政策面で」が44%、「何となく」が17%で何も安倍さんでなくても良いらしい。
「これからも安倍内閣を支持する」が49%、「そうとは限らない」が47%、安倍さんの支持も危うい状況だが、それでも自民党を38%のひとが支持し、民主党の8%を大きく引き離している。
「驕れる安倍総裁は久しからず」だ。
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