今回の安倍総理の訪米は歓迎されたように見えるが、一方で宿題も大きすぎないか。始めて安倍総理が米・上下両院合同会議で演説でき厚遇されているように表だっては見えるがビジネスライクのオバマ大統領を喜ばせるためにはそれなりの宿題も大きいのだ。
4月29日の念願の上下両院合同会議での演説「希望の同盟へ」では、戦後の日本は先の大戦に対する痛切な反省を胸に歩みを刻んだ。その事実から目を背けてはならないし、女性の人権が侵されない世の中の実現に努めるという。
でもこの演説には米国は歴史認識に相当気を遣ったようだ。演説内容は事前に根回しされ、上院外交委員会で「安倍総理は歴代首相の歴史認識を維持すると繰り返し述べている」と決議したそうだ。
更に驚くのは今年初めから安倍総理自ら上下両院合同会議での演説開催を働きかけていたという。読売新聞(2015.5.10)の「訪米の舞台裏」を読むと、1月19日中東歴訪中に自らジョン・マケイン上院議員ら7人に「議会で演説させろ」と語りかけたそうだ。キーマンでもあるベイナー下院議長にも働きかけたという。
米国だってタダでは動かない。ロビー活動は1回1000万円とも言われている。相当な運動費がかかったことは想像出来る。
おまけに演説内容の事前チェックだから内政干渉に類する卑劣な外交をやったことになる。
案の定、米メデイアは安倍総理に厳しい論調を浴びせた。
オバマ大統領との会談は歓待されているように演出された。今までは会談しても直接顔を合わせようとはせず、記者に促されて「そうか」と笑顔で握手する光景だったが、今回はにこにこ顔のオバマ大統領から握手を求めてきた。
公式の晩餐会でもオバマ大統領、安倍総理夫婦揃ってバルコニーで手を振っている姿を見ると国賓並みの待遇だ。リンカーン記念堂にも案内されたという。
ホワイトハウスの記者会見では「SHINZO」と4回も呼び親近感を示したそうだが、中曽根さん、小泉さんの時も如何に呼び合うかが重要なのだろう。
ビジネスライクのオバマ大統領に歓待されたのだから、持って行った土産以上に大きな宿題も抱えて帰ってきたことになる。
自衛隊と米軍の協力関係を一層強化する安保法制は、今夏までに実現すると約束してしまった。野党は一斉に国会で一度も審議していないのに国際公約したことを国会軽視と批判する。
関連する10本の法案を1本に纏めて一括提案するそうだが、国民に説明しやすい、騙しやすい項目は表に出し、余り知られたくない事項を隠す姑息な手段に出ているようだ。国会で野党が如何に問題点を摘出できるかが注目だ。
辺野古移設問題では、翁長知事が「反対していると伝えてくれ」と言ったことを伝えたが、辺野古移設が唯一の解決策との姿勢は崩していない。工事が進んで反対運動で血を流すようなことにでもなれば政権は終わりだ。
TPPは、安倍総理とオバマ大統領のリーダーシップで早期妥協を目指すと言うが、既に内容は決まっており、「交渉がうまく行っていないように見せているのは演出だ」という説も流れている。
AIIBは透明性の確保が重要なのは分かる。中国の覇権主義を考えると無理して参加する必要は無いと思うのだが、商売のことを考えて参加しろという意見もある。でも今までの政治、経済での中国の行動を見ていると中国がリーダーシップを取ることは協力することは危険である。
ガイドラインも日本がかなり大きな役割を果たすことになりそうだ。
対中関係では尖閣列島は日米条約の適用範囲で、一方的な現状変更に反対という。安倍総理と習主席との会談では少し和やかな雰囲気になったと言うが中国の牽制はやんでいない。一触即発の事態になれば米国がどう動くか。民主党政権時、習さんが日本を訪れたとき小沢さんが「次の主席は習さんだから天皇と会見させろ」とごり押ししたが、こんな習さんだったのか。小沢さんは今どう思っているのか。
安倍総理は自分の地位を盤石なものとするためにはオバマ大統領との関係強化が重要で、従来のような冷えた関係でダメと悟ったのだろうが、オバマ大統領は全てビジネスライクだという。
一見歓待されたように見えるがお土産と同時に宿題も大きいのだ。国会をどう乗り切るか。NHKの国会中継で監視しようではないか。
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