今国会の衆院予算委員会を見ても軽減税率の効果、財源で相変わらず安倍総理vs野党のかみ合わぬ論戦だ。いつも平行線で終わるが、同じ指標、データでの論戦が出来ないのか。安倍総理、野党がそれぞれ自分の主張を正当化するデータを使っていては話が交わることはない。結局は議席数で優位の自公が押し切ることになる。
12日の予算委員会で民主党の玉木さんが軽減税率の財源1兆円の行方、軽減税率の効果について質問した。
玉木さんは年収別の軽減税率比率で年収300万未満世帯が1割、500万以上が6割というデータを示し「年収500万以上の方に約6割のお金が行くわけだが、そのような制度をやらなければならないのか」と高収入者優遇の制度になっていることを指摘した。
これに対して安倍総理は軽減税率で大切なことは消費に占める割合だと言って1500万以上の世帯では15%、年収200万未満では30%だから低所得者の方が恩恵にあずかっていると反論した。
玉木さんはそのほかに1世帯当たり200万円未満は年間8000円、1500万以上は年間18000円の効果があることも指摘していたが安倍総理は自分の論法では不利とみて無視する始末だ。
安倍総理はこのデータをどう評価し、政策の見直しの必要があるかどうかも説明すべきだったと思う。
又、軽減税率の財源1兆円のうち、未だ6000億円分の手当が付いていないが、本格的検討は参院選後に先延ばししたが、その思惑は見え見えだ。
安倍総理は税収増分を考えているようで経済財政諮問会議でも検討していると言うが、経済財政諮問会議は安倍総理のYESマンの集まりで議論したことにはならない。以前、少子化対策で財源をアベノミクスの成果に求めたが、麻生財務相はアベノミクスの成果は中長期計画に織り込み済みで別の安定財源を探せと主張していた。
今回も麻生財務相は景気の下振れも有り安定財源ではないと財務省の考えを主張していたが、安倍総理も麻生さんの考えは財務省の考えと言い訳していた。麻生さんは答弁後、席に帰り何やらブツブツ言っているのがテレビの画面に映ったが閣内不一致を呈したか。
最近新聞は実質賃金がマイナスに転じていることを伝えているが、民主党が安倍政権で実質賃金が下がっていると指摘した。
それに対して、安倍総理はパートに出る人が増えて平均賃金は下がったと説明したが、安倍家を例にパートで25万円を挙げたことがネットで批判を浴び「妻がパートで25万円」とは言っていないと弁解する始末で、テレビ朝日の報道ステーション(2016.1.12)によると11日のフランスのルモンド紙も安倍さんの説明には説得力がない。とりわけ彼が挙げた数字が現実と乖離していると伝えた。
海外メデイアにも「現実と乖離している」と指摘される恥ずかしさが安倍総理の答弁には目立つ。自分の主張に都合の良いデータ、事例を作って何の検証もせずに国会で主張するので真剣に論戦を挑む野党にとっても責めにくい相手ではあるが、同じデータ、資料できちんと政策の是非を議論すべきである。
国会の論戦が平行線をたどるニュースを見る度にこんな総理は必要無いと思う。
安倍総理は自公を支持してくれる国民に取って総理であるが、野党を支持する国民に取っても総理なのだ。
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