新興国、中国経済の減速、原油価格の下落などで株高、円安から株安、円高に基調が変わったように見えるが、量的・質的金融緩和で経済構造を変えようとする人為的政策の末路ではないか。
何故、2年という短期に2%消費者物価上昇を目指し、「物価の動きによっては間髪入れず追加緩和も辞さない」と言う意味の発言を黒田総裁は繰り返している。だから市場は物価上昇に支障が出れば追加緩和をするだろうと期待する。
しかし、先の決定会合でも露わになったが打つ手も限られてきて「補完的措置」で逃げるしかなかったのだ。いろんな手があるのだろうが、国債購入には限界が出て来た。
海外の専門家は2%物価目標は短期目標ではなく、中期目標でやるべきだとの指摘が多い。
日銀の政策決定会合でも木内委員は「中期目標でやるべきだ」と提案しているが、1vs8でいつも否決されている。
技術的問題で「2018年の問題」が出て来ているが、私は安倍総理の任期、黒田総裁の任期からも2018年が節目になるだろうとみているが、それ以前に解決すべきではないか。
新聞報道によると、黒田総裁はダボス会議で「政策手段が限られているとは思わない。2%という物価目標に向け、あらゆる手段を講じる」と強気の発言をした。出口戦略の「で」の時も言わない黒田総裁は更に「日米欧で同時に金融緩和から方向転換すると新興国に与える影響はより大きくなっただろう」とも発言した。
本当にそうなのか。FRBは世界経済の状況から次なる政策に躊躇しているとも言う。
経済政策は予め実験できないから難しい。
以前、速水総裁の時に政府の反対を押し切って金融政策の正常化に向けゼロ金利を止めたことがあるが、案の定経済は停滞したために元の戻した苦い経験が日銀にはある。
更に質的・量的金融緩和の見直しをすると言うこと、物価目標の見直しをすると言うことは、即アベノミクスへの不信に繋がり安倍政権がぶっ飛ぶことになるので日銀としては口に出して言えないことだ。
だから何を思ったのか、総理と同じように経済界に「賃上げ」を要求する。黒田さんは「金融政策では限界だ」と言っているのに市場は更なる追加緩和を期待する。
そんなにジャブジャブ市場にカネを流してどうするんだ。市場はアベノミクスではなく世界経済の状況で動き、日本経済もその影響を受けているのではないか。確かに一時は効果があった(?)ように見えるが今、海外ではアベノミクスは評価されていない。アベノミクスの成果と言っているのは国際会議に出席した日本の閣僚であり、日銀総裁だけだ。
今後の経済指標の動きにもよるが円高、株安は避けられず、2%物価目標達成も調整すべきではないか。
日銀は政府と手を切って出口戦略に付いて市場とコミュニケーションをとり金融正常化へ進むべきではないか。
金利も上がるだろう。でも預金金利が上がることは高齢者にとっては利子も付き消費に回す金額も多くなるはず。低所得者に特別給付金3万円を支給するという姑息な政策は必要ない。
金利が上がれば企業の設備投資に影響するというかもしれないが、今は巨額の内部留保がある。それを崩して自己資金でやったらどうか。企業家によっては「需要があれば借金してでもやる」という気概のある経営者もいる。
もし、中小企業がカネを借りにくいと言うことになれば、低利の融資をする制度を整備すれば良いことではないか。
法人税を下げ海外からの日本進出を誘っているが経済財政諮問会議でもうまく行っていないという。一度海外へ進出した生産設備を国内に戻すことは円相場との兼ね合いがあり直ぐには方向転換は出来ない。
国内での人口減、市場規模の縮小を考え海外でのM&Aが進んでいる。日本を主導するトヨタが自動運転技術の開発のためにシリコーンバレーに200億円投資して企業を興すという。政府の方針に逆行しているのではないか。
アベノミクスが期待したトリクルダウンも今の企業経営者には期待出来ない。
トヨタは企業業績も上がっているので部品供給の関連会社にコストダウンの交渉に入るという。
逆ではないのか。あれほどの高収益を挙げているトヨタなのだから部品供給会社に適正な価格を支払い下請け会社に余裕が出来れば従業員の賃上げに回す。それが本当のトリクルダウンではないか。
日銀も難しい金融政策を要求されているが、政権に惑わされてはいけない。政策決定会合で本来の議論をすべきだ。
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