宜野湾市長選が終わってみると、政府介入が「地方自治の本旨」に反しているのではないかと疑問が出て来た。辺野古移設反対が勢いづくかどうか、注目していた宜野湾市長選は普天間移設賛成派で政府、与党の支援を受けた佐喜真さんが反対派の志村さんを破って当選した。
新聞による選挙結果は、投票率68.72%、佐喜真さん27,668票、志村さん21,811票、佐喜真さんは辺野古移設賛成派だが、辺野古移設には特に言及せず、普天間飛行場の「1日も早い閉鎖、返還」を主張、政府、与党の支援を受けた。
一方、反対派の志村さんは翁長さんの支援を受け二人三脚で移設反対を訴えた。
所謂、政府vs沖縄県の代理戦争の様相を呈したのだ。
政府はアメを与え続けた。菅官房長官はデイズニー・リゾートを持ってくると言う。更に3市町村には県を経ずにカネをばらまく懐柔策も採った。政府の何でも出来るという強権を見せつけたが、安倍政権のやりそうなことだ。
でも、地方共同体の長の選挙に中央政府がアメで介入することが良いのかどうか、憲法が保障する「地方自治の本旨」とは何か。考えなければならないのではないか。
憲法の教科書の地方自治の説明に、国の民主政治の基礎で地方が治まって始めて国全体が収まる。地方の政治は国の政治の根源で、政治の民主化は地方政治の民主化からというのだ。
中央の政治より地方の政治の法が頑強だとも言う。中央の政治が民主党政権に変わっても地方は従来のままという例は多かった。
今回の宜野湾市長選はどうだったのか。
憲法92条は地方自治の原則を謳い「地方自治の本旨」に従い地方公共団体の組織、運営の関する事項を法律で定めるという。
しかし、「地方自治の本旨」については特に規定されていない。
法律書では、地方自治の概念は「民主主義」の概念と「地方分権」の概念との結合によって形成されるという。地方自治=住民自治なのだ。地方の行政は住民自治と団体自治との2つの要素を結合せしめ、原則として官庁の関与によらないで地方民が構成員たる団体を通じて、地方民自らの手で処理せしめようという要請を意味するという(憲法Ⅰ 清宮 法律学全集 昭和32年9月)。
如何に政府が辺野古移設を推進しようとしても政府が宜野湾市長選に裏で介入することは憲法の趣旨からしても好ましくない。
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