アベノミクスの達成が要求される首相官邸 |
経済財政諮問会議を見ていても、政権がやりたい政策を予め諮問会議に諮ってお墨付きを与えるだけで、今まで提言した政策をPDCAで検討、見直ししている形跡は全くない。
これでは「言うだけの経済財政諮問会議」だ。
専門家も政策への是非は論じても対案がない。官庁のように十分な情報を持っていなければ仕方ないことであるが、だからこそ担当官庁がしかり検証すべきなのだ。
ところが「官僚の文化」は、一度決めたことはドンドン予算化しやり遂げることにある。担当者が変わっても途中で計画を変更することはない。万一変更しようものなら官庁からバッシングを受け、本人は二度と仕事をもらえなくなる。長期に渡る事業では完成時に無用の長物になったとしても完成させることに官僚の意義があるのだ。
アベノミクスにしても本来の3本の矢も十分な検証なしに新しい3本の矢を放ち、「経済の好循環」を実現しようとする。おまけに「第2ステージに入った」と目くらましの言葉を使う。
安倍総理が主導した「2%物価安定目標」、脱デフレも日銀が異次元の量的・質的金融緩和、追加緩和をしているにもかかわらず達成は難しい。専門家は80兆円の買い入れを継続することに「限界がある」と指摘するも黒田総裁は「限界があるとは思っていない」という。
今年後半に2%物価安定目標達成を目指しているが巷の専門家が指摘する難点をどう切り抜けようとしているのか。あわや経済指標の書き換えでも狙っているのか。
FRBの金融正常化に向けた利上げが決まったが、市場は織り込み済みであり、イエメン議長も慎重に上げていくと言っているように市場への影響は極力少なくしているようだ。
しかし、日銀の出口戦略はどうなっているのか。出口戦略を言い出す時期では無いと思っているのだろうが、そうはいかない。市場にカネを流した結果、企業の内部留保は320兆円に達し、預金も200兆円を超えるという。
政権は設備投資、賃上げに持って行きたいようだが民間企業は「はい分かりました」とは言ってくれない。内需拡大策を狙って今まで前川レポート、21世紀版前川レポートが提言されたがいずれも頓挫した。その要因には企業が儲けを家計に再分配することを嫌がったことにある。
黒田総裁も賃上げの必要性を以前から訴えているが日銀総裁が賃上げに言及することに驚く。
どう見ても、政権、日銀共に「打つ手なし」の現状ではないか。だとしたら今までの経済政策をしっかり検証し国民に本当の姿を示すべきだ。
参院選を控えて政権は強気の自民を主張するが、野党はモタモタ感を拭えない。メデイアもそういう論調になれば、多数の有権者は「やっぱり自民しかないか」と言うことになるし、18歳まで選挙権が下げられた結果240万票も「政治の責任を考え自民か」と言うことになれば自民が圧倒的に強い。
でも、そこはしっかり検証すべきである。
アベノミクスなど政策を批判すれば政権は恫喝したり、牽制する動きに出るだろう。そこが政権の弱点とみるべきなのだ。「批判する前に対案を出せ」とはどの政権も言うことだが政権は批判に対してしっかり応える義務がある。
私たちは政権が目標に向かって着実に動いているかどうかを判断することだ。
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