2016年1月22日金曜日

激安ツアーから規制緩和を考える:「安心、安全」は個人の責にあると言うことか

規制緩和された後の激安ツアーから見えることは、安全は個人の責任と言うことか。バス旅行社も認可制から許可制への規制緩和で4500社を数えるまでになり当然に業界内で競争が激化、今回の激安ツアーの転落事故から安全は個人の責任と言うことが分かった。

規制緩和を議論するときに監督官庁は「国民の安全安心の確保」から規制緩和に反対したはずだが、「反対者は抵抗勢力」と見なされ国民から批判を受け渋々緩和に同意したのだろう。

その結果は新規参入者が増え事業に疎い企業も参入することが出来た。案の定、社内管理体制も緩く、あらゆる面でコスト優先、安全後回し、従業員処遇の悪化になり、最後は今回のような結果が起きる可能性が大きくなった。今回事故に関連した旅行社、バス会社の社長がテレビの前で殊勝ンことを言っていたが、日常は「コストカット」、「無理しても受けろ」がまかり通っていたのではないか。

小泉内閣の時、タクシー業の規制緩和を実施、多くの参入者が出たためにタクシー運転手の収入は減る結果になったが、その是非を問われた竹中さん(規制緩和を推進した者)が、「タクシー業を規制緩和したから多くの失業者を出さずに済んだのではないか」とコメントしていたのには驚いた。仕事を失った人たちをタクシー業界が受け入れた結果、失業者が顕著にならなかったのだ。

そのタクシー業界の規制緩和も不備な点が出てきて今は規制をする方向にあると言う。当時も支障が出ることを警告していた専門家もいたが、実績を出したい政府の勇み足になったのだ。

今、その規制緩和がどうなっているのか。諮問機関などから政策の提言はあったが、既得権益者の業界や官僚の抵抗でうまくいっていないことは時々新聞で見る。農協の改革は一つの成果だろうが、自民党は農業従事者の票田を失ったと見られているがどうだろか、参院選を注目だ。

また、強引に規制緩和をやって既得権益構造を崩しても新たな既得権益構造が出来上がり規制緩和の効果が発揮できない事態に至ることも懸念事項である。

政府は「産業競争力強化法」を制定し、企業に実験的に規制緩和を認める「企業実証特例制度」も盛り込んだが、規制緩和、事業再編、設備投資で実効性が上がっているのか。

経済界にさじが投げられた格好になっている。「法人税を下げろ」「規制緩和を進めろ」と経済界は繰り返すが経済界自体どう考えているのか。おねだりばかりする経済界にうんざりだ。

楽天の三谷さんが、薬のネット販売の規制緩和を要求したが、国民の安全を盾に厚労省の抵抗に逢い思うようにいかなくなって審議員を止めると駄々をこねたが後に撤回した。自分の事業に利益誘導していると批判が高まった。厚労省の「国民の安全。安心を守る」ことは大事な点だ。

自由競争だから良いことばかりがいっぱいだろうと思うが、規制緩和後でも生産性向上ははるかに低く、逆に資源の浪費になることも考えられる。

逆に最近のLCCを見ると生き残りも大変だ。ピーチの経営者が確かテレビ東京の「ガイヤの夜明け」に出演し経営の話をしていた。低価格になったのは全従業員が3年の契約社員で人件費を抑えたこと。客室乗務員がいろんな仕事を兼務し効率を挙げていることらしい。

でも航空機の整備などはJALやANAに依頼することしかできないので会社自体が安全を維持しているとは言えない。そこまでの態勢は無理なのだ。

規制緩和を進めるべきであるが、規制改革で忘れてはいけないことがある。

規制は本来市場(業界)で何らかの不都合があったために、国民の財産、身体の安全を考えて規制が始まったのではないか。それを無視して規制緩和をやることは本末転倒だ。勿論監督官庁が既得権益者になってはいけない。

規制緩和も正しい方向で実施すべきである。


そして、何はともあれ「安心、安全確保は個人の責務」だ。その教育が大事になる。

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