市場は追加緩和への期待を細め、日銀は量的緩和への限界で両者のアベノミクス離れが始まれば脱デフレ、2%物価安定目標達成もままならない現状だが、それなりに日本経済も安定に向かうのではないか。2%物価目標が良いとは限らないのだ。
今まで、日銀の政策決定会合が近づくと市場が追加緩和を期待するニュースが流れたが、今回はどうか。日銀も2%物価安定目標達成時期を17年度から18年度に先送りの可能性も匂わす。
前回決定会合で日銀は「量的」から「金利」に重点を変えたがその効果も定まらない。逆に銀行経営に支障を来す見方が増えてきた。何時も国民は銀行の不祥事、経営難に振り回されている。地方銀行は大幅に数を減らすという予測も流れているが、そうしたらどうなのか。
OPECの減産調整が出来ず原油価格の値下げから物価は上がらないと言っていたが、今度減産することになり原油は値上がりを始めた。そうすると消費が低迷すると言い出した。
金融緩和も超低金利では副作用が目立ち出す。正統派経済学では低金利下では金融政策は効果が薄いと言われていたのだ。
白川元日銀総裁時代は、徐々に量的緩和を実施し物価は取り敢えず1%を目標に達成すると更に上を目指す政策をとっていた。ところが市場に出回るカネが少ないから「円高だ」という主張が出回り、民主党政権末期の野田政権でも日銀に量的緩和を求めていた。当時要職にあった前原さんが決定会合に乗り込んだこともある。
しかし、言うことを聞かない白川さんに日銀法改正を匂わせて政策の転向を迫った。任期一杯で交代する審議委員にリフレ派を選任した結果、白川さんは任期を残して去って行った。
後任にリフレ派の黒田総裁、岩田副総裁が就任し、「2年で2倍、2%」の語呂で、2年でカネの流通量を2倍に、2%物価安定目標を目指すという。未達なら責任をとって辞任すると岩田副総裁は豪語した。併せて言い訳はしないとも言った。
ところが、今は言い訳だけで居座り続けている。間違った金融政策は大学で教えれば良いじゃないかと言いたい。
一方でゼロ金利脱出も大変だ。速水総裁の時の苦い経験がある。「良し」と思って利上げに進んだが景気は後退し直ぐさまゼロ金利に戻した。その時政府は反対していたのだ。
政府は景気重視だから景気が悪化する政策には強く反対する。金融政策は日銀の仕事なのだ。
アベノミクスの第一の矢の金融政策が失敗ならアベノミクスは終わりだ。財政出動、規制緩和だけではアベノミクスの姿はなくなる。経済財政諮問会議で民間議員が3本の矢は別々にするのではなく、3本を束ねて使うのだと言い出した。でも1本が折れれば後の2本は覚束ない。
今から「アベノミクスを加速する」と言われても「何故だ」と問いかけたい。国会審議で野党は「アベノミクスの見直し」を追求するが政府は頑と受け付けない。
アベノミクスの破綻は安倍政権の終わりなのだ。更に自民党は総裁任期を3年延ばし安倍総理の延命を図ることを目論んであるが、経済政策で答えることが出来るのか。
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