2017年11月30日木曜日

大企業の安全、品質意識の劣化:原因は経営者の業務になっていないことか

大企業の安全については経営者に「業務上」の予見可能性を裁判所が認めないことにあるのではないか。更に多発する品質捏造については社長など経営者が日常業務としてタッチしていないのだ。

驚く程の大企業の不祥事が続く。榊原経団連会長の出身企業東レの子会社も会長が在任中に品質不正をやったという。どうしてこうも品質、安全について不祥事が発生するのか。いつものことだが責任は現場にあり、社長は記者会見で謝罪するのだ。「知らなかった」と。

神戸製鋼、日産、スバル、三菱マテリアルそして東レ子会社の品質管理での不祥事も現場だ。国の立ち入りや内部告発でばれてしまった。中には製品の提供を受けた企業からの問い合わせで品質の捏造が分かった例もある。

現場では分かっていても一歩現場を出ると何をやっているのか把握が出来にくいのだ。

企業毎に代表的製品の製品規格は決まっているが、ユーザーからの特殊な品質を要求される場合が多い。それ毎に製品規格をルールに従って制定後出荷していては時間がかかりすぎる。

そこで「特認」が始まる。製品規格を外れるがユーザーの要求には合っているのだ。

そもそもISO9000番シリーズなどでの品質は社内ルールに従って制定し製品になる。新規なものはPDCAで改善していく。関係者は営業、製造、品質、その他必要に応じて他の部門も加わるが、本社は事業部長だろう。でも事業部長が自ら検討はしない。認め印は営業関係者が打つのだ。

だから社長など経営者が関与することはない。不祥事の責任は工場の関係者がとらされる。

安全も同じようなものだ。JR西日本の宝塚線の事故、福島第一原発事故も大きい事故では社長などの責任が問われているが裁判では「業務上」で日常の仕事ではないし、予見性を求めるのも難しいと言うのが裁判所の判断だ。
だから企業の経営者が責任をとらされることがないから一向に事故は減らない。現場担当者段階で終わるのだ。

ところが今、中央道・笹子トンネル事故で、社長が業務上過失致死傷で書類送検されたという。下請け関連会社の社長だろう。予見立証が問題だ。

安全は勿論だが、世界で日本企業の有意性は品質にあったと言うが今は地に落ちているのか。

名誉挽回には社長など経営者が品質にも最大の責任をおわすべきではないか。

社長が安全、品質で責任をとらされることになれば企業のあり方も変わってくるはずで、安全、品質確保にはもってこいだ。


裁判官の社会性が問われる。

2017年11月29日水曜日

森友学園疑惑:国有地格安払い下げで財務省は安倍総理を見限ったか

ついに、財務省は安倍総理を見限ったか。大阪地検に民間人などが告発し受理されているために捜査は近畿財務局にもおよび財務省も安泰ではなくなった。張本人の安倍総理は「監督官庁のやったこと」と自分の責任を逃れようとする。そんな安倍総理を忖度することは出来なくなったのだ。

国有地の格安払い下げ問題であれだけ資料は廃棄したために「わからない」と言う答弁を繰り返していたが、政府、財務省は音声データの所在を認めた。

よくは分からないが、近畿財務局の職員が認め、昨年3~4月には国土交通省大阪航空局の職員も同席したらしい。9月に関西テレビが報道した。

国会では野党が安倍政権の追及に四苦八苦している間にメデイアが追求の端緒を作った。

財務省も困っているのだ。「分からない」を連発した佐川元理財局長が国税庁長官に栄転したことから納税に支障が出て来たらしい。納税者が猛反発しているし税務職員も困っているのだ。

そして、国有地が大阪航空局の所有だったために石井国土交通相が創価学会の婦人部から猛反発を受け公明党の政権与党の立場も厳しくなってきた。

更には、消費税増税問題もある。財務省は増税を望んでいるが、安倍政権は経済への影響を重視する。折角拡大基調になったのに増税すると停滞も予想されるのだ。財政再建と財政出動は相反する政策で両輪ではない。

森友学園、加計学園疑惑で安倍総理は一層窮地に立たされたことになる。傲慢な政治手法が命取りになるか。



2017年11月28日火曜日

横綱・日馬富士暴行事件(2):喧嘩両成敗で日馬富士関、貴の岩関は引退を

暴行事件があったことは確かだが関係者の事情聴衆も出来ぬままに事態がおかしくなってきている。このままでは事態が悪くなるばかりだ。ここは横綱・日馬富士は引退、貴の岩は事実の説明が出来ないのであれば引退、貴乃花親方は理事解任、八角理事長は混乱の責任をとって辞任すべきではないか。

こう言う場合は関係者が責任をとること以外に収拾は難しい。

元を正せば角界のモンゴル村の諍いだ。原因が何だったかを正す必要もあろうがその調査が出来ないことがこじれる発端になっている。しかし、国技と言われる角界での出来事で公益法人と言う事もあって蔑ろには出来ない。

関係者、被害者、加害者が本当の事を証言しないままにモンゴルの元小結、親兄弟が信憑性の曖昧なままの情報を流す。

テレビの情報番組ではすもう関係者が出演、昨日行われた横綱審議会委員も担ぎ出されて正当論(?)らしき発言をするが、日本相撲協会のやり方に不信感を覗かせる。

しかし、仕方ないのだ。理事であり巡業部長である貴乃花親方が、協会に言うと「正しい裁きが出来ない」と警察に駆け込んだのだ。協会の規則も破っての頑なな親方の態度が混乱を拡大している。現役時代の「ガチンコ勝負」とは関係がない。

おまけに警察と協会へ提出した診断書は内容が違う2通になっている。「事態の重大さに驚いた」医者もいるようだが、謎が深まる原因にもなっている。

テレビの情報番組は朝、昼、夕方とこの暴行事件を詳細に報じるがどういう意味があるのか。教育評論家は学校の「いじめ」と同じだという。学校、教育委員会の不手際が問題を大きくしている。

関係者も大変だ。あることないことが報じられるのだからたまったものではない。最近は真実と違うと否定する発言も出て来た。

こういうときは関係者は自分から処分を申し出た方が楽になるし、解決に向けて事態が改善する事もある。

日馬富士関、八角理事長は引責辞任するべきだ。貴乃花親方も理事を辞任すべきだ。残ろうとするから事態がややこしくなるのだ。白鵬関も厳重注意処分だろう。参加した力士も同じだ。


横綱・日馬富士は加害者だが引退すれば社会的制裁は受けたとして不起訴処分だろう。

森友・加計学園疑惑:それでも「安倍総理は間違っている」と言うことだ

それでも安倍総理は間違っていると言うことだ。加計学園獣医学部新設で文科省の学部新設の固い岩盤規制(?)に風穴を空けると戦略特区構想を持ち出して無理強いし既得権益者の代わりに新しい利権者が安倍総理の長年の親友であることは国民の常識、政治倫理からしてもおかしいのだ。

安倍総理は追求される度に、「丁寧な説明」「誰にも指示していない」とオウム返しだが、安倍総理の事だから誰も信じてはいないのだ。

時の政権のトップの名前を聞いたり、関係していることが分かれば官僚は誰だって忖度する者だ。しかも「指示した」「指示していない」なんて本人以外はだれにも分からないことだ。それを良いことに安倍総理は否定し続ける。

森友学園疑惑では財務局の格安国有地払い下げが問題だ。鑑定価格から8億円もの値引きをした根拠の是非が問われていたが、会計検査院はゴミ混入率、汚染土壌の量で疑問を呈したが、適正価格がいくらかは試算しなかった。

この会計検査院の報告と録音記録から今までの政府の答弁の整合性が求められることが分かった。民進党が3分裂したために追及の手が緩んだかに見えたがそうはいかないようだ。


でも安倍総理の政治家倫理を追究しても何ら恥ずかしさを感じていない人間には時間の無駄かも知れない。

浜田先生 アベノミクスは雇用が良ければそれで良いのか

リフレ派でアベノミクス導入の浜田先生が「雇用がよければそれでいい」と朝日新聞の「異次元緩和の行方」で発言しているが、アベノミクスの異次元の緩和は「2年で2%物価目標」ではなかったのか。黒田日銀が期待感を煽ったが6回の先送りで19年頃達成見込みとなった。来年消費税を上げれば又先送りか。

岩田副総裁などは就任記者会見で「2年で2%物価目標が達成出来なければ言い訳をせず辞任する」と啖呵を切っていたが、言い訳ばかりで地位にしがみついている。

専門家などは「アベノミクスは破綻している」と見直しを提案しているが安倍総理は「アベノミクスのエンジンを加速」して経済の好循環を目指すと言う。出口戦略について国会で聞かれたが「2%物価目標が達成出来ていない」と時期尚早を匂わせた。

そう言う強気の発言をする安倍総理だから日銀・黒田総裁が異次元の緩和策の見直しなど言及できるはずがない。

日銀審査委員でも慎重派が任期一杯で辞任した後は、リフレ派を補充している。

浜田先生は、元々のアベノミクスでは所得を増やしたり失業を少なくしたりするために物価目標を掲げるべきだと考えた。失業を少なく出来たのだから物価目標2%を実現できなくても黒田総裁を責める必要はないと言うのだ(朝日新聞2017.11.28 日銀の課題〈上〉)。

確かに市場にカネを流し企業が儲ければその一部を家計に再分配するトリクルダウンを期待していたが海外投資、内部留保に努め家計への再分配はままならない。当然のことで海外の著名は経済学者が「トリクルダウンなど未だかってみたことがない」と批判していたほどだ。

所得が増えていないのだ。寧ろ減っているという。可処分所得が減っていると言うことなのだろう。だから政府は賃上げ3%以上を要求し達成出来なければ優遇税制の適用を辞めるという。

一方、「失業を減らす」目標は達成しているように見える。有効求人倍率は1.52倍、雇用は185万人増えたという。でも内容はその中身で問題も多いのだ。

浜田先生は、以前、シムズ教授の「財政再建より財政出動」説に目からウロコが落ちたと新聞で発言されていたことがある。消費税増税などもってのほかなのだろうが、日本は財政健全化の政治課題を負っている。いろんな議論があるが国、地方合わせての借金は1020兆円にもなり対GDP比200%は先進国一の業績悪化なのだ。PBも改善できない。

公共事業、人作りなどに財政出動しても税収が上がらなければ赤字財政は続く。国の借金は増え続けるのだ。麻生財務相は経済財政諮問会議で「財政出動より民間出動だ」と言ったことがあるが財務省の考えを反映している。

学者は国の財政などに責任を持つのではないから好き勝手なことを言っていれば良いが政治家は責任を持たなければならない。消費税増税を安倍総理はどう判断するか。

もうアベノミクスを評価する人は安倍総理に群がるリフレ派のYESMANしかいない。

2%の物価目標はグローバルスタンダードだ。各国の中央銀行が目指していたが今では未達でも緩和縮小に向かっている。余り根拠のない数字なのだ。国会審議でも安倍総理は「2,3,4%といろんな数値が出ているが、1番達成の可能性のある2%を選んだ」と答弁していた。


次の日銀総裁は誰か。国会承認人事だから政府が誰を推すかだ。「もっと緩和を進めろ」というならリフレ派だろうが、出口戦略を考えるのであれば新たな人材になるノだろう。黒田総裁に責任をとらせるのであれば続投だろうが。

2017年11月27日月曜日

横綱・日馬富士暴行事件(1):うんざりするテレビの情報番組、いい加減にしないか

毎日のテレビ情報番組の日馬富士暴行事件報道にウンザリしないか。いい加減にしないか。公の電波を使って1日に何時間、同じような内容を流し続けるのか。たかがと言ったら批判も出るだろうが角界という器の中の争いだ。ここは喧嘩両成敗でけりを付けられないか。

勿論日本相撲協会の危機管理委員会などの調査が出来ない状況だから自浄作用に期待すること自体が無理なのだがこうもしつこく進展しないままに同じような内容を報道する価値があるのか。

今は被害者の貴の岩を親方の貴乃花が守っているために事情聴取が出来ず、加害者の日馬富士側の内容と関係者の証言が尾を引いた内容で解説され悪者になっている。

当初は強打事件でいろいろな器具が使われたと報道されたが、未だ本当の事が分かっていない。白鵬関も「ビールビンではない」というが、では何なのか言っていない。日馬富士関も平手で殴ったと言うが詳しくは報道されていない。

何を使ったかは暴行事件の重要な要素だ。詳しくは言えないのだろう。千秋楽での白鵬関が、これから本当の事を言うという。

貴乃花親方は被害者側であり、守らなければならないだろうが協会の理事だ。巡業部長としてそれなりの責任があるがこちらは守っていない。そこが大きなポイントだ。格好を付けているが組織の人間ではない。

組織から逸脱しているのだ。八角理事長との関係で何かあるようだが、そういう恨み言を持ち込んで公正な審判が下せるのか。

横綱白鵬関は、暴行現場にも居合わせ一部始終を見ていた責任は大きい。当然に真実を述べる義務があるが、どうなのか。「日馬富士、貴の岩関が再び土俵に上がることが出来るように」と言っていたが、事の重大性を認識しているのか。

この暴行事件は角界のモンゴル村で発生、元小結や横綱だったが暴行事件で引退した朝青龍も関係しゴタゴタが更に複雑になっている。

事件そのものは簡単だ。関係者がいろんなことを言い、被害者がノーコメントだから真実が分からなくなっているだけだ。本当に現場にいた関係者の供述から新しい事実が見つかるまでテレビの情報番組は報道を控えたらどうか。

確かに相撲は国技だから暴行事件は問題だ。しかも過去には新人が殺されたり、八百長事件、横綱の暴行事件と国技とはほど遠い不祥事が続き協会内にも危機管理委員会が設置されているが十分に役割を果たせない状況が続いている。

自浄作用のない協会が公益法人なんて笑いものだ。剥奪してやり直しさせたらどうか。国技も外国人に頼らなければ維持できなくなってきた。日本社会の危機である少子高齢化の弊害が出て来ているのだ。

関連記事
2017.11.19掲載
横綱日馬富士暴行事件:送検されても嫌疑不十分で不起訴処分か
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今日の新聞を読んで(122):小池劇場の「罪と罰」

今年の反省はまず第一に「小池劇場の罪と罰」だ。都民、国民の一時の期待を背負った「小池劇場」もメデイア、一部の都民の期待だけに終わりあっけない最後となった。今は小池知事がメデイアに登場するのは滅多になく、雑誌類も小池批判の記事が溢れている。

新聞報道によると、日本ばかりでなく、フランス、あのメルケル首相率いるドイツでも波乱含みの政局が続く。

そもそもあの「小池劇場」は何だったのか。何を小池さんに期待したのか。その程度の政治だったのか。

確かに直前までの都知事の行状は都民の反感を買う内容ばかりだった。石原さんは禄に登庁もせず側近による都政、パフォーマンス優先の都政だった。それが議会のドンと言われる存在を作り出し自民党の我が儘な都政が築かれることになった。

続く猪瀬さんは何を思ったのか徳州会にすり寄り政治資金疑惑を生み出した。議会の追求で鞄の中に5000万円を突っ込む様子が日本中に放映され赤恥をかいた。追及が厳しくなるとみて知事を辞任した。

そして舛添さんの登場だ。国会では自民党に反旗を翻し立ち位置がはっきりしなくなった。でも都知事選でも自民党の支持がなければ当選も覚束ない。参院選のようには行かないのだ。出馬会見が延びたのも自民党との関係があったからだ。

しかし、舛添さんが知事になってみて、あれほど批判していたオリンピック関連もあっけなく同意してしまった。数多い外遊も豪遊で税金の無駄遣いが批判され、自分の政治とカネ問題ではそのケチ振りが大きな批判となって辞任せざるを得なくなった。

今までろくな知事が出ていないのだ。

そこを小池さんはうまくついてきた。国会では自らの立ち位置が分からず不遇だったが、「東京大改革」を掲げて今までの知事達を敵に回して出馬したのだ。
自民党の公認を得ようとしたが自民都連との関係が悪く一人、「がっけぷし」の出馬となった。女性や都民の一部は「弱い者虐め」と映り判官びいきが始まった。小池さんもその点を強調する言動が続く。

都民第一を「都民ファースト」とし会を立ち上げた。「都民ファーストの会」だ。これが母体となり知事選を戦った。都知事選は人気投票の傾向もある。知事が無能でも7割方は都庁官僚がしっかりやってくれる。

自分の人気と誤解した小池さんは国政への進出も考えた。「国民ファーストの会」と言い出した。しかし国政進出はそううまくは行かない。政策? 地方組織? 政治資金? 東京都という地方から全国区へ支持が広がるのか。

折しも民進党から生き残りをかけ合流話が持ち上がった。前原さんは「それしか民進党の政策を遂行する」手段はないと思ったのだが、小池さんと考えが違っていた。前原さんは全員合流を考えていたが小池さんは第2民進党になる事を恐れて「排除します」発言が飛び出した。

小池さんの側近は、「さきがけ」が民主党と合流するとき竹村元官房長官を鳩山由紀夫さんが「排除」したことを例に挙げ進言したらしい。男の世界では通用しても女の世界では通用しなかった。「小池さんは嫌いよ」が一挙に小池人気を捨て去ったのだ。

結果は惨めで、50人の当選者のうちほとんどが旧民進党出身者、それでも比例区1000万票は小池さんの人気と考えていたようだが、直近の葛飾区議選では5人の候補者を出したが1人のみの当選でしかも旧民主党出身者だった。

こうなったら覚悟しなければならない。「希望の党」代表の辞任だ。創業者の責任を主張していたが「何らかの形でサポート」すると言わざるを得なかった。

都知事はまだ、都の官僚がしっかりしているからゴタゴタさせていても70%は何とかなるが、国政となるとそうはいかない。党体制もはっきりせず、政策も第2自民党、そして小池さんの人間性もはっきりしてきた。

小池離れだ。

「悪さ加減の少ない者」は誰だ。小池ではなかったのだ。政治に万一はないだろうが自民党公認での増田さんが都知事に当選していたらどうなったか。

議会改革は出来なかっただろうが、オリンピック関連のゴタゴタはなかっただろう。豊洲移転も計画通りに進んでいただろう。東京都から日本を変えることはどうなったか。

増田さんは東京一極集中を批判していた。年寄りは地方に帰れという。そんな事で東京の将来はどう描いていたのか。

やっぱり都知事選は人気投票なのか。「悪さ加減の少ないこと」が選択基準なのだ。



2017年11月26日日曜日

今日の新聞を読んで(121):福島第一原発事故対策で何が出来、何が出来ないのか

2011年3月の福島第一原発事故から約7年、何が出来て何が出来ないのか。襲った津波は15.5mだったが東電の想定は5.7m、事故前に福島沖で巨大地震が起きれば15m程の高さの津波が襲うと試算されていながら十分な備えをしていなかった東電の責任を国際原子力機関(AIEA)が報告した。

巨大津波で非常用電源を失い原子炉冷却が不可能になった結果、メルトダウンを起こし、あってはならない放射能汚染事故を起こす結果になった。炉底溶融で冷却水は汚染し高濃度汚染水の処理は最優先課題になった。

事故後すぐに来日したのがフランス大統領だった。何をしに来たのかと思ったら高濃度汚染水の処理設備を売る話しに来たのだ。日本は何が何でも汚染水の処理は最優先で処理設備を購入したが、これがうまく動かない。役立たずの処理設備だったのだ。その後も処理設備の不具合が続く。

当時、300~400トンの汚染水が発生し、それをタンクに貯める処置をとった。簡易なボルト締めのタンクでは汚染水が漏れる事故が多発し、溶接型のタンクに替えたという。当時汚染水の漏れ事故が毎日の新聞に載る程だった。

驚いたのはそのタンク群の多いことか。何とタンク群の敷地が限界に近づくのではないかと言われたほどだが今はどうなっているのか。

2014年3月の原子力改革監視委員会は1番大きな問題は汚染水対策であり、40年かかる廃炉作業を担う人材の確保だと指摘した。

確かに真夏でも防御服を着て被曝量に追われながらの作業員の確保は難しい。作業に慣れた頃には限界被曝量で現場から離れなければならなくなる。全国から作業員を掻き集め、中には被曝量を誤魔化す事態にもなった。

汚染水対策は、原子炉建屋から出る高濃度汚染水を削減するために建屋周りに遮水壁を設け建屋に入る地下水を遮断する方法が検討された。その策として凍土壁が検討された。冷却管をめぐらせ地下の土壌を凍らせるのだ。当然賛否があった。

専門家の京大・嘉門先生などは「いろんな方法があるから組み合わせて作ってはどうか」と提案したが、国や東電は凍土壁を採用した。凍土壁は土木工事で局所的に遮水する工法であると思っていたが、これほど広範囲の遮水は珍しい。

当然に四苦八苦した。完全には凍らないのではないか。地下水が流れると部分的に解けるのではないか。でも一応完成(?)し320億円かかったというのだ。カネに糸目をつかない国策事業だ。

でも新聞報道では流入地下水量は300トンから200トンに減り100トン以下にするそうだ。

現在の汚染水タンクは800基、100万トンに及んでいる。専門家は「汚染度の低い処理水を海洋投棄しろ」と言うが、漁業関係者は魚の汚染を心配し拒否する。

一方、廃炉作業に向け溶融炉底の状況を確認するためにロボットでの試験が行われている。なかなか難しいらしい。

40年廃炉計画に向け作業員確保は大丈夫なのか、そして汚染水の処理は。



2017年11月25日土曜日

今日の新聞を読んで(120):黒田総裁!「2%物価目標」修正を急げ

日銀・黒田総裁! 「2%物価目標」見直し修正を急げ。安倍総理とは距離を置き修正しなければ日本経済の舵取りを間違える。国内では禄に言及しないのに何故、海外で行き過ぎた金融緩和のリスクを強調するのか。国内より海外で実績を評価して欲しいためか。

朝日新聞(2017.11.25)「ポスト黒田へ動く」の記事を読んで国内でしっかり議論しろと言いたい。

それによると、黒田総裁はスイス・チューリッヒ大学で「日銀の挑戦に間違いなかったと確信している」と熱弁を振るったらしい。中央銀行が強い意志を示せば、物価は上がって景気も良くなるとの期待が高まり、実際に好景気になる」理論の正しかったことを強調したのだ。

確かに当初は円高円安で輸出産業を中心に景気は回復、株安株高で企業収益も上がった。しかし、市場にカネをジャブジャブ流しても一向に物価は上がらない。

量的緩和で市場にカネを流せば、物価は上がり景気は回復するという考えだったが、カネを流さなくても景気が良くなれば物価は上がるのではないのか。それによって企業は投資をし、家計への再分配も増えれば経済の好循環が生まれる。

でも、そうはいかなかったから2%目標は6回も先送りされ、19年度頃と修正された。一方で企業の業績は良くMA、海外投資が活発になるが賃上げ、国内設備投資はママならず内部留保は400兆円を超える。

賃上げがなければ個人消費も増えず経済成長もままならないために、政府は3%以上の賃上げを要求、達成出来なければ優遇税制を見直すと「アメ」と「ムチ」をちらつかせる。

黒田総裁も「賃上げ」を強く要望している。

日銀の期待感も市場はもう飽きたのだ。マイナス金利は銀行の経営を悪化させている。地方では銀行統合が始まったらしい。
金利を下げすぎると金融緩和の効果が反転するのでリスクに注目しなければならないと黒田さんは言う(同上)。リバーサルレートのリスクらしい。

欧州の中銀は量的緩和の縮小を目指しているし、FRBは国内景気にもよるが利上げに踏み切るらしい。2%物価目標を掲げていたが未達でも縮小、出口戦略に方向転換だ。2%のグローバルスタンダードに拘らないのだ。

ところで日本はどうなんだ。安倍総理は出口戦略について「2%目標達成させてから」と国会で答弁していた。まず2%達成しなければならないのだ。だからアベノミクスのエンジンを加速すると言ってみたり、黒田総裁に手腕に期待するという。

黒田さんも任期が近づいてきた。更迭か続投かで新聞は賑わうだろうが。量的緩和策の変更は新総裁でと言う事も出来るし、出口戦略への責任を黒田さんにとらせるのであれば続投だ。

日銀は、政権とは距離を置き金融政策の正常化に向け急ぐ必要があるのではないか。

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2017.11.2掲載
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2107.10.28掲載
量的緩和縮小:黒田総裁、「皆でやれば怖くない」のでは


2017年11月24日金曜日

森友学園疑惑解明:検査院ではダメ、では地検特捜部ではどうか

森友学園への国有地格安払い下げ疑惑で検査院の調査結果は期待外れに終わり、今後は地検特捜部の捜査にかかっているが、担当者を挙げるハードルは高い。嫌疑不十分で起訴猶予の可能性もあるのだ。

9.5億円-8.2億円=1.3億円、この計算根拠が分からないのだ。財務局の公務員という学の高い部門でも国民に明確に説明できないのだ。

先の国会審議でも国有地払い下げの契約に至る背景や適正な売却価格を国民は知りたかったのだが、検査院の調査でも資料確認が出来ないため背景解明もダメで法律の範囲内では解明できなかったという。何時もの通り調査には限界があるというのか。

9.5億円(鑑定価格)―8.2億円(ゴミ処理費)=1.3億円(売却価格)

問題はゴミ処理費が異常に高いために売却価格が森友学園に有利になるよう安くなっていることだ。

このゴミ処理費に問題があるのだ。ゴミの量を1952tと見ているが検査院の調査では6196~13921tばらつきがある。ゴミ処理費は22500円/t
としているがゴミの混入率も47%と言われているが計算の仕方では31%になるらしい。

ゴミ混入の汚染土壌処理費が22500円/tも高すぎると思うがゴミ混入率が47%ではほとんどがゴミの感じだ。その他の計算根拠となる数字が確定できないのだから解明など出来るはずがない。

廃棄物処理ではマニフェストがあり、どういう種類のゴミを誰が何処に依頼し、どういう処理をしたかが分かるようになっているはずだ。そして契約書も作成しなければならない。そこのところがどうなっているのか。

こんな簡単な式が証明出来ないのだから驚く。

そこで次の疑惑解明は大阪地検特捜部になる。背任容疑で告発を受理している。
でも背任容疑だから背任罪の成立要件のハードルは高い。
森友学園の利益になるよう国に損害を与えることがあっても財務局の誰がそれぞれの立場で決めて進めてきたかが問題なのだ。

以前の新聞報道では財務局の役人が森友学園の籠池理事長に「いくらなら購入できるか」と聞いたという記事があったと思う。そうすると1.3億円に帳尻あわせをしたのではないかという疑惑も出てくるのだ。


地検特捜部の捜査も証拠不十分で起訴猶予処分となるのだろうか。忖度したとは思いたくないが。

2017年11月23日木曜日

低成長社会の到来?:誰が高成長を望んでいるのか

少子高齢化、人口減で縮小する日本市場に代わり企業は海外生産、海外市場を目指す。日本は低成長社会の到来と思うが誰が高度経済成長を望んでいるのか。

一時は生産や開発は日本国内中心の社会を構築しようとした高度経済成長は終わったのか。

「デフレではないがデフレを脱したとは言えない」が政府関係者の口癖だ。確かに経済関連の数値を見ると「アベノミクスにより景気は着実に回復、雇用も大幅に増加している」という(自由民主 数字で見る安倍政権の成果2017.9.30)。

それによると安倍政権交代前と後を比較している。「経済再生、デフレ脱却」で、名目GDPは493兆円→543兆円、株価8664円→20397円、有効求人倍数0.83→1.52倍、正社員求人倍率0.5→1.01倍、雇用は185万人増という。

選挙用に都合の良い経済指標を使っているが、GDP成長率は掲げられていないが16年度は実質1.3%、名目1.6%、民主党政権時は実質成長率1.6%だったが今の成長率は1.4%で民主党政権の時が良かったという。

物価上昇率を見ると17年度の見通しを下方修正し1.1%から0%台後半だという。何時になったら2%を達成するのか。日銀は19年度頃と6回先送りした。追加緩和は見送ったが緩和策は継続する。欧米の中央銀行は緩和縮小、利上げを狙っているのだから日銀は何を考えているのか。

物価上昇を2%達成するには成長率は3~4%必要と言われているが専門家は難しいと言う。

それでも低成長から高成長を目指すが誰のためか。日本市場は少子高齢化で規模が縮小する。だから海外市場を目指す。外食産業の経営者が面白いことを言っていた。「これからは少子高齢化だ。胃袋は減る一方で胃袋の能力も落ちてきている。良いはずがない」と。

大手小売業は一斉に日常品の値下げに踏み切った。店内には値下げの札が貼ってある。高齢者、低所得者にとっては有り難いことで売り上げも増えているらしい。GDP成長率にどう寄与するか分からないが政府はGDPの計算値を変更し600兆円を目指すらしい。

日本経済の低迷はプラザ合意にあると言う見方もある。当時ドル高でこれを是正するために集まって協議されドル安政策をとることになった。そのために円高を招き日本は長期に低迷することになった。

それが安倍第2次政権で円高→円安で輸出産業を始め景気を取り戻し、今の日本経済だ。

金融緩和、公共投資などの財政出動→需要増→企業業績回復→設備投資、賃上げ→個人消費増→経済成長、好循環を描いているが、国内需要増は難しい。市場にカネをばらまいているがM&A、海外投資、企業の内部留保は400兆円を超えダブついている。政府は内部留保を賃上げに回せと、賃上げ3%を目標に達成していない企業の法人税優遇措置を止めるという。

国内需要増は、輸出で儲かっている日本に対して海外から改善のクレームがついている。前川レポート、21世紀版前川レポートで改善策を答申したが、いずれも失敗している。理由に企業の儲けを家計に再分配するシステムが欠けているのだという。

麻生さんは「財政出動に変えてこれからは民間出動だ」と経済財政諮問会議で発言したことがある。内部留保も批判していた。

ところが国内需要も問題なのだ。中小企業の経営者が「儲かる仕事があれば借金してでも投資する」と言っていたのを覚えている。その儲かる商品を生み出すのが大変なのだ。

日本企業が努力して生み出したテレビなど家電製品、半導体部門などが次次に韓国、中国の企業に安く売却されていることには危機を覚える。

無理に高度経済成長社会を目指すのではなく、低成長社会にどう対応していくかだ。


政府は自分たちが打ち出す政策で脱デフレ、高成長を生み出したと成果を強調したいのだろうが、そうは問屋が卸さないのだ。

2017年11月21日火曜日

代表質問 安倍vs岸田、枝野、玉木;それぞれの存在をアピール出来たか

20日の代表質問で自民・岸田、立憲・枝野、希望・玉木の皆さんが安倍総理と対峙したが、それぞれの党の存在をアピールする事が出来たか。

極右保守(?)の安倍総理に対しては保守リベラルの立場が最も適した立場だろう。

自民・岸田さんは、ポスト安倍を目指しているので自分の立場をはっきりさせる必要がある。立憲、希望は衆院選前に設立され政策もはっきりしないままに選挙戦に突入した。有権者も選択に戸惑っただろうが、今回の代表質問で少しははっきりしただろう。

新聞報道によると、3者の違いが報道されているがやっぱり差別化は難しい。

岸田さんは安倍総理を批判、「丁寧な説明」の必要性、森友・加計学園問題での丁寧な説明を要求、官高党低の政権を批判し、党や世論に耳を貸せと要求した。

枝野さんは、「まず憲法を守れ」と護憲を主張、対決姿勢が見せた。リベラルの立場で政権とやり合ってくのだろうか。

一方、玉木さんは現実主義、提案に重きを置き、国会での修正協議のルール化を迫った。反対反対でなく対案を出して正々堂々と戦う気だが、野党の対案など正式に採用されることなどほとんどない。

しかし、安倍総理は「丁寧な説明を」言うが、大事な点は「国会で審議を」と避ける。

国会は立法の場だ。法案提出など重要な業務があるが、如何にせん、法案提出は政府が断トツに多く、国会での通過率も高い。国会議員は安易な仕事しかやっていないのではないか。

安倍政権になって国会審議は荒れ続けた。これでは民主政治とは言えない。


そこで保守リベラルへの期待が大きい。岸田さんは勿論のこと、枝野さん、玉木さんも「宏池会」の姿を追う。 

2017年11月20日月曜日

「排除した」つもりが「排除されてしまった」小池都知事か

小池さんが希望の党の代表を辞任した。当然だろう。「排除した」つもりが「排除されてしまった」のが小池知事なのだ。都民はバカではなかった。信望を無くしたのだ。国政どころか都政職への影響が出てくる事態になった。

葛飾区議選がだめ押しになった。5人中4人が落選、当選した候補者も旧民主党出身者だった。選挙中、「小池さんは嫌いよ」というテレビニュースを目にしたが、そのきっかけは誰でも思い出す「さらさらありません。排除します」発言だった。

やっと小池劇場は終わり、落ち着いて国会審議に注目できるようになった。小池さんのコメントを求めて追っかけるメデイアのバカ姿を見る機会も激減した。

最近の朝日新聞で民進党と小池新党の合流の裏話(?)を知ることが出来た。前原さんは「全員合流、護憲派などいない」と言えば、小池さんは「憲法改正、安保法制は守る」と保守政治家を目指したという(朝日新聞2017.11.19)。

「排除の論理」はそこら辺から出て来たようだ。側近の1人から民主党設立時の鳩山さんが竹村さんの参加を排除した話が出ていた。この件は私もよく覚えている。

さきがけ出身の鳩山、竹村さんらが日本新党の細川さんらと連合政権を設立したが、9ヶ月ほどで細川さんが退陣した。細川さんの退陣には東京佐川急便の渡辺さんとの「政治とカネ」の問題で自民党が追求していたし、竹村さんとの不仲のきっかけは深夜の唐突な福祉税提案事件だった。細川さん小沢さん、財務省が目論んで官房長官だった竹村さんを外して検討、提案したことだ。

竹村さんは翌日の記者会見で「過ちては則ち改むるに憚ること勿れ」と憮然と吐き捨てたのだ。

その後、民主党との合流になるときに鳩山さんが竹村さんの参加を頑なに拒否したのだ。鳩山さんは政党設立時の出資者だから発言は強い。竹村さんが北朝鮮に通じているのが細川政権退陣のきっかけという説もあるようだが、どうなのか。
この鳩山vs竹村の戦いから出て来た「排除の論理」を小池vs民進党で持ち出したのだから判断ミスがあったのでなないか。案の定、女性有権者は小池支持から離れていった。

前原さんも政局には弱い。相手を信じ過ぎて判断を誤るケースが他にもある。永田偽メール事件だ。当時の武部幹事長の息子さんのカネに絡む事件だったが、自民党議員の中でも「偽メールだから注意しろ」と忠告する議員もいたが、何故か信じてしまった。「明日、はっきりします」と自信を持って記者会見していた姿を覚えている。

小池さんを頼って群がった連中はどうなるノか。

50人足らずの希望の党は政策如何にもよるが、自民党との補完政党として存在価値が薄まっていき、行く行くは小政党かどこかの政党と合流するしかかなくなるのではないか。

民進党を早々と離れた連中は迷うだろう。有権者が支持するかどうかだ。東京3区から出て小池新党に加わった松原さんは落選し比例区で復活した。テレビで「良かったのか」と聞かれて「そこは微妙だ」と答えていたが、本音だろう。

小池さんは「サポートする」と言っているが自分の知事職としての仕事が大変だ。豊洲問題、東京オリンピック問題が残っている。うまく行っていないようだ。失敗=失脚だ。公明党が離れ、自民党が押してくれば知事解任の可能性も出てくる。


石原さん、猪瀬さん、舛添さん、そして小池さん、どうして東京都知事にまともな人が出てこないのか。東京都は役人がしっかりしているので知事がダメでも7割はうまく行くはずというし、財政は裕福で国からのカネは必要無い。だからミーハー受けするダメな知事でもやっていけるのだ。

2017年11月19日日曜日

今日の新聞を読んで(119):財政赤字なのに何故、法人税を減税するのか

財政は赤字なのに何故、法人税減税を急ぐのか。米国のトランプ大統領は企業の大幅減税で揉めているし、安倍総理も海外から企業を誘致するための法人税減税を掲げているが、儲けを内部留保に回し賃上げや設備投資をしないことに業を煮やし3%以上の賃上げをしない企業には優遇税策を適用しないと言いだした。

トランプ大統領は減税で米国に企業と雇用を取り戻すと言う「アメリカファースト」、保護主義、二国間貿易に精を出している。企業活動にとってはマイナスのことはやらないのだ。その1つが地球温暖化対策の「パリ協定」からの離脱だ。

一方、我が国は企業の内部留保が406兆円にもなっている現状から賃上げ、設備投資に回させて景気回復、脱デフレを進めるために3%以上の賃上げをしない企業へ減税優遇策を適用しないと言い出した。

日本経済は異次元の金融緩和継続で市場にはジャブジャブカネを流す。輸出などで企業が儲けても海外投資、株、土地で内部留保も406兆円、日本経済は「穏やかな回復基調」と言うが賃金が伸びないので消費も伸びない。税収も大きく伸びず赤字財政に頼らねばならない。国、地方合わせての借金は1200兆円、対GDP比240%だ。2017年の予算は97兆円、内税収は63兆円、赤字になる公債金は34兆円だ。

米国も景気は良い。FRBは緊縮政策を縮小し、資産の処分、金融政策の正常化に向け利上げのタイミングを図っている。

日米の赤字財政、純債務残高を比較する。
        財政赤字     純債務残高 いずれも対GDP
  日本     -4.5%    130%  
  米国     -5.2%     82%
米国の債務残高の予想は10年後の今の日本より低いが楽観は許されないという。GDP比が5%を越えるとレーガン時代のような金利高騰がおき、ドル高が推移するのだ(朝日新聞 2017.11.17 「財政悪化が招く成長リスク」。

1985年9月、減税による米金利上昇で高くなったドルを是正するためにプラザ合意がなされたが合意後円高が進み、日本経済の長期の低迷にかかった要因とも言われている(同上)。

しかし、あのレーガン大統領のレーガノミクスは眉唾な政策だった。アベノミクスと同様に当初は成果もあったが長続きしない。私も当時、単行本を購入し読んでみたが、ラーファー曲線には致命的な欠陥があった。今の税率が適正税のどちら側にあるかが分からないことだ。税率を下げれば税収が増えるのか、それとも減るのか分からないのだ。

レーガン大統領の減税策が日本経済に長く円高をもたらし、日本経済の失速の要因の1つだったことは紛れもない。世界は金融緩和で対応したが異次元の金融緩和を続けても物価は上がらない。先進国では唯一継続中だ。

それが、トランプ大統領が減税すると言う。法人税を35%から20%に下げると言う。

又、日本は円高に苦しむことになるのか。今、経済学者、投資家、経営者がいろんなことを言っている。

減税が企業を助けると思っているようだが、税率が理由で競争力を失った企業は1つも無い。

企業の儲けを家計に再分配するトリクルダウンなんて見たこともない。

そして我が国の中小企業の経営者が「儲かる仕事があれば借金してでも設備投資する」というのだ。


各国の国内政情、国内経済、緊縮財政への反感などグローバル化が経済に大きく影響し合っている。国内の財政政策で切り抜けられる今の世界経済ではない。