財政は赤字なのに何故、法人税減税を急ぐのか。米国のトランプ大統領は企業の大幅減税で揉めているし、安倍総理も海外から企業を誘致するための法人税減税を掲げているが、儲けを内部留保に回し賃上げや設備投資をしないことに業を煮やし3%以上の賃上げをしない企業には優遇税策を適用しないと言いだした。
トランプ大統領は減税で米国に企業と雇用を取り戻すと言う「アメリカファースト」、保護主義、二国間貿易に精を出している。企業活動にとってはマイナスのことはやらないのだ。その1つが地球温暖化対策の「パリ協定」からの離脱だ。
一方、我が国は企業の内部留保が406兆円にもなっている現状から賃上げ、設備投資に回させて景気回復、脱デフレを進めるために3%以上の賃上げをしない企業へ減税優遇策を適用しないと言い出した。
日本経済は異次元の金融緩和継続で市場にはジャブジャブカネを流す。輸出などで企業が儲けても海外投資、株、土地で内部留保も406兆円、日本経済は「穏やかな回復基調」と言うが賃金が伸びないので消費も伸びない。税収も大きく伸びず赤字財政に頼らねばならない。国、地方合わせての借金は1200兆円、対GDP比240%だ。2017年の予算は97兆円、内税収は63兆円、赤字になる公債金は34兆円だ。
米国も景気は良い。FRBは緊縮政策を縮小し、資産の処分、金融政策の正常化に向け利上げのタイミングを図っている。
日米の赤字財政、純債務残高を比較する。
財政赤字 純債務残高 いずれも対GDP
日本 -4.5% 130%
米国 -5.2% 82%
米国の債務残高の予想は10年後の今の日本より低いが楽観は許されないという。GDP比が5%を越えるとレーガン時代のような金利高騰がおき、ドル高が推移するのだ(朝日新聞 2017.11.17 「財政悪化が招く成長リスク」。
1985年9月、減税による米金利上昇で高くなったドルを是正するためにプラザ合意がなされたが合意後円高が進み、日本経済の長期の低迷にかかった要因とも言われている(同上)。
しかし、あのレーガン大統領のレーガノミクスは眉唾な政策だった。アベノミクスと同様に当初は成果もあったが長続きしない。私も当時、単行本を購入し読んでみたが、ラーファー曲線には致命的な欠陥があった。今の税率が適正税のどちら側にあるかが分からないことだ。税率を下げれば税収が増えるのか、それとも減るのか分からないのだ。
レーガン大統領の減税策が日本経済に長く円高をもたらし、日本経済の失速の要因の1つだったことは紛れもない。世界は金融緩和で対応したが異次元の金融緩和を続けても物価は上がらない。先進国では唯一継続中だ。
それが、トランプ大統領が減税すると言う。法人税を35%から20%に下げると言う。
又、日本は円高に苦しむことになるのか。今、経済学者、投資家、経営者がいろんなことを言っている。
減税が企業を助けると思っているようだが、税率が理由で競争力を失った企業は1つも無い。
企業の儲けを家計に再分配するトリクルダウンなんて見たこともない。
そして我が国の中小企業の経営者が「儲かる仕事があれば借金してでも設備投資する」というのだ。
各国の国内政情、国内経済、緊縮財政への反感などグローバル化が経済に大きく影響し合っている。国内の財政政策で切り抜けられる今の世界経済ではない。
0 件のコメント:
コメントを投稿