2017年11月5日日曜日

非正規で「2018問題」:労働者いじめを止め取り戻せ日本式経営

朝日新聞 2017.11.5
非正規従業員を無期雇用に切り替える「2018年問題」対応で企業は「雇い止め」をしているが、労働者いじめは止めて日本式経営を取り戻せないか。今の企業の好調は労働者の犠牲に上に成り立っている。不安定な雇用、賃金は上がらず、結婚もままならないようでは優秀な労働力の再生産もできず、このツケは必ず企業に跳ね返ってくることを忘れたのか。

人口減高齢化の危機が叫ばれているが若者が結婚出来ないようでは日本社会は先細りだし、結婚したとしてもすぐ離婚、子育てしながらのシングルマザーの生活は厳しいし幼児虐め、殺人事件などの社会不安は増すばかりだ。

改正労働契約法で非正社員を無期雇用に切り替える制度が2018年4月から始まる。ところが非正規従業員頼みの企業は、その前に「雇い止め」をやっているのだ。非正規従業員を守るための法改正も企業の都合の良いように利用され、驚いたことに社会保険労働士まで推奨しているというのだ。

グローバリゼーションで東南アジアの安い労賃と競争しなければならない。国内の生産設備は海外に移す。為替問題で一部国内に戻ってきているがまだまだ現地生産だ。

国内でも生産性向上を狙ってロボット、AIなど自動化、効率化が進められ先端技術頼みで、普通の人間はパート、アルバイト、派遣社員、期間従業員のような立場でないと仕事にありつけないのか。役立たずに人間になってしまうのか。

こんな状態では給料も上がらず、身分の保障もなく、家族を持つ事も出来ない。当然に消費は伸びず経済の好循環どころか悪循環で格差拡大だ。

結婚出来なければ子どもも作れず、優秀な労働力の再生産は出来ない。人口減は社会システムの維持も出来なくなり崩壊する。安倍総理が言うように「国難」だ。

今、明るみになっている日本を代表する大企業の不祥事を考えてみよう。

東芝の不正経理、神戸製鋼の品質偽装、日産、スバルの無資格者検査などどうして起きるのか。経営上、固定費削減で生産部門以外は人件費節約で人減らしをやっているのではないか。安全、品質管理で人を育成しない。それが今の不祥事になっているのではないか。

終身雇用、年功序列は企業への帰属意識を高め企業は勿論、日本社会の安定にも役立ってきた。

今は企業は儲けてもM&Aや内部留保に努め、経営者はストックオークション、億単位の高給取りになっている。海外で取得した経営学が幅をきかせていた時代は終わるべきだ。

最近、テレビ東京の番組に興味がある。「凄腕職人技」「世界で使われている日本の製品」のようなタイトルの番組は欠かさず見ている。家内工業で細々と作っていた製品が世界の至る所でなくてはならない製品として紹介されている。

海外での利用者の感想は「こう言う製品を作ってくれてありがとう」だ。そのビデオを見た日本の職人さんらが「使ってくれているのを初めて見た」と感謝の気持ちに涙を流していた。

似たような製品、道具はあるが日本の職人のモノでないとダメなのだ。

しかし、そういった優秀な技術を持っている中小企業が潰れる運命にあると言い、損失額は4兆円とも言われている。

日本式経営で年功序列、終身雇用を謳った人件費でも海外と競争できる高品質の製品、商品を作ることが大事だが、孫達のことを考えると今の日本社会に期待は持てない。


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