2017年11月26日日曜日

今日の新聞を読んで(121):福島第一原発事故対策で何が出来、何が出来ないのか

2011年3月の福島第一原発事故から約7年、何が出来て何が出来ないのか。襲った津波は15.5mだったが東電の想定は5.7m、事故前に福島沖で巨大地震が起きれば15m程の高さの津波が襲うと試算されていながら十分な備えをしていなかった東電の責任を国際原子力機関(AIEA)が報告した。

巨大津波で非常用電源を失い原子炉冷却が不可能になった結果、メルトダウンを起こし、あってはならない放射能汚染事故を起こす結果になった。炉底溶融で冷却水は汚染し高濃度汚染水の処理は最優先課題になった。

事故後すぐに来日したのがフランス大統領だった。何をしに来たのかと思ったら高濃度汚染水の処理設備を売る話しに来たのだ。日本は何が何でも汚染水の処理は最優先で処理設備を購入したが、これがうまく動かない。役立たずの処理設備だったのだ。その後も処理設備の不具合が続く。

当時、300~400トンの汚染水が発生し、それをタンクに貯める処置をとった。簡易なボルト締めのタンクでは汚染水が漏れる事故が多発し、溶接型のタンクに替えたという。当時汚染水の漏れ事故が毎日の新聞に載る程だった。

驚いたのはそのタンク群の多いことか。何とタンク群の敷地が限界に近づくのではないかと言われたほどだが今はどうなっているのか。

2014年3月の原子力改革監視委員会は1番大きな問題は汚染水対策であり、40年かかる廃炉作業を担う人材の確保だと指摘した。

確かに真夏でも防御服を着て被曝量に追われながらの作業員の確保は難しい。作業に慣れた頃には限界被曝量で現場から離れなければならなくなる。全国から作業員を掻き集め、中には被曝量を誤魔化す事態にもなった。

汚染水対策は、原子炉建屋から出る高濃度汚染水を削減するために建屋周りに遮水壁を設け建屋に入る地下水を遮断する方法が検討された。その策として凍土壁が検討された。冷却管をめぐらせ地下の土壌を凍らせるのだ。当然賛否があった。

専門家の京大・嘉門先生などは「いろんな方法があるから組み合わせて作ってはどうか」と提案したが、国や東電は凍土壁を採用した。凍土壁は土木工事で局所的に遮水する工法であると思っていたが、これほど広範囲の遮水は珍しい。

当然に四苦八苦した。完全には凍らないのではないか。地下水が流れると部分的に解けるのではないか。でも一応完成(?)し320億円かかったというのだ。カネに糸目をつかない国策事業だ。

でも新聞報道では流入地下水量は300トンから200トンに減り100トン以下にするそうだ。

現在の汚染水タンクは800基、100万トンに及んでいる。専門家は「汚染度の低い処理水を海洋投棄しろ」と言うが、漁業関係者は魚の汚染を心配し拒否する。

一方、廃炉作業に向け溶融炉底の状況を確認するためにロボットでの試験が行われている。なかなか難しいらしい。

40年廃炉計画に向け作業員確保は大丈夫なのか、そして汚染水の処理は。



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