今回の安倍総理辞任表明で一番ショックを感じているのは日銀・黒田総裁ではないか。安倍総理の意向を受けて物価上昇2%まで異次元の量的緩和を続け、銀行経営、日銀の金融政策に大きな影響が出てきているにもかかわらず、方針転換が出来ないのだ。
当初は頻繁に安倍総理と会合をしていたが、最近では何ヶ月ぶりの会合をいうニュースが目立った。
政策決定会合後の黒田総裁の記者会見では「・・・・、万一のとき(景気下落の兆候が見られた時)は躊躇無く更なる量的緩和の実施」という。リフレ派の政策委員が地方で後援するときも同じような発言だ。
日銀の政策も量から金利へ、ゼロ金利政策だが、国債の購入の「80兆円めど」が撤廃され、機動的に購入するらしい。ETFも12兆円のペースで購入するらしい。その結果、日銀の総資産の8割、485兆円の国債を保持、政府の赤字財政を国債購入で支える「財政ファイナンス」の危険もある。
財政規律を失い、市場はゆがみ、国債の暴落は日銀の経営を破綻させる。「政府と一体だから」倒産することはないというが、日銀は資本金1億円の会社だ。
安倍総理の登場で、日銀はリフレ派に占められるようになった。
民主党政権のときは、日銀は白川総裁で、政権も白川さんに量的緩和を強化するように強要していたが、白川さんは緩和な量的緩和しかしなかった。そこに安倍総理が登場しリフレ派を重用、任期が来た政策委員にリフレ派学者を送り込んだ。
白川さんは、任期6か月を残していたが政府の攻勢を見て辞任した。その後に黒田さんや武藤さん(元財務省事務次官)の名前が挙り、結果として黒田さんが総裁に就任した。
安倍総理のアベノミクス第一の矢で「2年で2%」、2年で物価上昇2%を達成すると豪語した。しかし7年たっても未達で先送りだ。誰も2%達成が出来るなど考えていないが、日銀は「期待感」を煽り市場の安定を図る。
何時出口になるのか。国民誰もが考えることだ。国会でも野党議員が「2%を決めた根拠は」「出口戦略はどうなっているのか」など安倍総理を追及した。安倍総理は「専門家は2,3,4%というが、一番達成が可能な2%にした」、「このまま量的緩和を続けるわけにもいかない、私の任期中にどうするか考えたい」と答弁していた。
その任期中が、1年を残して任期途中の退陣になった。どうするのか。
日銀がモタモタしている間に、海外の中央銀行も一度は止めた量的緩和に戻っているらしい。
FRB のパウエル議長は、安定的に2%に達するまで異次元の量的緩和を続けるという。一時的に2%を超えても容認し、一定期間平均2%を目指すというのだ。物価上昇が低迷している今、下支えでインフレを目指すらしい。
思い出すのはアメリカ発のMMT理論だ。「貨幣の発行権をいる国は、インフレになりまで印刷すればいい」という理論だ。日本をモデルにしたというがFRBが採用決めたのか。
国民生活を守る金融政策は厄介なものだ。新政権が出来、日銀の金融政策にどう対応するか注目だ。黒田総裁の任期はまだ長い。財務省が復権を目指し行動を起こすか。
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