2020年8月24日月曜日

情けないが、これが安倍総理のレガシーか


安倍総理が居並ぶ政治家を抜いて連続在職最長を記録したとメデイアは報じるが、評価する声は聞こえない。なぜかというと「これはというレガシー」が見つからないのだ。逆に「負のレガシー」はいくらでも挙げられる。民主政治の根幹を揺るがす結果になったのだ。

2012年、安倍さんが自民党総裁選に出馬した。同じ派閥の長であった町村さんも出馬する異常な自民党総裁選だった。地方党員も含め人気があった石破さんが予備選では1位になったが、自民党議員だけによる本選挙で安倍さんが選ばれ、返り咲いた。

どうして安倍さんだったのか。思い当たることが無いが、石破さんは自民党が下野し大変なときに離党したことが影響しているのか。菅さんたちが必死で安倍さんを担いだ。第1次政権の汚名を挽回したかったのだろう。

しかし最初はうまく行った。円高、株安に悩む日本経済を正当派でないリフレ派の主張する量的緩和で円安、株高に転換し経済再生のきっかけを作り安倍総理が評価を得たかに見えた。日銀の政策委員はリフレ派で占められるほどだ。

アベノミクスの当初の目標は「2年で物価上昇2%」だったが達成時期を先送りしながらいまだ未達状態だ。目標達成が出来ないと見ると「雇用が改善したからいいではないか」と言い出した。 

そして危機管理が評価されていた安倍政権でも経験したことがない「国民の安全、健康」にかかわる分野で、新型コロナウィルス感染拡大にあたり生活、事業支援策、感染拡大防止策で右往左往する結果、支持率を落とす結果になった。

民主党政権での3.11東北地方太平洋沖地震、津波、福島第一原発事故も国民の安全に大きく影響する事態で当時菅直人さんも苦労したと思う。「あの悪夢のような民主党政権」とことにつけ安倍総理は揶揄したが、今は「あの悪夢のような安倍政権」といわれかねない。

このような非常事態は政権にとっては「運が悪かった」ということだろうが、どの政権であっても対応は厳しい。

長期政権が在職日数を最長にしたが、首相秘書官、補佐官も在職が長くなり政策が偏りすぎた感がする。谷垣さんもそこを指摘していた。民意が挙ってこないのだ。どうしても出身官庁の政策に影響される。

「政治とカネ」の問題では閣僚の不祥事が続いた。その都度「任命責任は私にある」と言いながら責任を取ったことがない。だから政治家の責任もあいまいになってきた。最後は自らの「桜を見る会」などで公職選挙法、政治資金規正法違反疑惑が出てきた。

側近政治、内閣人事制度を悪用した。側近連中がアドバルーンを上げ安倍総理の意向を臭わせ、あらかじめ反対の芽を摘み取った。安倍総理自身が汚い仕事をしなくて良かった。

「モリカケ問題」では夫婦で私利私欲に取り組んだことは憲政史上まれなる疑惑事件を生み出した。究明を妨害する安倍政権にとって未だかって国会で追求されている。国会で追及されるのを嫌って野党が要求する臨時国会の開催を拒否している。

また、国会軽視もはなはだしかった。集団的自衛権行使は閣議で憲法解釈をやってしまったし、重用する○○審議会で打ち出す政策にお墨付きを得て国会での審議をおろそかにする。時間がきたら強行採決だ。

数の多さに物を言わせた国会運営だが、自らの不祥事を追及されるのを嫌がり野党の国会への出席要求を拒否した。森山自民党・国対委員長の発言を新聞で見るたびに「哀れさ」を感じる。

そして今、「国会を開かず」「閉会中審議に出ず」「記者会見せず」の安倍総理の姿勢は職場放棄で、「休養がほしい」にいたっては海外のメデイアの顰蹙を買った。

安倍長期政権は何を残したか。憲法改正は進まず、拉致問題は北が相手にしてくれない。北方4島問題は返還のハードルが高くなった。尖閣諸島問題も米政権のけん制に期待するが効果は薄い。頼みのトランプ大統領もビジネス優先の外交では何時までも頼れない。

安倍総理にとっては「負のレガシー」しか残せなかった在職最長政権になった。

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