2015年12月8日火曜日

自然破壊:人間にとって有用な創薬資源を破棄することになるのか

人間の開発行為に伴う自然破壊は、一方で人間にとって有用な創薬資源の破棄になっているのではないか。今年のノーベル医学・生理学賞受賞の大村先生の「イベルメクチン」の開発業績をみてそう感じた。大村先生は土壌中の微生物だったが、自然界には30万種とも言われる植物が有り、薬用植物資源研究センターでは3万種が薬用可能とみている。

こういった動植物種は過去に5回「大量絶滅」し、5回目が6500万年前の白亜紀に恐竜が大絶滅したが、今6度目の「大量絶滅」が起ころうとしており、その要因は人間の乱開発行為だという。

特に、以前から指摘されている薬用植物の宝庫と言われているアマゾン熱帯雨林について朝日新聞Degital(2010.10.26)によると、新種の動植物はここ10年で1200種見つかっており、植物、脊髄動物は637種あったと言うが、経済成長、農地拡大のため生息地が破壊されているという。数十年間で人間活動によって雨林の17%以上が破壊されたことになるらしい。

そこで固有の植物種を守るために生物多様性条約で自然環境を守ることになったが、その効果はどうなのか。既に貴重な資源を失っているかもしれない。

昔から言われているのに、ニンニクからアリナミン、フグからフグトキシン、確か青カビからペニシリンなどが知られているが朝日新聞(2015.12.6)「科学の扉」の「天然物科学の巨人たち」によると、ノーベル化学賞受賞の下村さんのオワンクラゲからの緑色蛍光タンパク質の抽出、遠藤先生の米屋の青カビからコレステロール値を下げるスタチンの開発など天然物から構造を探ったり、微生物から薬を作ったケースが紹介されている。

野生の動物が体の具合が悪くなったときにどんな植物を食べているかによってヒントにもなるし、抽出物質の構造式から何に役立つか推定も出来るらしい。

この植物成分の化学構造からいろんな誘導体を合成する創薬手法も、今主流であるゲノム創薬手法に負けてはいないのだ。

何千種の中から有効な成分を拾い上げるのだから多くの研究者の並々ならぬ努力が必要で
一人一人の研究者が小さな袋とさじを持ち歩いたと言う。

創薬の種を天然薬物に頼るために各国で資源獲得競争がされているが固有の植物種を保護するためにもアマゾンの自然を守ることは大切だ。

そのためには人間による乱開発は慎むべきだが、大村先生は静岡県伊東市のゴルフ場近くの土壌にいた放線菌から見つけたという。開発行為でゴルフ場が造成されていなかったら、このチャンスはなかったことになるのか。


2015年12月6日日曜日

東京・大田区久が原総合防災訓練:「通報訓練」も加わったが果たして結果は

12月6日の総合防災訓練の情報
大事なことは、この被害情報を本部に
伝えることなのだ
6日朝、マンションの近くで東京・大田区久が原の総合防災訓練が開催された。今までの見る訓練から参加する訓練で「通報」訓練も加わったのだが、その意味が分からなかった。近くには「訓練用被害情報 ②芹が谷橋付近呑川護岸崩壊 道道橋自治会本部までこの情報を伝えてください」の張り紙と交通規制の立て看板が立てかけてあった。

マンションの防災訓練も合わせて実施されたが、区の防災訓練の現場は近くの公園を使うようだ。

10時に「防災おおた」が「久が原地区の総合防災訓練を開催します」と伝えた。東京消防庁や大田区、地元自治会、消防団の人たちが集まって消火栓からバケツの中の赤い発煙筒に向かって放水が始まる。消防団は放水の大会に出る人達らしい。

防災訓練全景
良く訓練の内容が分からなかったので近くにいた消防団の人に聞いてみた。

「この間、地震対策で護岸を補強工事したばかりなのに何故、崩壊を想定しているんですか」と聞くと、「一応の想定で、この付近に何カ所か崩壊や亀裂など被害を想定し自治会本部に連絡するよう促している」という。

その連絡があって行動を起こす訓練内容なのだが、付近住民からの「情報」が入っていないらしい。

消防団の人も「今までの訓練は見る訓練だったが、通報訓練など参加する訓練になっている」と言うのだが、残念ながら現時点まで通報はないらしい。「自治会の誰かが通報するようになっているはずだが・・」と言う。

私も漠然と「訓練用被害情報」の張り紙は見ていたが、「通報」までは意識していなかった。今回の防災訓練の本部となった道道橋自治会の電話番号など知らないが、走って行っても1分程度だ。「訓練の内容をしっかり分かっていたら通報したのに」と残念に思う。

警察や消防署への「通報」は勇気の要ることかもしれないが、通報はいくらあっても良いのだ。多くの通報があると言うことは「ことが重大だ」と言うことが分かるのだという。

ところで最近は消防団も高齢化してきたという。サラリーマンが多いし、年齢制限をしているところもあり若い人が入ってこないのだ。

自分たちの町は自分たちで守る重要性は分かるが、東京はマンションも増え無関心な人間が多くなったと消防団の人は嘆く。

訓練後、小学校で反省会をすると言うが、果たして「通報」が何件あったか。

数種類の被害が想定され、交通標識などに貼り付けてあった。



2015年12月5日土曜日

2015国際ロボット展:ロボットが人間に近づけるか

アクトロイド 「ココロ」
2015国際ロボット展にて
2015.12.5 東京ビッグサイト
ロボットは人間に近づくのか、「RTロボットと共に作る未来」をテーマに2015国際ロボット展が開催されている東京ビッグサイトに5日の最終日に行ってきた。WEB事前登録だから無料になる。

2015国際ロボット展会場
会場は、サービスロボット(SR)ゾーンと産業用ロボット(IR)ゾーンに分かれており、サービスロボットゾーンはリアル人体型ロボット、介護、福祉、医療、メンテナンス分野、産業ロボットゾーンは従来から言われているピッキング、搬送、ハンドリング、検査など人間に変わって重量物のハンドリング、繰り返し作業をやってくれる。

各社がそれぞれの分野で人とロボットの協調、ロボット同士の協調作業の技術開発をPRしていた。

今回注目したのはサービスロボット分野だ。

人間に少しでも近づいた感じの東京都立産業技術研究センターブロックにあるアクトロイド(リアル人体型ロボット)は新聞やテレビでは良く目にしていたが実物を見るのは今回が初めてだ。最近テレビでハウステンボスが展開する「変なホテル」を紹介し、フロントでの接客業務をココロのアクトロイドが勤めているのだ。

ブースの展示の説明をするロボット
手振り、身振り、目の動き、口の動きは実際の人間と変わらない。他社のブロックでは同じようにブースでの展示の説明をやっていた。今は女性のコンパニオンがやっているが何時かロボットに変わる日が来るのか。

ホテルや企業の受付業務に使うのは目新しさもあって評判になるだろうが、社会は人間と人間のコミュニケーションで成り立っている。どうして旅行するかというと日常生活から離れた「ご主人様、奥様」と持ち上げられることを楽しむ面もあるからそんなに大きくは伸びないだろう。



NTT 健診システム
もう一つはNTTだったと思うが、健診システムを構築していた。ロボットの指示に従って体重、身長、 血圧を測定、結果がFAXで送られてくる。血液検査は当然出来ないし、最終判断は医者でなければならない。中途半端なシステムだが今、国は医師の医療支援システムのプログラムを作ろうとしている。

人間ドックなどで検査値を入力し判定基準から考えられる病気の確率で表せれば自動で医者の診断業務を支援する事が出来る。医者の知らない医学情報をアドバイスできれば誤診なども避けることも出来る。

今、人間ドックなどの検査結果の判定でも基準値が従来の学会の基準値もあれば、人間ドック学会の基準値もあり勉強していない医者は困る。検診者の質問にも禄に答えられない時もある。

又あるブロックでは聴診器を当てての医者の業務を支援するシステムを紹介していた。聴診器から出る心音、肺の呼吸音をコンピューターで判断させる方法だって可能だ。大事なのは聴診器を患者に当てる場所と圧だが、映像処理などでほとんど解決されている。

そうなれば家庭医なんていらない。薬局で全てやって最後はコンピューターが病院を紹介してくれる。これこそ「かかりつけ薬局」だ。

介護では重い患者を抱えたりするので介護士さんが腰を痛めたりして離職する場合が多いらしい。それを支援する装置も展示されていた。良さそうだが実際に使うのか。フロに入れることも大変だが、ロボットで浴槽につけたり出したりを患者さんはどう感じるか。

おもちゃも話が出来るものが出て来た。それを見た子どもが「あれが欲しい」と言っていたが親子で来ていた。

産業用ロボットでは、複数台の協調作業をアピールしていた。車の生産現場の溶接作業などはその典型例だ。

電舞子 DENSO
音楽機器を用いてCOBOTTAを操作
面白い事例があった。3台のロボットが音楽に合わせて手や体を動かしている。ラジオ体操をやっているようだ。今、NHKはEテレで「体操」をやっている。健康そうな若い女性が3人出演しているが、これがリアル人体ロボットで出来そうなのだ。見る人がいなくなるかもしれないが・・。

生産現場へロボットが進出するのは生産性向上から当然だろうが、サービス分野へのロボットの進出はどうだろうか。


pepperも海外メデイアの取材を受けていた

物価安定目標2%?:量的緩和は効かず、生活不安、暗いニュースばかりでは消費は伸びない

物価上昇2%は世界の目標だが達成にはハードルが高い。ユーロ圏や日本は量的緩和を継続しているが効き目はなさそう。おまけに高齢化、社会保障費削減、年金問題、ワーキングプアーなど生活不安は増し、パリ・テロ事件、イスラム国、南シナ海、東シナ海での中国の不法行為、毎日新し九起きる殺人事件など暗いニュースばかりでは消費も伸びず経済成長など高望みではないか。

使い捨て、創造的破壊と言われ「絶えざるイノベーションが消費を生み出す」と言われたのは何時の時代の経済だったのか。専門家はことある毎にイノベーションと言うが、そんな社会状況ではなかろう。

ゼロ金利になると金利の上げ下げで金融政策をやる手段を失い量的緩和が唯一の手段になるがマネタリーベースを増やせばデフレが止まるかと言えばそうはいかないと言うのが経済学の主流だったが、安倍総理はリフレ派を登用した。


安倍総理が日銀総裁を更迭してまで異次元の金融政策を採用し、株安が一転株高に転じ異次元の金融緩和の成果と思われた。日本の株高は円安ももたらしたとみられていた。

ところが、株価は日銀総裁に黒田さんが就任する半年前から上昇をはじめ、野田政権下の為替介入で円高から円安へと転じていたと見る経済学者が多い。

黒田日銀総裁は、「2年で2%物価安定目標、マネタリーベース2倍増」などとわかりやすい公約を掲げて就任、岩田副総裁に至っては「2年で達成出来なかったら辞任する」と豪語したが2%物価安定目標達成時期は先延ばしされ16年度後半になった。

民間エコノミストは、それでも達成は困難とみているが、日銀は「緩やかな回復基調」を主張し「問題があれば躊躇なく対応する」と追加緩和の可能性も覗かせる。朝日新聞(2015.12.3)によると岩田副総裁は岡山市での記者会見で「達成時期が遅れるから猛烈な緩和を考えることは、今のところ標準的な理論や実践から考えても考えにくい」と述べたという。

言い換えれば「リフレ派は間違っていた。これ以上の量的・質的緩和はやらない方が良い」とも聞こえる。黒田総裁も日本国債下落で国債を保有する金融機関の経営不安が出てくるのを心配し銀行に資本強化(?)を要望という。国債の相当量を保有する日銀だって例外ではない。日銀は政府と一体だから潰れることはないと言っても株式会社だ。

ところが、ユーロ圏でも物価が伸びず、デフレ経済への悪循環を避けるためにも欧州中欧銀行(ECB)は量的金融緩和を延長、マイナス金利を0.2%から0.3%にし銀行に貸し出しを促す決定をした。「量的金融緩和の継続は失敗しているからではない」と言うが市場は失望している。

企業の設備投資が増え、個人消費が伸びれば物の値段は上がる。誰でもそう思うがその根本には需要、家計への再分配がある。麻生財務相は「次は財政出動から民間出動」と言い、安倍総理は「官民対話」で経済界に設備投資、賃上げを要求するも経団連会長は同調するが他の経済人は冷めた見方で「設備投資はやっているところはやっているし、賃上げは労使関係だ」と真っ当なことを言う。

一方、FRBは利上げのタイミングを計っている。米国の雇用統計、経済指標も好調で今月中には利上げされるのではないかとみられている。

FRBの利上げは、低金利、量的緩和に慣れきった世界経済にどう影響するか、いろんな見方があるが「既に市場は織り込み済み」との見方も出ている。非伝統的と言われる金融緩和は始める時よりも止める時の方が難しいと言われていたが、本当になった。

思い起こせば長く円高、株安で苦しんだ日本経済だったが、経済学者よりも政治家がリフレ経済を煽った。

安倍自民党が勢いに乗って民主党から政権を奪い返した衆院選では自民党候補者は皆「円高は当たり前、もっとカネを市場に流せば円安になり日本経済は再生できる」と有権者に訴えた。

70円、80円台だった為替が今は123円台に下落、今度は輸入品の値上がりで国内物価は上昇、消費の落ち込みと相まって悪の経済循環と言われているが、物価上昇を目指す日銀は悪しき経済循環も是としているようだ。経済界は110円台中位を理想とみている。

アベノミクスも当初は効果があったように見られたが、経済の好循環は見られず、3本の矢の検証もしないままに今度は新3本の矢を放った。これが又、空虚な言葉だけの経済政策と映り、「的外れ」と揶揄される始末だ。。

これでは政府の経済対策など期待出来ない。
そして、人口減、高齢化社会、社会保障制度の維持の困難、子育てに悩む若い世代、労働者派遣法の改悪によるワーキングプアーの問題など生活不安は高まる一方だ。

そして、メデイアに溢れる暗いニュースは「何時、我が身の近くで」と不安になる。


これでは消費は伸びないし、経済成長など覚束ないのではないか。政治は「国民に安心感を運ぶ」ことだ。

2015年12月3日木曜日

衆参W選で勝ちを急ぐ自民?:国会議員は使い捨て、国民に何を問うのか

ここ数日、衆参W選のアドバルーンを自民党筋が挙げている新聞報道が目につくが、国会議員は使い捨て何回やってもいいが、勝ちを急ぐ自民は何を国民に問うのだ。衆院にしても参院にしても常識で考えれば自民が不利に見え控えるところである。

安保関連法、TPP,新3本の矢、GDP600兆円、介護離職ゼロ、1億総活動社会、消費税10%と軽減税率、辺野古移設問題での沖縄vs国、1票の格差の最高裁「違憲状態」判決、16年度予算編成など臨時国会が開催されなかったことによる課題の山積に政府はどう向き合うのか。

参院選では憲法改正に向けての2/3議席の確保が目標だろうが、諸般の事情から不利が予想される。そこで内閣支持率が持ち直したことで衆院選をかますのだろうが衆院選だって決して有利ではないが、野党がまとまっていない分有利だろう。

最大の難問は最高裁の1票の格差問題での「違憲状態」「違憲」判決だ。違憲状態での選挙で実施すれば原告弁護団が騒ぐだろうが、最高裁は選挙の無効判断は避けるだろう。選挙を無効と判断すれば立法は崩壊し事が大きすぎる。

常識で考えれば衆参W選は回避すべきだろうが、そこは何をやるかわからない反立憲の安倍政権だ。現実味を帯びるかもしれない。

衆議院議員にすれば2年ごとの選挙は資金的にも肉体的にも厳しいだろうが、国会議員は使い捨てだ。

また、安保関連法反対から来る小林先生や弁護団による落選運動も気になる。安保関連法を推進した議員、賛成した自公議員、「政治とカネ」、スキャンダルで騒がせている議員を提訴し落選させようとするのだ。政界浄化には賛成だ。

さらに18歳まで選挙権が広がると有権者は240万人増になり、それに20代や30代の若者の投票率が上がると選挙も面白くなる。今、いろんな政策が選挙対策も加わって変質しようとしていることに注意が必要だ。


スー・チーさん率いるNLD新政権がミャンマーの民主化に成功するか

スー・チーさん率いる国民民主連盟(NLD)新政権はミャンマーの民主化に成功するかと問われれば答えは「NO」ではないだろうか。確固たる支援組織もなくスー・チーさんフィーバーで上下両院の過半数を獲得し、すんなり政権交代できたとしても多くの国民が満足する政治は出来ないのではないか。

2011年の民政移管後初めての総選挙で勝利し、現テイン・セイン大統領に代わって来年3月にNLD新政権が発足することになり、スー・チーさんは円滑な交代に向け現大統領、国軍のミン・アウン・フライン司令官らと会談していることが報道されている。

長く政権を担い、おまけに連邦議会の1/4を軍人枠として確保している国軍は利得権益者として利権に反する政策には抵抗するだろう。

スー・チーさんにはNLDのトップでありながら大統領の資格がNく、大統領に担ぐには憲法改正が必要になってくる。

そこでスー・チーさんは新政権では「大統領よりも上に立つ」と公言している(何回もテレビで主張しているが、一回の映像を何回もテレビが放映しているのかもしれない)。

これはまずい構図だ。新政権のトップに誰が立つのか知らないが、閣僚には少数民族の代表や国の利益になる人を含めるというから行政経験のない烏合の衆になりスー・チーさんと新しい大統領の権力の二重構造になるはずだ。

政権が打ち出す政策にスー・チーさん側がクレームを付けゴタゴタすることは目に見えている。

我が国の民主党政権を見れば分かる。スー・チーさんが小沢一郎さん、新しい大統領が菅直人さんと見れば良い。小沢さんは自民党を飛び出して以来、政権に批判的発言をし選挙制度改革までして自民党に変わって政権交代をやり遂げた。一方菅さんは市民運動家出身で新風を吹き込むかと期待されたが、最後は犬猿の仲になり菅さんは小沢さんに「しばらく静かにしていてほしい」と発言したことで内閣支持率を上げたことがある。

憲法を改正しスー・チーさんが大統領になる可能性を現実化したいだろうがハードルは高い。本当に民主化政治を望むのであればスー・チーさんはしゃしゃり出ないことだ。

そして民主政治を達成しようとするスー・チーさんに日本の政治家、企業家も好意を持っているようだが、スー・チーさんが日本にどういう感情を持っているのかしっかり検証すべきではないか。以前ミャンマー通と言われる人(?)が、「目前では日本に好意的姿勢を示すが裏では「あの日本が・・」と敵対的発言をした」とコメントしているのを何かで読んだことがある。


特に途上国の民主化運動家には注意が必要だ。

2015年12月1日火曜日

COP21首脳会議始まる:CO2人為説か自然変動説かで対応は大違いか

世界の地上の平均気温の推移 1961~90年の平均値を規準
今世紀に入ってCO2排出量は増えているのに気温の観測値は
伸びが鈍っている「ハイエスタ」と呼ばれる現象
毎日新聞 2014.10.3
1130日からCOP21首脳会議が始まった。相変わらず先進国vs新興国vs途上国の構図での話し合いだが、削減計画では2℃未満は不可能だし、地球温暖化にとっては今までの常識を覆す現象も出てきた。更に地球温暖化要因がCO2など温室効果ガスによる人為説か、太陽活動に起因する自然変動説に立つかでその対応は大違いだ。その要因も十分に検証されないまま政治マタ―になったために先進国と途上国の資金の分捕り合戦になっており最大排出国の中国やインドが途上国の立場をとっている。

合意がもたつくことが、かえって無駄なカネを使うことを回避できるチャンスになるかもしれない。

今回の会議は2020年以降の新しい枠組みを作る重要な会議で、気温の上昇を2℃未満に抑えること、全ての国が削減目標を示し、5年ごとに見直すこと、被害の軽減など途上国へは資金援助することなどが合意できるかどうかにかかっている。フランスのオランド大統領は開催国議長として意欲を見せる。

安倍総理は他国にさきがけ2020年までに年1.3兆円の資金支援をすることを表明したが、途上国が排出量削減、経済成長などを実行するとなると資金や技術で2030年までに日本円に換算126兆円という巨額の投資が必要になる。

しかし、何と言ってもCO2排出量割合の大きい中国(26%)、米国(16%)が主役だ。今回の会議でも主導権を握ろうとする。

でも中国は最大排出国であるにもかかわらず途上国としての位置づけで先進国とは差異がある責任を持つという。温家宝さんが以前、国際会議で中国は発展途上の大国論を主張していたが、その考えはCOP21にも貫かれ先進国ではないのだ。

それはおかしいのではないかと中国、インドを新興国にして応分の責任(排出量削減、途上国支援)を取らそうとするがウンと言わない。でも中国は途上国支援を打ち出している。

また、米国のオバマ大統領も大変な立場だ。「どの国も気候変動の影響から逃れられない」と「レガシー」づくりを目指し、2025年までに2005年比26~28%削減を掲げたが26州がCO2規制を違法として提訴したし、来年の大統領選では共和党のトランプ氏が「気候変動は起きていない」と主張している。

政治の面ではゴタゴタし合意も難しいようだが、地球温暖化にもマイナス要因をメデイアで報道している。

今まで積み上げられた削減策でも気温の上昇は抑えられないと言う。COP事務局は10月1日までに提出された削減目標が達成されたとしても今世紀末には平均気温が2.7℃上昇するという。一層の削減を促しているのだろう。

NGO「クライメート・アクション・トラッカー」も気温上昇を2℃未満にとどめることは不可能(2015.9.2)というし、「クライメート・セントラル」も今世紀末には海面上昇が8.9mになり6億2700万人が水没するが、2℃未満に抑えると2億8000万人に減る。日本でも3400万人の土地が水没すると言う。我が国もリスクの大きい国なのだ。

国連環境計画(UNEP)によると2℃未満に抑えるには現在の取り組みに加え、2030年までに120億トンの削減が必要になると積極的な対応を迫っている。

マサチューセッツ工科大も削減目標通りに達成した場合、18世紀の産業革命前に比べ3.5℃上昇、何もしなかった場合4.5℃上昇で、1℃しか変わらないという(読売新聞2015.9.30)。

なかなか対策が進まない状況下でもCO2濃度と気温は上昇している。

世界気象機関(WMO)が、2014年の世界のCO2平均濃度を397.7ppmで昨年に比べて1.9ppm増加したというし、米海洋大気局はマウナロア観測所のCO2平均濃度が400ppmを超えたと発表した。

一方、地球の平均気温はWMO発表(2015.2.3)で14.57℃、海洋に蓄えられる熱が増大しているという。

ところが、不思議なことにCO2排出量が増えているのに今世紀に入って平均気温が横ばいの状況になっている。 

毎日新聞(2014.10.3)によると、IPCC第5次評価報告書では、地上の平均気温は1880~2012年に0.85℃上昇したが10年単位で見ると今世紀に入ってから10年当たり0.03℃上昇で横ばいという。

これを「ハイエスタ」と言って深海で海水温が上昇していると言う。各研究機関がその研究に精を出しているようだが10年後にはまた元に戻り気温は上昇するらしい。でも大した気温上昇ではないと言う人もいる。NHKも特集番組を組んで「ハイエスタ」を開設していた。

この要因は、自然変動、太陽活動に由来する日射量の減少だと気候学者は指摘する。

IPCCの第4次評価報告では我が国のスーパーコンピューター「地球シミュレーター」の解析結果が人為説に大きく傾く結果になったが、このハイエスタ現象がどうしてシミュレーションで確認できなかったのか。そこにモデルとしての不完全性があるのではないかと疑う。

地球温暖化の常識を覆す研究も出てきた。NASAが南極の氷が減少し海面上昇しているのではなく、実は南極の氷は増加しているのだと言う。だから海面上昇の要因はほかにあると言うのだ。ただ増加率は減少しているが増加していることに間違いはないようだ。

そこでまた、注目されるのが自然変動説だ。天体物理学、地球物理学、気候学などの研究者が主張し、今後太陽活動が弱まり地球は寒冷化すると言うのだ。20年近く温暖化は進んでいないと言い切る(地球はもう温暖化していない 深井有 平凡社新書 2015.10)。

水蒸気と雲の関係はモデルのなかでも重要なパラメーターであるが、よく分かっていないのだ。気温の測定にも疑問を投げかける。

自然変動説では、宇宙線が低層雲量を増加させ、それが太陽光を反射し地表の気温が低下し、CO2による温暖化をかなり打ち消すという。今後100年は気温が横ばいか若干低下、IPCCが言うように大きな温暖化は起こらないという(同上)。

この説に対してCO2人為説に立つと太陽活動の11年周期での流入熱量の変動は0.1%で気温変動は0.2℃で変動も極めて小さいと反論する。

自然変動説に立つアラスカ大の赤祖父先生は、地球温暖化の要因にCO2を否定しないが自然変動5/6、CO2が1/6と主張している。近いうちにどちらが正しいかすぐ分かるとも言っていた。

地球温暖化の要因をCO2など温暖化ガスと見る人為説に立つと先進国vs途上国の駆け引きも激しくなるが、自然変動説に立つとしかたがないという諦めになり、被害軽減のための支援が中心になる。

無駄なカネの投資を避けるためには会議が合意に達しないのがよいのかもしれない。