債務残高の国際比較(対GDP比) 財務省HP 「日本の財政を考える」 より |
国会審議でのマニフェスト論争は不毛? もっと国家財政の論争ができないのか。今通常国会も消費税増税問題でマニフェスト論争の繰り返しだ。野党自民党は民主党が掲げて政権を勝ち取った09年のマニフェストの大きな柱は総崩れの様相を呈し、根底が崩れたのだから改めて国民に信を問えと迫る。一方、野田総理は消費税増税は大義、任期中には増税しないから何らマニフェストには反していないと強弁する。マニフェスト論争は平行線を辿った不毛の論争になりやすい。
谷垣総裁も野田総理もマニフェストの亡霊に悩まされているのではないか。
丁度、小泉総理時代に野党だった民主党の菅さんが予算委員会の質問で「公約違反だ」(政治課題が何だったかは思い出せない)と指摘したときに、小泉さんが「この程度のことで公約違反といわれても困る。もっと大事なことがある」と身振り手振りで反論したことを思いだす。菅さんはそれ以上のことは追求しなかった。小泉さんだから公約違反も許されたのだろうか。
準債務残高の国際比較(対GDP比) 同「日本の財政を考える」より |
消費税増税問題は、反対している自民党もマニフェストに掲げた政治課題である。消費税関連法案提出前に国民に信を問えと主張する谷垣総裁も事前協議には応じることはできないが国会で審議しようと言っているのだから国会でしっかり議論すべきではないか。
ところで国会で国の借金がどう議論されているのか。参院の代表質問で民主党の輿石さんが国の借金を間違って1兆円といったようだが、それ以外に具体的は金額を上げて政府と与野党が激しく論争したのを国会中継で見たことがない。
私達が容易に債務残高の資料を得ることができるのは、財務省のホーム・ページの中の資料「日本の財政を考える」がある。それによると、債務残高の国際比較(対GDP比)は2011年に212.7%で90年代後半に財政の健全化を着実に進めた先進国と比較して、我が国は急速に悪化しており、最悪の水準になっているとコメントが付いている。イタリア129%、米国101.1%、フランス97.3%と続く。
各種統計における「債務残高」 同「日本の財政を考える」より |
一方で、債務ばかりでなく資産もあるのでそれを差し引いた純債務残高の国際比較(対GDP)でも日本は127.8%で主要先進国で最悪の水準になっている。財務省は政府の金融資産の多くは将来の社会保障給付を賄う積立金であり、すぐに取り崩して償還や利払いの財源にすることができないことなどを留意すべきだという。すぐに現金にできるものばかりではないということだ。
そして今騒がれている債務残高は一般政府の金融負債残高の1024兆円なのだ(同資料の各種統計における「債務残高」より)。
ギリシャと違って、日本は一般家計に1471兆円の資産があり日本国債も95%ぐらいは国内で消費されているから大丈夫という説もあるが、その差額450兆円も毎年借金が増えれば時間の問題だ。
急いで財政再建へ向けた政策が必要なことは十分理解できるのだが、諸外国に比べてもそんなに悪くはないという説があり、政府、財務省のいうことを鵜呑みにできないのではないか。
丁度、今週発行された週刊朝日(2012.2.10)では、「財務省のトリックを統べて暴く 消費税増税にだまされるな!」という闇株新聞の内容引用した記事が載っており、野田首相や財務省のごまかしにだまされるなと警告している。
それによると、国の借金といわれている中央政府と地方公共団体が1093兆円、そのほかに一般家計、民間非金融法人の借金を含めると総額2439兆円、一方資産は一般家計1471兆円を含めて2708兆円もあり、これでどうして日本国が破たんするのかと疑問を投げかけている。
しかし、これだって差額は300兆円しかない。財政が厳しいことに変わりはないのではないか。
国家財政について、いろんな見方があるが「本当のところはどうなんだ」と私は思う。
国家財政について、いろんな面から十分に議論し消費税の必要性の是非を議論し、さらに増税が日本経済に及ぼす影響についても十分に議論すべきである。国会審議のあまりにも抽象すぎる議論には終止符を打ち、現実的な議論で国民を引っ張っていくべきだ。
週刊朝日 2012.2.10 |
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