消費税増税論争が混とんとしてきた。国会議員は一人一人が、その賛否と理由を示し国民に説明すべきではないのか。国会で十分に論議されないまま社会保障と税の一体改革大綱が閣議決定され、消費税増税関連法案も政治スケジュールでは3月上旬に国会提出とあわただしくなってきた。
しかし、民主党の要求する事前協議もままならず、一向に妥協点は見いだせず、かえって政権与党、野党内に賛否を巡り大混乱をきたしている。
今のデフレ経済下での増税は、更なる経済の悪化をもたらし日本経済をどん底に落とす危険があり増税の時期ではないという意見に対して、実施に当たっては経済状況を考慮するという付帯事項が付け加えられた。
ところがその条件も曖昧な点が多い。安住財務相は国会審議でその点を聞かれ、「法案に数値を記すことはなじまない。その判断はその時の政権の高度の政治判断による」と答弁した。野田総理も物価指数などの経済指標を考慮するというが、政権の恣意的判断に任せられる危険はある。
増税の前にもっとやることがあるだろうという批判に対して、「隗から始めよ」とか、自ら身を削る必要があると言って、国会議員の定数削減、国家公務員の給与削減などが急遽政策に上がってきた。
国税や年金の徴収を一括して扱う「歳入庁」構想も上がってきたが、当然に財務省は猛反対だろう。財務省の意向に反して政策を進める度胸が野田総理にあるのか。
しかし、何と言っても不安なのは、民主党内では最大勢力の小沢グループが反対を明確にし、全国的に展開しようとした増税キャンペーンに反対して広報委員長が辞任した。連立与党の国民新党も党内不統一が明らかになってきた。
国会審議で野党に突っ込まれる恐れもある。
一方、野党の自民党はというと、谷垣総裁は相変わらず「マニフェスト違反」を主張し民主党政権での増税に反対するが、領袖・長老からは増税審議に応じるべきだとして執行部の姿勢に反対している。
肝心な与党内でも最大グループの小沢さんが「今の増税はよろしくない。政権交代の原点に返れ」と反旗を翻している。増税しなくてもやっていけるというのが小沢さんの持論であり、総選挙になると不利な議員が10人以上も群がっているという。
小沢さんやグループの議員たちは「増税なしで、どうやるのか」の説明が全くないともっていたが、今週の週刊ポスト(2012.3.2)に「小沢一郎が考えていること」の記事が掲載されていた。
内容の信憑性はわからないが、増税前にやらなければならないテーマであると思う。何故、民主党内で議論しないのか不信だ。それとも小沢系の役員が、その時の会合で発言しても執行部が無視していたのか。
それによると、09年の民主党マニフェストにも盛り込まれている「歳入庁」を創設すれば、保険料の徴収漏れがなくなり、18兆円の財源が確保されるという。また、大きな権限を持ち官僚組織の総本山ともいえる財務省の権限を削ぐことができる。これはぜひやってほしいものだ。
大企業に対する消費税の「輸出戻し税」も年間約3兆円あり、租税は平等に負担されるべきだという原則に照らしてもこの輸出戻し税の還付金制度は廃止すべきだという。経団連会長がTPP推進を強力に主張していたが、背後に大企業優遇の魂胆があるのだ。
宗教法人への課税強化もいままで取りざたされてきたが、公明党との協力関係ですっきりしない。日本全国いたるところに立派な建物の支部を持っているが、活動の多くが非課税では納得がいかない。
公共事業の入札制度の改革、官庁の物品購入で予算の無駄が非常に大きいという。「競り下げシステム」を導入すると、大きな無駄削減になるのは当然だろう。イギリスでは実績もあるらしい。
予算の仕組みを変えることを小沢さんは力説していたが、このことを言っているのだ。
また、メデイアにも批判の矛先を向ける。全国紙や地方紙に増税のキャンペーンをやっていることだ。税金を使った大メデイアへの「付け届け」という。すでに増税に関して6億円近くが使われているし、TPPでは10億円近くが大メデイアに配られるという。
そのたびごとに言われてきたが、改革が進まない政策ばかりだ。何故、野田政権は取り組みについて賛否が言えないのか。
これも大メデイアへの「付け届け」 になるのか。この公告で増税論争 に反対意見がなくなるのは危険だ 読売新聞 2012.2.21 |
また、国会議員は群れあって行動するのではなく、一人一人が賛否を明確にし、その理由を有権者に説明すべきである。
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