2012年2月22日水曜日

復興を遅らせる震災がれき処理:埋立地、焼却施設は迷惑施設だった?


がれき処理の協力を訴える
環境省の広報
読売新聞 2012.2.21

岩手、宮城、福島の東北3県の復興を遅らせる要因に震災ガレキの処理が遅々として進んでいないことはテレビ画面で知ることができるが、思い出すのは平常時は最終埋め立て処分場、中間処理施設そして焼却施設は迷惑施設だったことだ。

ここ数日の新聞報道、環境省の「みんなの力でがれき処理」の広報(読売新聞 2012.2.21)で11年分、19年分、2253万トン、5%の数字を見る。災害廃棄物の量が岩手県で通常の11年分、宮城県で19年分、東北3県での災害廃棄物量は約2253万トンでいまだ5%しか処理が終わっていないということなのだ。

環境省は20143月までにすべて処理すると計画していたが、いまだ5%の数字に焦っている。すべての過程で安全性を確認しているので、広域処理に協力してくれというのだ。

平常から緊急時も含めた廃棄物処理システムの構築が重要だったのだが、地域エゴのために構築がままならなかった。阪神大震災の教訓も生かされていなかったことになる。

阪神大震災(兵庫県南部地震)での、建物の倒壊、首都高の倒壊そして都市インフラ類の破壊は想像以上のものだった。しかし、復興がどんどん進む要因には震災ガレキを処理する施設が近くにあったことだ。近隣自治体の協力、大阪湾フェニックス計画での埋め立て処分場の存在はガレキ処理に大きく貢献した。

また、東京都は夢の島に巨大な埋め立て処分場を確保しているが震災への対応も考慮されての計画であるという。

7日に開かれた東日本大震災からの復興をテーマにした第7回東北サミット(読売新聞2012.2.22)では「がれき処理の理解を広めて」と県知事が訴えている。被災地のがれきの7割は宮城に集中し、石巻市の分でも費用は2000億円、県内のプラントではこの3割しか処理できない状況だが、受け入れてくれるところがないというし、仕分けには毎日1000人を必要とするが人も集まらないらしい(宮城県知事)。

さらに、受け入れる地域の住民は割に理解がある。地元でも反対する人もいるが、地元以外の人々の反対運動があちこちで見られるそうだ(秋田県知事)。

そういえば、埋め立て処分場、中間施設そして焼却施設は迷惑施設だったのだ。

東北地方は首都圏から廃棄物が集まり大きな不法投棄事件があった。青森・岩手県境不法投棄事件だ。民間処理業者は、最初は真面目に本業をやっていたが次第に経営が苦しくなり、無理な受け入れで未処理のまま埋め立てした結果、不法投棄事件になった。周辺住民が不法行為を見つけ行政に訴えたが、行政は迅速な対応ができなかったことも要因にあるらしい。

どこでもそうだが、民間の処理業者は住民から信用されず、公共の処理施設だって地域住民の反対で建設が不可能だった。この種の施設は迷惑施設で、自分の庭先には来てほしくない施設なのだ。

焼却炉もダイオキシンの問題があて、自治体の小規模の炉は廃棄し、近隣自治体が共同で大規模施設を建設し800度以上で燃焼させる炉に代えた。ところがゴミの排出量削減運動もあって大規模焼却炉の維持管理が大変になったところまでは知っているが、その後どうなったかはわからない。

しかし、今回のような緊急事態への対応を考えると、平常から処理施設の確保は重要な仕事だったのだ。

小さな自治体でも、山間部に埋立地、焼却施設を持っていたら「震災がれき」の処理をある程度うまくいき、復興に少しでも寄与したのではなかろうか。

私も民間企業で焼却施設、中間処理施設、最終埋め立て処分場を建設、維持管理した経験があるが、いろんな製品開発に貢献できるメリットはあるが、廃棄物排出量削減対策では甘い面もあったと思う。

これから首都圏をはじめ、日本全国で巨大地震の発生が予測されている。迅速な復興を願うのであれば、今から真剣に考えなければならない問題ではなかろうか。

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