2012年2月17日金曜日

日銀の1%インフレ目標、ゼロ金利継続、追加緩和で経済が好転するのか


日本銀行本店

日銀の脱デフレに向けたインフレ目標1%は、不思議にサプライズで受け止められたが、ゼロ金利政策の継続、10兆円の追加緩和が本当に日本経済の好転につながるのか。デフレ、円高は日本経済を脅かし工場の海外移転による国内の空洞化回避、雇用確保が最重要課題になっている。

また、輸出依存の経済から転換すべく、前川レポートや海外からも度々要求されていた「内需の拡大」も一向に進まず、そのうちに誰も言わなくなった。

日銀がインフレ目標を1%とし、デフレ脱却の姿勢をはっきりさせたことは、それなりの責任を負うということであり歓迎すべきことであるが、同時にゼロ金利の継続、10兆円の追加緩和で本当に経済が好転するなど考えられるのか。

ゼロ金利で銀行に低金利で金を流すと銀行は企業や個人に融資を増やすことができる。日銀が銀行の保有している国債を買い入れることによっても同様の効果がある。企業に融資すれば設備投資で財やサービスを増やす。給料が増え家計は潤い、消費が増えれば物価も上がる。皆がそうなることを期待している。

物やサービスの値段を上げるには、新しい技術、新しい品質など付加価値の高いものを提供しなければならない。従来と同じ物をただ値段だけ上げるわけにはいかない。そのようなイノベーションが容易に見つかるとは思えない。

今、町工場は仕事は増えているというが、単価が低く抑えられ利益にはつながっていないともいう。企業だって低単価に慣れて久しいが、急に下請単価を上げることなど考えられない。

大企業は儲かれば従業員の給与を上げることなどすぐにはしない。ある程度景気のいい時でも、仕事は順調に伸びていると言いながらベースアップやボーナス闘争では、先行き不透明を理由に抑えるのが常套手段だった。素直に上げることなど考えられない。

家計もすぐには潤わないのだ。社会保障と税の一体改革で将来への安心感が持てれば消費も増えるだろうというが、消費税増税も含めて民主党案では不安を募らすばかりだ。一度引き締まった財布は緩まない。

預金金利の低さもあきれ返るばかりだ。銀行から金を借りる時は5~6%であるが、預金は0.0何%で雀の涙程度の利息だ。一方で銀行は大儲けしているが、法人税は払っていないという。

また、資金を十分に供給するというが、本当に不足しているのか。ダブっているからギャンブル的な投資に走っているのではないか。その為替変動、株変動が世界経済を混乱させている。

企業を格付けする格付け会社の存在がクローズアップされているが、ほとんどの格付け会社は、儲かっているかどうかが判断基準だ。社会にどう貢献しているか、雇用確保に努力しているか、環境問題にどう取り組んでいるかなどをチェックし格付けを判断する格付け会社は少ないらしい。

市場が企業を見る観点を変えなければならない。株主への配当金が高いことで経営者を評価してはならないのだ。

簡単に経済を正常化することはできない。

消費税増税関連法の実施に当たっては、経済状況が条件になっている。野田政権は復興需要で公転する期待を持っているようだ。野田総理は物価指数など経済指標で判断するというが、凡そ2年後に消費者物価指数が前年比1%になっているだろうか。

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