2013年5月15日水曜日

大気中のCO2観測値 400ppm越え:「目を覚ませ」というが枠組み不調、人為説に疑問



大気中のCO2濃度が400ppmを越えた。「目を覚ませ」と言うが、枠組みは不調で、人為説への疑問も拭えない。

ハワイのマウナロア観測所で5月9日CO2濃度が400ppmを越え、NOAAは「温暖化が加速している」と警告しているニュースをメデイアが流した。4月にもアラスカ、アイスランド、ノールウェイ、カナダで400ppmを越えているという。

我が国でも気象庁が2012年3月大船渡市の観測点で4001.2ppm、4月に402.2ppmを観測、各地の月平均値が過去最高になっていることから北半球では400ppmを越えるだろうと予想していた。

朝日デジタル 2013.5.11
国連気候変動枠組み条約事務局長は「歴史的な境界を越え、新たな危険領域に入った」と「目を覚ませ」と警告(讀賣新聞2013.5.14)、400~440ppmを継続すると気温は2.4~2,8℃上昇すると言う(毎日jp2013.5.11)。

400ppmを越えたことが何を意味するのか。

1997年に採択された京都議定書は、先進国では経済成長を減速させ、削減に多大な費用を要することには抵抗があるし、これから成長路線を進めたい途上国ではCO2削減で足かせをはめたくないし、先進国からは資金援助を受けたい思惑が絡み合って枠組は不調続きだ。世界の排出量の44%を占める中国やアメリカが参加せず、日本など排出量の低い国が削減にがんばっても効果の程はしれている。

費用対効果の意識が出てくると、当然離脱者も出てくる。COP17で日本は期間延長を拒否し離脱した。

特に日本は、「20年に90年比で25%減らす」と民主党政権時鳩山総理が国際公約をしたが行き詰まっている。政治主導といって省庁間の密室議論に各界から批判が出た。更に原発が停止している状況では、2012年度は削減率1%に悪化するという。

2012年11月26日に開幕したCOP18では、「世界の気温が4度上昇する恐れがある」と警告した世界銀行の報告書は波紋を広げ、2020年以降の新たな枠組みを検討、米国、インド、中国すべての国が参加し、COP21で採択するそうだ。

国内問題も満足に解決出来ないのに、各国が協調して地球温暖化防止のための政策を決め、実行することなど不可能に近い政治課題なのだ。

うまくいかないもう一つの要因にCO2人為説に対する根強い疑問があり、世界的コンセンサスを得にくい面もある。

CO2人為説vs自然変動説だ。

悪いことに温暖化データのねつ造疑惑が発覚した。IPCCの第4次評価報告で、科学的立証がないのに誤った記述を載せ(ヒマラヤの氷河が2035年までに消失する可能性)、政策決定者や政治家に衝撃を与えようとした事件が起き、衝撃が走ったが検証結果「結論は変わらず」と言うことで1件落着した。

スーパーコンピューター地球シミュレーションで検証した結果、気温の観測値のトレンドは太陽放射変動や火山噴火などの自然起源の気候変動要因だけでは説明がつかないが、温室ガスや硫酸エーロゾルなど人為起源の気候変動要因を考慮すると合致してくることから、CO2人為説が通説になった。

これに天体物理学者、気象学者が異を唱え、「自然変動説」が出てきた。

アラスカ大の赤祖父先生は、今の地球温暖化の要因はCO2が絡んでいることは否定しないが、5/6は自然変動要因,1/6がCO2人為説と言う。以前CO2人為説と自然変動説、その他の専門家からなる議論を見たことがあるが、お互いに自分の説を主張しあい、データの取り方、読み方を批判し合うだけでいつも平行線の議論になる。

各分野の専門家が広く会議を起こし議論して疑惑を最小限にして、コンセンサスを得なければ、いまのような先進国と途上国の果てしない対立になるのだ。

地球温暖化を何で身近に感じるか。

よく映像では、海に浮かぶ割れた氷床の上で遠くを見ているシロクマの姿で、餌をとることが難しくなったので北極に近い村にまで出没するようになったというナレーションがあったが、イヌイットの村で長年暮らす日本人が一時帰国の際に言った言葉が思い出される。

彼は「専門家は何も知らない。シロクマはむしろ増えている」というのだ。学者は現場を知らずに発言しているとも言う。

私たちも、豪雨、洪水が増えれば温暖化のせい、夏日が増えれば温暖化のせいにしやすい。

環境省が温暖化の影響について纏めた報告書が出ている。洪水が起きる確率は1.8~4.4倍、東京、伊勢、大阪湾の海抜ゼロm地帯の面積が1.5倍までなる、ブナ林の分布適地68%減少、コメの収穫0.95,熱ストレス死亡リスク3.7倍まで増えると予想している(讀賣新聞 2013.4.10)。

枠組作りが不調で対策が遅れていることは、効果があるかどうか分からない温暖化対策に巨額の費用を出資することを避ける効果があるのではないか。

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