日銀政策委員9人の責任というと、「好ましくないインフレと共に去りぬ」か。朝日新聞(2013.5.2)の経済気象台「異次元の金融緩和策の責任」と題する記事が目についた。日銀は大事なことを国民に伝えていないと言い、チーム安倍の一員となった日銀政策委員9人の国民に対する責任は実に重いというのだ。
それによると、黒田総裁は就任後の記者会見でフリップまで用意して2倍、2倍の分かりやすい政策を打ち出したが、マネタリー・ベースの増加の実体経済への波及プロセス、なぜ2年で2倍なのか、どのようにして日本経済を安定成長軌道に乗せるのかなどを説明していないという主張には同感だ。
メデイア、市場は、黒田総裁の笑顔で語りかけ、身ぶり手ぶりの説明に好感を示し、白川体制とは変わり、大胆な金融政策に驚きとともに素早く反応した。
でも考えてみれば、安倍総理の第1の矢の「大胆な金融緩和」に応えてのそれ行けドンドンで、中央銀行としての慎重さに欠ける会見ではなかったか。
私も最初は日銀の政策って中途半端で、15年もデフレから脱却できていないので何か問題があるのだろうと思っていたし、白川さんは京大教授からの転身だったが、その背景に日銀に大学枠があり、もたれあっていることが分かり不審に思っていた。
しかし、NHKの国会中継での白川総裁と国会議員の質疑応答を聞いたり、日銀のHPから各種講演の資料を読んでいくうちに日銀の政策の一端が分かりだした。行き過ぎた金融緩和の副作用もきちんと説明しているし、金融緩和が実体経済へ与える効果、プロセスも説明していた。
金融緩和政策だけではデフレからの脱却はできず、安倍総理には耳の痛い財政政策、成長路線の必要性も説き、政府へ要求していた。
しかし、黒田総裁になってからは、2年で2%の物価目標、出し惜しみなしの量的・質的金融緩和を言うばかりで、しっかりした説明を国民にしていない。
最近になって、国債の信用下落を心配してか、政府に財政政策の必要性を経済財政諮問会議で主張していた。
黒田総裁、岩田副総裁は2年で2%の物価目標が達成できなければ責任を取るのだろう。その前に禁じ手の経済指標のねつ造もあるだろうが。
後の政策委員の責任はどうか。
民主党政権の時に任じられた2人の民間委員は黒田新体制での政策に異論を唱えているようだが、あとの委員はどうなのか。
白川体制の時に、小出しの慎重な金融緩和、ゼロ金利政策を主張しながら黒田体制で大胆な金融緩和策に心変わりした無節操さは非難されるべきである。
信条とは別に、かじりついてでも日銀政策委員でありたいのだろうか。
経済気象台が言う「チーム安倍の一員となった日銀政策委員9人の責任は実に重い」とはよくぞ言ったと言いたい。
アベノミクスが経済に好循環しているかどうかは、まだ判断しにくいが、物価だけ上がって給料は上がらない好ましくないインフレの危険もある。
日銀政策委員は、「好ましくないインフレと共にに去りぬ」にならなければいいのだが。
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