2013年5月12日日曜日

原発再稼動、自民党参院選公約に


日本経済の成長、生活に大きく影響し、国論を二分する原発の再稼働問題だが、自民党が参院選公約で再稼働を謳うと言う。新聞に掲載された自民党公約原案によると「原子力規制委員会が安全と判断した原発」で「地元の理解を得つつ」国が責任を持って再稼働を認めるというのだ。

為政者の立場として当然に原子力規制委員会に責任転嫁した格好だ。

一方の原子力規制委員会は、活断層であるかどうかの問題で電力会社と論争に終始している。

原発は安全とすり込まれていたが、3.11以降危険な施設にかわり、民主党菅総理の時には、稼働中の中部電力浜岡原発を政治の力で停止させた。何時起きても不思議ではないと見られている東海地震の震源域の中に存在し、地震学者、地元住民からも稼働停止を要求されていたことから考えて、一面では英断と見られていた。

ところが原発停止は、代替に火力発電に依存するために原油輸入代金が嵩み、5兆円とも言われている。そしてその分を電気代に組み込むために企業、家計に負担増となる。生産を海外にシフトする傾向が増えるのも当然だろう。

「アベノミクス」での円安は、生産の海外シフトから国内回帰へ変わると思っていたが、逆効果にもなってきた。

又、3.11以降一気に高まった原発再稼働反対、民主党政権時には2030年までに廃止だったが、自民党政権でゼロベースでの見直しで、再稼働容認に変わった。

当然、原子力規制委員会の判断に注目が行くが、規制委員会の判断が国民生活の安全、電力企業の存亡、大きくは国の経済に重要な影響を与えるとなると、再稼働への安全判断は慎重にならざるを得ない。

地震多発国で安全に全責任を負うのであるから、電力会社と「活断層であるかどうか」、「付近の断層が動けば連動するか」で論争になる。つい先日は、規制委員会の「もっと調べろ」要求を拒否した電力会社も出てきた程だ。どういうわけか、同じ現場の地質調査で見解が相反しているのだ。

「活断層と判断」すれば、再稼働はダメになり、「地滑り」と判断すれば再稼働を認めることになるのだ。

一方、まだ東電・福島第一原発の事故調査が十分に行われていないと見られ、事故を踏まえた安全対策が不明なままで、再稼働は出来ないだろうという正論も聞かれる。

最近、東電が3.11では地震では大丈夫だったが、津波で機能喪失したという調査結果を発表した。

何故、東北電力女川原発は津波対策をやっていたのに東電・福島第一原発は怠ったのか。

東電内の研究で、想定津波の2倍の津波では防潮堤を高くしなければならず、その費用は80億円と言われていたのに何故、無視したのか。80億円をけちったために、想像を絶する被害が発生し倒産の危機に至った。経営者が安全をどう考えていたのか。

福島第一原発の事故に鑑み、防潮堤の増強、総電源喪失対策、活断層調査が進められているようだが、その是非はどうなのか。

原発立地の自治体は補助金目当ての再稼働容認であるが、それ以遠の住民が猛反対している現状をどう解決するのか。

政府は、規制委員会の判断と、住民の理解に立って再稼働を判断すると言うが、そのプロセスに注目したい。

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