量的緩和を何時引き締めるのか。日本はアベノミクスと黒田日銀の「異次元の金融政策」で量的緩和を拡大中であるが、米国は引き締めが間近ではないかとの観測が流れ、市場は円売りドル買いが進んでいるという。
17日の日経平均株価は15、138.12円、為替は1ドル102円台半ばで、実体経済を伴わないバブル経済の始まりが危惧されているが、リーマン・ショック前にはまだ届かない。
米国経済もダウ平均で15,000ドルを超え雇用、住宅市場の改善もあって好調さを呈しているが、巨額な金融緩和が相場を支えており、自律的回復には疑問符が付くという(讀賣新聞 2013.5.9)。
この株高は、量的緩和政策で溢れたカネが株式市場に流れ込んだ「バブル経済」で、いつかははじけると警告するエコノミストがいる一方で、18,000ドルも可能性があり、決して「バブル経済」ではないというエコノミストもいる。
「バブルかバブルでないか」は、それぞれ議論があるようだが、見方をどこに置くかによって見解が分かれているようだ。不動産、金融に目線を合わせれば「バブルか」ということにもなる。
これが、緩和から何時、平時に移すかのポイントにもなる。
日本は安倍総理の強い要望もあり日銀は「2年で2%物価目標」を設定した。米国は昨年2%「見通し」を目安(ゴール)に変更した。インフレ目標を導入したことになる。これで市場に金融政策の狙いを理解してもらうためだと言うが、日銀も考え方は同じだろう。
これによりインフレ率が2%を下回れことが続けば追加緩和が必要になるが、2%に押さえるためには目前での金融引き締めが必要になってくる。
バーナンキ議長は、量的緩和継続の姿勢をとっているが、連邦公開市場委員会(FOMC)では、カネ余り、副作用から「資産購入のペースを増やすか、減らすか」の議論が出ている。
新聞報道をめくり返すと、3月19,20日には「年内終了」をにおわせ、5月1日には「ペースを増やすか、減らすか準備がある」と言い、5月16日にはサンフランシスコ連銀総裁が「今夏にペースを減らす」見方を示した。
中央銀行としてはリーマン・ショック後の異常な緩和政策から、平時の政策運営に持って行きたいのだ。
我が国でも、2%物価目標が審議されたとき、野党議員の「2%の見通しが出たときに止めるのか、2%を確実にしたときか」と出口戦略についての質問に、安倍総理は「専門家に判断を任せるが、中途で止めて効果が出なかった例がある」と日銀を牽制していた。
黒田総裁は「バブル経済はつきもの」と今現れている現象を意に介さないようで、量的緩和を拡大中である。
日銀が国債の買い入れを止めたとき、どのくらいの国債を保有しているかは大きな問題なのだ。
日銀は長期国債を今、99兆円持っているが、2014年末に190兆円まで増やす。総資産は173兆円から290兆円に増えるのだ。対GDP比約60%と言う先進国に比べて異常な多さだ。
日銀が国債を買います事で国債価格が暴落する危険もあるし、出口戦略で保有国債を売却するときもやり方によっては国債価格の暴落を呼ぶことになる。
リーマン・ショック後、米は通貨流通量を急増させ、今そのペースを落とす議論を始めているが、日本は緩慢な増加を続け、今量的緩和を拡大中である。
クルーグマン教授は、株式、債権ともにバブル状態にあるという根拠は弱い。バーナンキ議長は、バブルをぺちゃくちゃと主張する財界人達など無視し、自分の仕事をどんどん進めるべきだという(朝日新聞2013.5.16米国経済はバブルか)。
要するに、量的緩和を継続しろというのだ。
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