安倍政権の経済政策をアベノミクスで誤魔化されるな。第一の矢の異次元の量的緩和は日銀の金融政策で、これを除けば従来の経済政策の寄せ集めではないか。折しも9月の日銀の決定会合では量的・質的金融緩和策の成果の検証をするという。
ここで成果に期待出来なかったと言うことになればアベノミクスの否定であり日銀がそんな検証をするとは考えられない。新聞では追加緩和もあると発言しているが、それはFRBの利上げがあってのことだろう。
常識的には、政治的判断で現状維持、様子見だ。日銀独自の判断を下したら、日銀もまだ捨てた物ではない。
そもそも日銀の金融政策は「期待感にかけている」だけだ。経済財政諮問会議の政策検討(?)でも期待感に期待すると言う。
安倍政権のアベノミクスは「根拠なき政策効果」だと京大名誉教授の伊東光晴先生は論破する(「アベノミクス批判」伊東 岩波書店 2014.7)。
でもそんな、経済学者に評判の悪い経済政策、金融政策を発案したのは誰なのか。相当優秀な経済官僚かと思っていたが自民党の山本幸三衆議院議員で、その功績(?)で地方創生担当大臣だという。
当時のことは比較的覚えている。
安倍さんが自民党総裁で政権奪取の衆院選挙前だったと思う。なかなかデフレ脱却が出来なかった事に関して「金融緩和を徹底的にやればデフレは脱却出来る」と言い、「市場に円が少ないから物価は上がらない。円を市場に流せば必然的に物価は上がる」と自民党候補者は異口同音に街頭演説していた。
「日銀はそんな事も分からないのか」と日銀批判が全国で起きていた。
当時の白川日銀総裁は、急激ではなく、徐々に市場にカネを流していた。緩和な金融緩和だ。物価上昇にしても「取り敢えず1%を目指し、達成したら次を考える」という考えだった。
ところが、民主党・野田政権の末期だったが白川・日銀に量的緩和の徹底を訴えていた。腰の重い日銀に日銀法改正を匂わせ迫っていたのだ。その結果、白川総裁は任期を数ヶ月残して辞任した。その前に政策委員にリフレ派が送り込まれたのだ。
その時、次の日銀総裁に大蔵省の事務次官までやった武藤さんが「私もリフレ派」と日銀総裁に名を上げたが、安倍政権は拒否し、黒田さんを総裁として日銀に送り込んだ。
そして、「2年で、2倍2%」の語呂のいいスローガンを掲げて、「異次元の金融政策の採用と2%物価安定目標」を約束した。同時に副総裁に付いた岩田さんも「2年で2%」達成を訴え、達成出来なかったら辞任すると言った。「言い訳もしない」と言ったが、今は辞任せず言い訳ばかりだ。
政府、日銀は市場にカネを流し「利子を低く保てば投資が増える」という論調だった。
しかし、伊東先生はその著書で「根拠がない」と言う。
それによると、「利子が下がれば投資が増えるか」という事にオックスフォード大が調査した結果があると言う。それによると、「長期利子が低下しても投資に直接影響はない」という結果だったらしい。1930年代のことだが。
日本の調査でも企業家の60%は「可能性がない」という。投資をするかどうかの判断は「需要の増加」なのだ。つまり売れる物があれば投資すると言うのだ。
最近も利子が低いのに投資が増えない事に関して経営者は「今はカネを借りてまで投資する需要がない」と言ってのけた。
逆に物価が上がれば、生活に困り消費を抑制するのが一般的ではないか。今はその傾向だ。
確かに一時、円安、株高の基調になったことはあるが今は足踏み状態だ。
株価は8700円から14200円、今は16000円台だが、株価の上昇は政権交代前から出ており、黒田総裁の就任以前の話だ。これは多くの経済学者が指摘していることだ。
又、円安傾向も79円台(2012年11月13日)から99円台(2013年5月3日)になったが、この要因は為替介入があったと言うのだ。今は102円台でいつまで続くか。FRBの利上げがポイントになるか。
そんな事を考えると、伊東先生のアベノミクスは「根拠なき政策」に同感だ。何時までも誤魔化されていては大変なことになる。
9月の日銀の検証会合で国民を説得できる内容になればいいが。
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