2019年8月27日火曜日

G7の行方(1)?:ビアリッツG7サミットで何が議論されたのか


多国間で問題を共有し解決を目指すはずのG7サミットであるはずだったが、相変わらずトランプ大統領の「自国第一」に振り回され、世界が進むべき経済の「持続可能性」、政治課題の「多様性」に一歩でも踏み込んだのだろうか。

新聞報道では多国間交渉より二国間交渉を重んずるトランプ流外交は各国の個別会談を重視、全体会議での成果は期待できず「首脳宣言」も早々と議長国であるマクロン大統領は放棄したが、急遽たった1枚ではあるが「共同宣言」を作り上げた。

しかし全体に個別会談が目を引いた。日米貿易交渉ではトランプ大統領も原則論で満足したのかトランプ、安倍の共同記者会見までやってしまった。しかしその細部は9月の首脳会談まで継続審議なのだ。

今一番世界が注目する米中貿易摩擦では肝心の中国がメンバーでないために首脳会談も開かれず紛争はエスカレートするままだ。

今世界に共通する課題は、グローバリゼーションの見直し、アフリカ諸国、中南米諸国の独裁圧制政権による難民移民問題、そして何かあると米:ロシア、中国の構図は何の解決策にもならない。

グローバリゼーションは自由経済圏の構築、米国流経営が世界を席巻し巨大企業を生んだが、貿易の不均衡、格差拡大、政策に阻害されていた国民が立ち上がりポピュリズム政党の台頭となった。

トランプ大統領は対中貿易赤字で米国の利益を中国に持っていかれたという。米国民の格差拡大、失業、産業の衰退対策で中国に高関税をかける米中貿易摩擦を生み出した。中国も高関税に高関税で対応、米中関係は泥沼化し、いまや世界経済の減速をもたらす事態にまでなってきた。

各国も国内経済、景気減速リスクに対応するために中央銀行は「利下げ」、「金融緩和策」に逆行するが金融政策で今の経済に対応することは無理だ。

米中首脳会談が必要であるがG7には中国が入っていない。これでは解決の糸口は見えない。

グローバル化の代表的成果はEU圏の構築だろうが、貿易面はいいとしても政治面で問題をさらけ出した。加盟国自体の主体性が失われ、国内景気対策もままならず、財政出動もEUから財政再建を要求される。緊縮財政に対して国民の不満は高まった。

英国のEU離脱は国が主体性を失ったこと、統治の二重構造への国民の怒りだった。

そしてアフリカ諸国からの難民の受け入れにも加盟国の考えはまちまちでドイツのメルケル首相は連帯政権がうまくいかず求心力を失い辞任が近い。

また政策から阻害されてきた国民が立ち上がりポピュリズム政党の台頭は既成政党と連立政権を組むほどになったが、協調が崩れると連立政権も崩壊し首相が失脚する事態にもなる。イタリアの首相がそうだが、今回は出席していた。G7メンバー国では初めての事態だ。

英国の離脱は、それに続く加盟国も出てくる危険があり、マクロン大統領はEU改革を打ち出しているがマクロン大統領自身の支持率も下落しているという。

アフリカや中南米新興国での独裁政権による圧制は、国民を生活苦に追い込んでまで何を求めているのか。自国民が難民となって他国へ脱出する姿をどう見ているのか。

独裁政権に対抗する政治グループをアメリカが支援すると、それに対抗してロシア、中国が現政権に肩入れする。民主政治:共産主義の構図だ。これでは解決できない。

国連安保理常任理事国も国際紛争の解決ができないのは常に米:中国、ロシアの構図があり主導権争いをしているのだ。悪いことにクリミア問題はロシア、東シナ海、南シナ海での近隣諸国との争いは中国、紛争の当事者が常任理事国ではどうしようもない。

だから、先進国での協調路線をアメリカが乱すことは、そこの隙間をついて中国、ロシアが楔を打ち込むのだ。

ロシアはクリミア問題で経済制裁を受け、国内経済は停滞、プーチン大統領の任期も落ちているが、中国の習首席の人気は高く、カネに物を言わせての強引は経済援助は「債務のわな」問題になり、今回のサミットでも世界標準ルールの適用が話されている。

トランプ大統領は次回からロシアを復帰させようとしているが、むしろ中国が加わるべきではないか。中国抜きの世界の安全保障はありえない。

トランプ大統領も二国間交渉を優先するが、アメリカは従来「同盟国」の支持の上に主導権を行使できていたが、今は同盟国関係をなんとも思っていないのか。 

NATO、在日米軍、在韓米軍などへの軍事費の負担増を要求している。フランスのマクロン大統領は、欧州で独自の軍を作るといってトランプ大統領から批判を受けている。日本も年間多額の負担をしているがトランプ大統領は在日米軍の意義を誤解している。何も日本の安全保障のためだけに存在しているのではないのだ。アメリカにとっても意義は大きいのだ。

二国間交渉はデイールしやすく、けん制し、相手方から譲歩をえることは容易かもしれないがグローバル化を見直すといっても多国間での交渉は世界の問題を解決するには基本である。

トランプ大統領が何時、自分の考えが間違っていたかを悟るか。来年のG7マイアミ・サミットか。




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