2019年8月2日金曜日

ポピュリズム、経済成長、金融緩和で間違った常識にとらわれていないか


今日の朝日新聞(2019.8.2)を読んで、欧州で台頭する左派ポピュリズムの台頭、経済成長、そして各国中央銀行が金融正常化から緩和へ逆行する動きに今までの常識に囚われすぎていないかと思う。

目に付いた記事は「経済気象台 「経済成長の果て」」、「10年ぶりに米利下げ 世界に緩和の波」、「「山本太郎という現象」新時代を拓く実験委期待」だ。

「経済成長の果て」では、執筆者が英国を旅行して英国の「落ち着きと豊かさを感じた」という。英国は今、EU離脱で混乱と衰退ばかりが目に付き「終わった国」と見られているがそうでもないという。

そのギャップは「成長パラノイア」というキーワードにあるという(河北稔・大阪大名誉教授)。先生によれば経済が右肩上がりに成長しなければならないという頭で考えると、実現できなければ衰退と悲観するのだという。

これは日本にとっても言えるのだ。人口減少、競争力低下、構造改革の遅れが中国のGDPと比べても1/3で経済衰退のイメージを強めている。でも日本の1人あたりのGDPは中国の2.6倍で豊かさを見えなくしているのは「成長パラノイア」だというのだ。

英国民は成長がもたらした豊かさを享受しているが、日本は強迫観念に追い立てられているとしたら間違ったビジョンと政策の責任だという。まったく同感だ。

今、各国は2%物価目標を目指している。本当に2%が必要なのか。中央銀行の仕事は金融政策を通じて物価の安定を図ることだが、2%に達しないが1%台で物価は安定しているのではないか。なぜ、上げることが難しい物価を無理してでも上げなければならないのか。

FRBパウエル議長は米中貿易摩擦など世界経済の先行き懸念から予防的に10年振りに利下げをするという。米国経済は堅調、雇用も好調といわれながら物価上昇が進まないことも理由に挙げられている。

日銀は依然として異次元の金融緩和を継続しているが世界各国の中央銀行も利下げに舵きりした。経済不安が付きまとえば市場は中央銀行に緩和策を要求する。トランプ大統領も自らの米中貿易摩擦で世界経済が混沌としてきたのに、0.25%の利下げだけでは不足だと大統領選に向けたアピールをする。

「より長期間、より低い金利を保つ」ことを狙っているようだ。

でも市場の期待にこたえて緩和すると株価は上昇、投資家は潤うし企業は巨大化する一方で、経済成長力は衰える。IT革命で賃金は伸び悩みインフレは強まらない。

また、政治面では欧州では左派ポピュリズム政党の台頭で政権も不安定になっているようだが、日本でも「れいわ新撰組」の山本太郎現象もポピュリズムの日本版と見ていいだろう。

「山本太郎という現象」の中で水島治郎・千葉大教授はポピュリズムの訳語の使用が間違っているという。本来ポピュリズムとは「既存の政治が人民を置き去りにしていると主張すること」という。左派とは「下からの政治」。つまり左派ポピュリズムとは「政権から疎外されていた人たちがボトムアップで政策を訴える」ことなのだ。

ポピュリズムというと極左あるいは極右勢力の台頭で政治も危なくなると思っていたが決してそうではないのだ。「人民第一主義」なのだ。

山本太郎さん率いる「れいわ新撰組」は2人の重度障害者を特定枠で当選させた。このほかにも落選したが各分野で疎外されていた人たちが立ち上がるきっかけを作った功績は大きい。他の野党が触手を伸ばすのも当然だろうが、職業政治家ではなく、働く者たちが政治活動に足を踏み入れることは大事なのではないか。

政治、経済成長、金融緩和で常識を覆す動きを大事にしたいものだ。

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