今日の新聞、読売新聞(2019.7.12)「FRB金融政策枠組み見直し」と朝日新聞(2019.7.12)「投資透視 日銀の物価目標は妥当か」で、2%物価目標が達成できない理由とFRBで枠組み見直しが検討されていることを知った。
日本でも2%物価目標採用の根拠について、国会予算委員会で野党の前原議員が安倍総理に「どうして2%なのか」と質問した時に安倍総理は「2,3,4%と専門家が数値を上げているが、一番達成しやすい2%を設定した」と答えたために前原さんは「その程度の根拠なのか」と驚いて「今後も追及する」と言っていたがその後どうなったか。
2%はグローバルスタンダードとしてFRBは2012年に「2%」、ECBも「2%弱」、日本も「2年で2%」だった。
採用した金融政策は量的緩和策で市場に出回った国債、社債を買い入れ市場のおカネを増やす非伝統的金融政策で主流派経済学者からは「効果は薄い」と批判されていた。
その後、各国の中央銀行の金融政策正常化に向けての動きで日銀が遅れを取っていた。
FRBは2%達成、金融政策正常化に向け利上げに踏み切った。数次の利上げの後、米国経済景気下降を心配したトランプ大統領はパウエル議長に利下げを迫った。しかし、米経済の物価停滞を懸念し早期の利下げに言及、「日本のように後手に回らない」ようにするという。
ECBも緩和縮小から利上げを目指していたが断念したようだ。
日銀は「安定的に2%目標達成」を目指して異次元の金融緩和を進めているが物価は1%程度で成果が出ていない。達成時期も明言しないようにしていたが、2021年頃と言うが予測では1.6%だ。
日銀は無策で緩和継続、出口戦略も世界に遅れを取っていたが、今再び各中央銀行が緩和路線に戻ることを臭わせていることに少しは「ホッと」しているのではないか。しかし、「何かれば対応措置を取る」と言いながら「利下げ」の手段はなく、日銀の政策に行き詰まりを感じる。
そんなときの両新聞の記事は説得力があった。
朝日新聞では野村証券の西沢さんの見方だ。それによると今、消費者はアマゾンなどの通販の利用、スポーツ観戦チケット料金はその都度変更するダイナミックフライングで収益の極大化を企業は目指している。こういったシステムが「神の手」が機能する需給に応じ市場価格の仕組みができた。
多くの商品価格が低下する中で中央銀行だけがインフレを掲げてもいても金融政策は効果が出ず、副作用が顕著になってきた。今は「神の手」により価格は低下、インフレを抑制している。ここは原点に返り「政策の妥当性」を見直す時ではないかと提言している(同上)。
一方で読売新聞によると中央銀行側も、FRBが「金融政策の新たな枠組みを検討、インフレ目標政策の見直しを専門家会議で取り上げたという。
それによるとインフレ目標には①2012年にFRBが採用した「年間インフレ率」、②目標に達しないインフレ分を「埋め合わせ」する「物価水準目標」、③同じく一時的物価水準目標、④わかりやすい「平均インフレ目標」があるが、他の政策に比べて優位性があるという。
「埋め合わせ」は手法が難しく、市場から見て「わかりにくい」点があり②、③の導入は難しいとみる。
FRB は2020年前半に意見をまとめるというが「埋め合わせ」戦略の考えを取り入れながら具体的な目標値は明示しないとの見方があるらしい。従来よりは緩和的金融政策を思考するのではないかと見ている。
低インフレが定着し、将来の景気後退期にデフレにかかるリスクを防止するために枠組みを見直すのだ。
インフレ目標は安倍総理が考えていたように一番達成可能な2%ではないのだ。デフレの状況下でどうして無理にインフレを追及するのか。それが世界経済を混乱させていないか。
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