悪夢のような政権こそ安倍政権ではないのか。自分の失政がわかっており、また政権交代の動きを封じるために先に「悪夢のような民主党政権」と言った方が勝ちと見たのではないか。
確かに民主党政権時小沢さんと言う政治家の存在が権力の二重構造を懸念されていたがその通り「不安定な政権」になったが、さらに東北地方太平洋沖地震で福島第一原発のメルトダウンなど甚大な被害の対応を迫られ、政権に批判が集まったのも民主党政権にとっては不幸だった。
でも安倍政権のように民主主義政治の根幹を揺るがすようなことまでには至っていない。
旧民主党には優秀なブレーンがたくさんいた。そういった人たちが何故、自分たちの民主党政権時の批判を受けてばかりいるのか、何故反論しないのか。何か後ろめたいことでもあるというのか。
今回の参院選の争点は「年金問題」「100年安心して暮らせるか」「老後資産2000万円不足」「消費税増税」で、安倍総理が言う「憲法改正を議論する政党か、議論しない政党か」を問う選挙ではなさそうだ。安倍総理は「議論のテーブルにつけ」と言うが野党はスルーする。
当然だ。先の選挙では野党は「憲法改正反対」をスローガンに戦かったが、安倍政権与党は肩透かしし議論に上らなかった。選挙に不利と見たのだ。その結果大勝し、野党は惨敗した。
憲法改正を訴える割にはどうして獲得議席数を低く見ているのか。安倍総理は53議席、二階幹事長は63議席と言うが改憲に必要な議席数はグループで85議席と言う。安倍総理はすでに諦めて護身にかかっているのか。
新聞報道によるとある党首が街頭演説で「安倍政権になって暮らしは良くなったか」と問い非正規労働者は300万人、2人以上での貯蓄ゼロ世帯数が増加したと主張している。安倍総理は「この国から非正規と言う言葉を一掃すると言いながら2018年には非正規労働者数は84万人増の2120万人になったともいう。
そこで、民主党政権時(2012年)と安倍政権時(2017年)の各指標を比較したデータがネットで見つかった(参考 [データ-ニッポン]数値で見る民主党政権時代と安倍政権の比較)。
民主党政権(2012年)
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安倍政権(2017年)
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人 口
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1億2752万人
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1億2683万人
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高齢化率
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24.1%
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27.4%
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特殊出生率
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1.41
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1.45
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予 算
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一般会計
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90兆339億円
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97兆4547億円
現在101兆円超え
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社会保障関連
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26兆3901億円
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32兆4735億円
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公共投資
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4兆5933億円
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5兆9783億円
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税 収
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43兆9314億円
|
57兆7120億円
現在60兆円超え
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雇 用
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サラリーマン小遣
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39756円
|
37873円
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給与
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31万4127円
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31万5590円
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有効求人倍率
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0.83
|
1.55
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完全失業率
|
4.2
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3.0
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正規従業員数
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3340万人
|
3355万人
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非正規従業員数
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1813万人
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2016万人
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総雇用者所得
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28兆8760億円
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28兆1503億円
|
労働分配率
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72.3%
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68.8%
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暮 ら し
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消費支出(1世帯当たり/月)
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24万7651円
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24万2425円
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貯蓄ゼロ世帯
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26%
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30.9%
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生活保護世帯
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152万世帯
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164万世帯
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経 済
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平 均 株 価
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1023.36円
|
22939円
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為 替 相 場
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85円36銭
|
113円24銭
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長 期 金 利
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0.56%
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0.05%
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企業内部留保
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304兆円
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375兆円
現在 440兆円
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消 費 者 物 価
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−0.2
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−0.8
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長 期 戦 略
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GDP名目
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475兆3317億円
( 493兆円?)
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537兆3112億円
(549兆円?)
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1人当たり名目GDP
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46683ドル
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32480ドル
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個 人 消 費
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308兆722億円
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296兆3591億円
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長期債務残高
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932兆円
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1087兆円
現在 1100兆円超
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最近の数値を追加したがなかなか思うような資料にはならない。安倍政権時の年代が2017ではちょっと古いか。
当時、民主党政権は自民党政権の尻拭いをしているとぼやいていたが、自民党復帰当時も民主党の尻拭いをしていると同じことを言っていた。政権が代わってもなかなか自分たちの思うようにはできないのだ。
民主党政権では結果的に大風呂敷を広げた公約を掲げ、財源のめどが立っていなかったために次第に国民の信用を失っていった。200兆円もの国の予算だから10%ぐらいは無駄があるだろうと私も見ていた。節約すれば20兆円ぐらいは出てくると思っていたが、「事業仕分け」でもわかった通り大きな無駄は見つからなかった。
事業仕分けも財務省が選別した項目の仕分けなので、その効果も見通せず担当官僚がクドクド説明していたが「却下」判定でも後で復活する粗末で「事業仕分け」は国民に予算を身近なものとしたが、成果はなかった。
そして菅総理の時に3.11東北地方太平洋沖地震発生、津波被害は甚大となりあってはならない福島第一原発のメルトダウンと言う悲惨な事故が起きてしまった。当然ながら菅政権が陣頭指揮で対応したが、その不手際が問われて政局は「いつ解散総選挙か」という雰囲気になった。
野田政権で「前に進める政治」に取り組んだが、ついには党首討論で「明後日解散します」と発言してしまった。野田総理は「前に進むか、後退するかの選択選挙だ」と有権者に訴えたが、国民は民主党政権に飽きていた。
面白いことに今、安倍総理は「後戻りしてもいいのか」と同じことを有権者に訴えている。「あの悪夢のような民主党政権」を意識してのことだろう。
民主党政権と安倍政権での大きな違いは「リフレ派」経済学の登用になる。異次元の金融緩和で市場にカネをばらまけば、「当然円安になる」、そのぐらいのことがわからないのかと自民党の新人候補者も訴えていたほどだ。
民主党政権末期にも、日銀に更なる金融緩和策を要求したが当時の白川総裁は急激な緩和にはウンと言わなかった。ついには「日銀法を改正するぞ」と脅して日銀総裁を更迭した。
黒田総裁は安倍総理の異次元の金融緩和を推進し、円高(94円台)→円安(110円代)、株安(12000円台)→株高(20000円台)で日本経済は新しい局面に入った。当然に安倍総理の信頼は高まった。
その後、野党潰し、ポスト安倍潰しで安倍一強政権を築き、一見「安定政権」「安定な政治」に見えるが、その政治手法は強権政治で民主政治の根幹を揺るがす結果になった。安倍総理は自らの不祥事など目も向けず「安定した政治」を有権者に訴えている。
その集大成が9条に自衛隊を明記する憲法改正だ。安倍総理は「憲法改正を議論する政党か、議論しない政党か」の選択だともいうが、先の選挙まで野党は「憲法改正反対」を訴えていだが、安倍自民党は肩透かしを食わせていたのは何故だ。今回は野党がスルーすればいい。
他の政策はどうか。
アベノミクスの成果を感じない疎外された国民が多い。成長と分配、ローカルアベノミクスなどとうったっている。なかなか伸びない消費の拡大に賃上げを要求する。最低賃金は各党が1000~1300円、段階的に1500円にもっていく公約を掲げたが、中小企業は反対している。
社会保障関連予算は民主党時代では26.4兆円だったが今、19年度は34兆円、毎年1兆円の増加でいかにして増加を抑えるかだが、弱者に負担増、給付額の削減など生活は苦しくなる一方だ。
2018年の国民生活基礎調査でも「苦しい」と答えた人は58%に上り、年金だけの生活も50%、各党が低額所得者向けの生活補助策を訴えたり、年金の最低保証を訴えている党もある。
消費支出も2012年は24万7000円だったが安倍政権の2017年は24万2000円で5200円も下がっている。貯蓄ゼロ世帯は26%から31%へ、生活保護世帯も12万世帯増えている。
サラリーマンの小遣いも2000円減り、実質賃金指数も99.2から95.3に。国会で実質賃金が下がっていると質問された安倍総理は総雇用者所得は伸びていると反論していた。これは厚労省が統計を補正した実質賃金が⁺0.2%になったことで特に注目したが再集計では−0.05%、野党試算では−0.53%になったからだ。
労働分配率は72%から69%へ。
各指標は政党の政策から向上しているのもあるがそれぞれ成り行きで上がったり、下がったりもしているだろう。でも旧民主党の議員は民主党時代の成果をもっと強調し安倍総理の「後戻りしていいのか」に反論すべきではないか。
毎日新聞の「えらぽーと2019」に挑戦してみた。立憲民主、国民民主、社民で高い率が出、東京選挙区での候補者を絞ることができた。政党の公約で選ぶか、候補者個人の公約を重視するか。安倍政権にお灸をすえる良いチャンスだ。
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