2012年3月10日土曜日

「新しい日本を造り上げる」喫緊の課題に展望があるのか


「震災一周年、新しい日本を造り上げる」
野田総理の寄稿
ワシントンポスト Saturday March 10

野田総理! 展望があってのことか、見せかけなのか。野田総理が、目標は「新しい日本を造り上げること」と米紙ワシントン・ポストに寄稿し、喫緊の課題は「被災地の復興」、「福島原発の廃炉と被災地の除染」、「日本経済再生」の3つを上げたという(朝日新聞デジタル 2012.3.10)。

被災地の復興では、原発事故の影響、被害の規模と範囲が大きかったことから「進んでいない」とみている人が72%もいることが世論調査で分かった(読売新聞 2012.3.3)。復興に向けて政府は予算化をしているが、予算執行が遅れているし、自治体の思うように使えない不便さがあるようだ。3.11を前にしての大震災検証番組でも被災地の自治体に自由度がないことが指摘されている。

中央で査定することを止めて自治体にまかせることが、政治主導ではないかと思うのだが官僚は譲らないようだ。ここを改善すれば政権にとって評価が変わってくると思うのだが・・。

福島第一原発の廃炉と被災地の除染は、これから続く政権にとっては至上命題であるが短期間で解決する課題ではない。被災地の復興を考えると除染は最低限の条件であり、またアウターライズ地震の心配もあり、福島第一原発を早くかつ少しでも安全な状態にすることが必要ではあるが、目に見えない放射能汚染との戦いは言われている以上に困難を極めている。

デフレ脱却、復興需要、消費税増税などによる財政再建での日本経済再生を目指しているが、経済状況の回復を前提とした消費税増税論争は政権与党内で賛否二分する政局になりそうな雲行きだ。増税反対のグループも「増税議論することはよいが、今の経済状況では反対だ」と主張する。

ところが、消費税増税一辺倒の野田総理は、国会審議でも「増税は景気を悪化させないか」という質問に真正面から答えられない。切れ目のない予算化で復興需要が増し経済は好転するとみているようだ。2015年の消費税10%の後は、矢継ぎ早に2016年末までには更なる引き上げが法案に明記されるという。

国民に直接信を問うていない野田総理が、次々に繰り出す政策課題がうまく推進されるかどうかは疑問が残る。

更に、最近1週間の新聞報道での法案‘政策の行方を見ても気が遠くなるような政策が目白押しである。

国税庁と日本年金機構を統合して年金の取りっぱぐれを防止すれば年間12兆円(消費税5%分)が入ってくるとして、歳入庁の創設が検討されているが、財務省は抵抗しているようだ。

TPP参加の交渉の協議に入ったというが、これも賛否両論、交渉は長引きそうだ。投資先の国の政策で被害を受けた時に、巨額の賠償を求めることができるISDS条項の取り扱いがどうなるのか。

消費税増税関連法案は、まず政権与党内での合同総会での事前審査がどうなるか。2年続きの赤字国債発行のための特例公債法案に野党は予算案との一体を主張し反対している。

辺野古移設問題も沖縄県と平行線だ。それに米軍再編計画の見直しが持ち上がってきた。米軍は移転費などの日本の肩代わりを要求しているようだが、裏取引なしでやっていけるかどうか。

北方領土問題で、ロシア大統領は「引き分け」で解決しようとしてきた。2島返還では誰も納得しないだろう。当然4島返還になるがロシアがどう出るか。自民党政権もてこづったが、民主党政権ではどうなるか。

「子ども手当」も存続を巡って野党との駆け引きが続く。野党は従来の「児童手当」に戻ることを主張したが、マニフェストでの名称に拘った政権は名前を「子どのための手当」を主張したが「児童のための手当」になりそうだが、公明党が反対している。

一方、消費税増税の懐柔策として挙がってきた、議員歳費を10%以上削減する国会議員歳費法規制案、国家公務員の人件費を2割削減する行政改革実行法案、公務員採用削減、80人の国会議員削減などが上がっている。

国会の予算委員会での質疑を聞いていても主張の仕合であって妥協点など見つからない。

この閉塞感を打破するためには解散・総選挙しかないが、野田政権が負け戦に出るとは思わないが、消費税増税と引き換えの「話し合い解散」の可能性も流されているが、民主党政権が大義である消費税増税を取って、政権の座を離れるということか。美談のようにも聞こえるが、我慾の国会議員がそれで大人しく引くか。
これからの政局に展望があるのか、はたまた見せかけなのか。

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