2012年3月27日火曜日

超緩和的金融政策の副作用に警鐘?


日銀・白川総裁の講演を伝える
読売新聞 2012.3.26
超緩和的金融政策に警鐘か。25日のYOMIURI ONLINEで「積極的な金融緩和策、副作用も・・日銀総裁が警鐘」の記事が目についた。今、国会では日銀の量的緩和不足を追求され、日銀は渋々実施しているように見えたが、決して今のようなゼロ金利政策、量的緩和が好ましいとは思っていなかったので読んでみた。

今、世界中で物議を醸している債券購入による「量的緩和」は金融政策の切り札となりえる有効な手段かどうかについて議論するために、各国の中央銀行のトップがワシントンに集結し、FRB(米準備制度理事会)主催の会合で、日銀の白川総裁が講演した。「積極的な金融緩和には副作用と限界がある」というのだ。

それによると、バブル崩壊後の積極的な金融緩和政策は必要としながらも、低金利が続くと、金利負担が軽いため借金返済の意識が薄れ、家計や企業の財務の健全化が遅れるし、企業投資の健全さも失う。国にあっては、財政の健全化が遅れる。低金利であふれた投資資金は原油や穀物などの投資にまわり、商品市況が高騰するという。何やら今の世界経済の歪んだ状況を言い当てているようだ。

ところでここ数年の超緩和的な金融政策を中央銀行のトップはどう考えているのか。

米・セントルイス地区連銀のブラード総裁も、ここ数年経済を支援したが常に適切とは限らない超緩和的金融政策について、過度に傾注することに慎重な姿勢を示した。米経済、ひいては世界経済に弊害をもたらす可能性があるというのだ(朝日新聞デジタル 2012.3.26)。

一方、米国FRBのバーナンキ議長は、世界恐慌を顧みて恐慌を長引かせたのは性急な金融引き締めだったとして、「あまりにも早く政策を逆転させないこと」と指摘し、暗に金融緩和を続ける意向を示したという(朝日新聞デジタル 2012.2.26)。

米・FRBの役目は、物価の安定と雇用の確保がある。3月27日の讀賣新聞でもバーナンキ議長は、最近の労働市場の改善ペースが続くことに確信を持つことができないとして金融緩和政策を継続することを表明している。

高い失業率を押し下げるには追加刺激策が必要と主張する総裁がいる一方で、失業率とGDP伸び率の関係は、景気悪化局面では明快だが、景気拡大局面では混乱するもので、高い成長は必要ではなく、ある程度のプラス成長で十分だとする考えもある。
経済政策、金融政策に、これといった確固たる政策があるわけではなさそうだ。「過去の事例から、あの時にこうやったが失敗したので、今回はこうしてみよう」式の政策ではないか。

ゼロ金利政策は、日銀にとって抵抗があるのではないか。何時だったか、日銀が金利上げを決定したが、景気悪化(?)ですぐに金利を戻した苦い過去例がある。ゼロ金利は政策の自由度を大きく制限するものであるが、仕方なく継続しているのだろうか。

日銀がとった量的緩和も、不十分ではないかと国内で批判を受けているが、白川総裁はこれに反論し、日米の取った政策は非常に似ていると強調して見せた。確か、白川総裁は以前、金利が極めて低い水準で低下すると、「流動性の罠」の状態にかかり、金融の量的指標では金融の緩和度を測ることができなくなるコメントしていた(デフレ脱却に向けた日本銀行の取り組み(日本記者クラブ講演)。

ゼロ金利が長期的に見て良いはずがないことはわかっているが、一体どうすれば消費が伸び、物価が上がり、雇用が創出し経済成長へのサイクルに乗ることができるのか。何が経済成長の足を引っ張っているのか。

国会では、更なる量的緩和を要求し日銀総裁に迫っているが、日銀総裁の経済の現況分析は妥当ではないかと思える面もある。

未曾有の経済に、従来型の政策を当てはめて結果が芳しくないというのが、今の中央銀行ではないのか。どうしても解決を政治に求めるようになる。

でも、各国の政治が不甲斐ない姿を現すから、市場、消費者は希望が持てなくなる。

企業家の「モノづくり」に期待し、支援するしか方法はないのか。

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