2012年6月8日金曜日

消費税増税修正協議の前に日本財政をどう見るのか


消費税増税修正協議の前に国家財政について国民のコンセンサスを得る必要はないか。そもそも増税は、プライマリー・バランスの改善、社会保障と税の一体改革、年々伸びる社会保障費の安定財源の確保として上がってきた政治課題だ。背後に国家財政の危機的状態の回避策として、広く平等に国民に負担を強いる政策なのだ。

ところが、その国家財政についていろんな見解が示され、場合によっては言われているほどの緊迫性はないのだ(勿論、財政健全化は必要なのだが)。

一番シビアな見解は財務省だ。2012年末で政府債務は対GDPで219%、先進国では最悪の状態、資産を考慮した純債務でも対GDPで135%で当然先進国一悪い(財務省HPより)。

新聞報道によると、財務省が発表した「国の財務書類」では、2010年度末で負債総額は1043兆円、資産は625兆円で、債務超過は417.8兆円だという。10年度は民主党政権が当初予算から編成に携った初年度であるが、マニフェスト実現の費用や地方交付税が増え、41,7兆円分の財源が足りなくなるという。

一方、青山学院大学の榊原教授は、日本の国債残高は900兆円に近づき、いずれ近いうちに対GDP比200%を超えることに留意しつつも、金融資産はグロスで1400兆円、ネットで1100兆円を超えること、需給の状況から見れば国債マーケットは極めて安定的に推移しており、日本国債格下げは非常識と怒っている(朝日新聞 2012.6.5)。

欧州債務危機が世界に波及しそうな中で、4~5年以内の消費税増税は必要だと説く。在野のエコノミストの見方は、日本の財政はもう少し余裕がありそうだ。

しかし、6月17日のギリシャのやり直し総選挙で反緊縮派が優勢でもなろうものなら、ギリシャのデフォルト、ユーロ離脱でギリシャ発の6月危機の可能性があるというのだ。これは日本にも計り知れないインパクトをあたえるという。クルーグマン教授は世界恐慌に突入するというのだ。

何やら手の施しようのない世界経済を描くことになる。

ここに来て緊縮財政1点張りだった世界の潮流は、成長路線も加味されるようになってきたのだが、野田総理、岡田副総理、藤井民主党税調会長、財務省などは緊急性を主張し、与野党合意をめざし、今国会中の採決を目論んでいる。勿論、増税一辺倒ではなく、経済成長政策も遅ればせながら組み込まれてきたのだが、財政政策は行き詰まり状態だ。

当然のことながら、中央銀行、日銀、ECB,FRBの更なる金融緩和に、大きな期待はできないと中央銀行の総裁は警告する。

市場の好感を得られる政策はなさそうだ。

そして、増税にあたっては「景気条項」が設けられ、税率引き上げの最終判断をどうするかが国会でも議論された。安住財務相は、名目3%、実質2%は前提目標ではなく、努力目標だと答弁している。

政府は、特に民主党政権はあくまでも「増税ありき」の国会審議なのだ。


ところが不思議なことがある。正確なことは覚えていないのだが、安住財務相がIMFかどこかに数千億ドルの巨額な資金を供出すると発表したことがある。世界経済の危機回避のためとはいえ、世界一並外れた借金国でありながら、どうしてそんなカネがあるのか。お笑いである。


財務省は国民に向かっては先進国一の借金国で財政健全化のため増税を国民に強いろうとしながら、自分たちのいい顔をするために巨額の金を使っている。


一体どこにそんなカネが眠っているのか。外為か何かの特別会計らしい。


まだ時間的余裕はある。増税を言う前に日本の国家財政の現状をどう考えるか。まともに考えてみようではないか。





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