読売新聞2012.6.21 |
成長と雇用の行動計画が採択された。従来からやっている金融緩和政策で効果があるのか。メキシコ・ロスカボスでのG20サミット・首脳宣言で、「持続可能な成長が最優先事項で、成長を支え信認を回復し、失業を減らすためのあらゆる必要な政策を採用する」と謳い緊縮財政一辺倒でなく経済成長を促す姿勢を明確にした。
行動計画でも「先進国における財政健全化のペースが回復の後押しにとって適切となることを確保する」とも言う(以上 讀賣新聞2012.6.20夕刊)。
ギリシャの総選挙、フランス大統領選で反緊縮、経済成長の動きが出てきて、財政再建に加え、成長政策を加味せざるを得なくなった。
米国でも市場は現行の金融緩和 の強化策を延長するとの見方が強い 朝日新聞 2012.6.20 |
日銀の金融緩和政策でも、実質ゼロ金利で伝統的な政策を展開する余地はほとんどない。そのために日銀は非伝統的な政策を実施している。いわゆるCP,社債、株式などの金融資産の買入れで基金の規模は来年で70兆円になるという。日銀白川総裁に言わせると毎月金融緩和を強化しているというのだ。
それにもかかわらず、日本を含め先進国の経済は力強い成長軌道には乗っていない。
詳しくはわからないが、資産の買い入れで、金利は低下し、企業の資金調達コストも低下する。贅沢な資金供給は金融市場を安定化させるというのだ。
しかし、この日銀の資金供給もゼロ金利のために日銀の当座預金に積み上げられ、企業の投資行動につながらないようだ。
事実、日銀の白川総裁が講演などで紹介するのは、企業経営者は手元資金に不足していない。不足しているのは仕事の量であり、需要なのだという。日本経済の問題点は資金不足ではなく、ビジネスチャンスや成長の機会が乏しいというのだ(デフレ脱却へ向けた日本銀行の取り組み 白川総裁の日本記者クラブ講演 2012.2.17)。
白川総裁は、過剰な金融政策への期待は禁物だとし、成長への構造政策が必要だという。
丁度、朝日新聞(2012,6,20)の経済気象台「量的金融緩和論者に問う」でも量的金融緩和が本当に有効な政策かどうか検証する必要があるという。
それによると、量的金融緩和論は量的金融緩和→物価上昇→円安→輸出競争力強化の流れだが、物価上昇の実現可能性は少ないし、企業に資金供給しても期待利潤率の高い事業がなければ投資行動は前向きになりにくい。大部分の企業の手元現預金は十分にあるが、投資すべきビジネスがみあたらいのだという。
日銀は金融面から下支えをするが、成長力をどうやって強化するかだ。
成長率=[労働力人口の伸び率]+[労働生産性]だ。労働力人口は高齢者や女性の就業の機会を増やすことだ。労働生産性は労働のミスマッチを回避し、ニーズの高い財やサービスへシフトし、賃金や利益を上げていかなければならない。
今の成長率は、労働人口の伸びが-0.3%、労働生産性は0.8%として成長率は0.5%、日銀の言う0%台前半だ。
もうひとつ、デフレ脱却で国会でもよく議論になるのだが、マネタリー・ベースで考えると日銀の流通紙幣量が欧米中央銀行に比べて少ない。もっと流通量を増やせと追求されている。しかし、日銀は対GDP比で考えると先進国では一番高いと主張し、かたくなに拒否する。コストダウン、賃金安が影響しているとでも言うのか。
とにかく財政再建しながら成長路線に持っていかなくてはならない。金融面を日銀が支えるとして、後は政府の政策だ。財政出動をどうするか、財政出動なしでの成長路線というと輸出の振興か。そうするとTPP参入などが重要な課題になってくる。
菅政権の時の新成長戦略を作成したが、9割で効果がなかったという。おそらく官僚の政策をならべたのだろうが、官僚に頼ってもどうしようもないのだ。
もっと国会で真剣に成長戦略を論じ、経済界を巻きかまなければならない。財界は規制緩和、量的金融緩和をオウム返しに訴えてばかりいてはならないのだ。
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