2012年6月24日日曜日

国連持続可能な開発会議(リオ+20):乏しい成果は当然の結果


読売新聞 2012.6.24

ブラジル・リオデジャネイロで開催されていた「国連持続可能な開発会議」(リオ+20)が、成果が上がらないまま22日閉幕した。20年前にもこのリオデジャネイロで地球サミットが始まった。この時、政府関係者が「国内問題も満足に解決できないのに、こんな会議がうまくいくとは思えない」と言った発言を思い出す。その通りに進んでいるのだ。今回も政治的立場の人間は「会議は成功」というが、環境団体などの失望は隠せないようだ。

讀賣新聞(2012.6.24)によると、具体的な目標や政策がなく、「成果には程遠い結果」だという。

国際会議での成果に反して、気候変動(大気中の二酸化炭素濃度)、生物多様性損失速度、大気中から人工的に取り出される窒素量、海洋の酸性化では地球は限界を超えているとストックホルム大のヨハン・ロックストロム教授はいう。これからは経済発展ではなく、「安定的な地球」を最優先すべきなのだ(読売新聞2012.6.19)。

3つの分野で地球の限界を
超えていると言う
読売新聞 2012.6.19
また、人間がこのままの生活を続けるには地球が1.5個必要だとも言われている。

会議の目標は現在70億人いる世界人口が2050年に90億人になっても発展出来る社会をつくることで、その手法としてグリーン経済がある。

この持続可能な開発手法の一つであるグリーン経済は、石油など化石燃料の使用を減らし、環境関連産業を育成し、低炭素社会を築くことらしいが世界共通の工程表が作れなかったのだ。

地球温暖化防止のための二酸化炭素削減もそうだが、科学的検証も不十分なままに政治が絡んでくるとややこしいことになる。20年前に、このリオデジャネイロで地球サミットが開催された。確かに当時は政治的課題もなく、この地球サミットに政治家が集まり注目を浴びようとした。日本からは総理経験者の竹下さんが出席したのだ。

目指すは地球環境保護と途上国の発展を両立させる世界の枠組みつくりだったが、先進国と発展途上国の思惑の違いとCO2排出量の多い米国、中国、インドなどの不参加で効果が疑問視された。当然のことで、先進国はすべての国の参加を主張するが、途上国はまず先進国からの削減を主張し対策は先送りだ。

今回も中国は「大きな途上国」と言い出し、地球環境問題では先進国が特別な責任を果たすべきだと言い出す始末で、途上国は先進国からの支援を期待する。日本は60億ドルを提供する羽目になった。

世界的規模での環境問題解決には政治が絡まなければうまくいかないだろうが、逆に政治が絡むと自国の経済発展との兼ね合いで協調路線など期待できない。

20年前の環境サミットで政府関係者が「国内問題も満足に解決できないのに、こんな会議がうまくいくはずがない」と言ったことは真実なのだ。

環境問題は、パッと出てきて、そのうちに下火になり次のテーマに移ることを繰り返してきた。そしてそのたびに利害関係者が変わってくる。原子力ムラが問題になっているが環境でも環境ムラがあるようだ。

今、東京ビッグサイトで開催されるイベントを見に行くと、エコカー、電気自動車や太陽光発電を使ったスマートハウス、スマートコミュニテイーなど環境配慮の提案が目につく。

政府は白熱球の製造を中止し価格は高いがLEDの採用を促している。ある試算によるとすべての照明をLED に変えたら原子力発電13基分に相当するというから驚きだ。

太陽光発電も、売電量ではなく発電量での買い取り価格が42円になったということで注目されるようになった。補助金を加味するとペイするというのだ。皆で自然エネルギーへ負担しようと私も毎月の電気料で5円ほど支払っている。でもこんなことがいつまで続くのか。買い取り価格が減額されると収支も違ってくるのだ。

環境問題に政治がどう対応しようとも日常生活での無理のない廃棄物削減、省エネに努めればそれなりの効果は出るのではないか。無理な施策は長続きしない。

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