米情報を 避難に活かさず 朝日新聞 2012.6.18 |
福島第一原発事故に関連し、米エネルギー省から提供されたモニタリング「放射能汚染地図」が活用されず放置されていたことは原子力安全・保安院の無責任さ、許しがたいミスどころか、不作為責任があるのだ。
朝日新聞(2012.6.18)によると事故直後、米・エネルギー省が福島第一原発から半径45㎞の範囲を米軍機を使ってモニタリングし、放射能汚染地図を作成、在日米大使館→外務省→原子力安全・保安院、文部科学省に伝えられたが、どういう訳か官邸や原子力安全委員会には伝えられなかった。その結果、近隣住民は放射能濃度の高い地域へ避難する結果になった。
避難住民は、公表されていれば避けることができた高濃度の放射能を被爆したのだ。
18日の原子力安全・保安院の記者会見で「今考えれば公表すべきであった」と言う。しかし、緊急時対応センターの放射線班には伝わったが、同じセンターの住民安全班には伝わらなかったという。公表しなかった理由については、今調査中というだけでコメントがなかったようだ。
あきれたことだが、自らの業務について検証できず、国会の事故調査委員会に判断をゆだねるそうだ。当事者意識の薄さを曝け出す結果になった。
そういえば思い出すこととして、事故直後、米政府から協力支援の申し出があったが、当時の菅総理は「まず、日本がやるべきだ」というメンツだけで申し出を断ったニュースが流れていた。
そういう官邸の考え方が官僚の行動に影響していたのだろうか。しかし、国民の生命、安全に関することだ。そんなことに影響される問題ではない。
改めて原子力安全・保安院の業務を調べてみた。
原子力災害発生時の住民としての対応で、次のように要望されている。
原子力災害発生時の国、自治体から出される情報を正確に入手し、落ち着いて行動をせよという。万が一事故が発生しても健康に被害を与えるほどの量が放出されるまでかなりの時間がかかるともいう。
今回、国は正確な情報を迅速に住民に示したのか。自前データに拘ったために決定的なミスを犯した。
原子力安全・保安院の行動規範も立派だ。強い使命感、科学的・合理的な判断、業務の透明性を高めるために情報公開に積極的に取り組み、説明責任を果たすともいう。
果たしてもらおうではないか。情報公開に積極的でなかったこと、何故住民に伝達されなかったのか。
原子力安全・保安院は、原子力ばかりでなく、高圧ガス、鉱山、火薬など守備範囲は広いが、今回の不作為責任は許しがたい行為で糾弾されなければ反省などしないだろう。
前の原子力安全・保安院長が業務上過失傷害罪で民間団体に告発されているようだが、他の職員の不作為責任をも追及すべきだ。
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