これからの政治の要ともなる民主党・輿石幹事長の続投が余りにも簡単に決まった。輿石さんが「お任せします」と言ったかどうかは知らないが、野田総理の要請を受諾した。しかし今の民主党の最大の課題はこれ以上離党者を出さないことへの配慮との見方が多いが、政権与党の幹事長としての責任は党内融和だけなのか。
今回の代表選での他候補の主な主張は、政策決定プロセスの曖昧さ、党運営の不明確さなど党内改革である。野田総理は責任を感じているようだが、党改革の動きは鈍い。
そして、分裂、多数の離党者を出すなど党運営の責任をどう考えているのか。「責任をとるのも政治文化」という者もいるが、民主党は責任をとらない生ぬるい緊張感に欠けた政党なのか。前原政調会長は「自分にも責任がある」とコメントだけはしている。
また、よく言われているように輿石幹事長の発言は野田総理とは面従腹背の傾向が目立ち、寧ろ政治不信を掻き立てる結果になった。
「近いうち解散は気にするな」、「3党合意はなかったこと」などの発言は3党協調を否定する発言で、野党から批判された。
もしかして、輿石幹事長がアドバルーンを上げて、世間の反応を見て、野田総理が最終的な判断を下す政治手法を使っているのか。それで野田総理が「決める政治」をやっていると強調したいのか。
来年の衆参ダブル選挙発言は、個人的な考えなのか、民主党内の大方の考えを反映しているのか。「近いうち解散」が延びて一安心ともなれば党内融和には役立つが、自民党、公明党は反論し3党合意も危うくなり政治は不安定になる。
幹事長たる者は、自党の状況に沿った行動、発言も大切であるが、政権与党の幹事長としては「政治を前に進める」重大な責任がある。
参議院はねじれ国会状態で、おまけに首相問責決議が可決した。参議院議員会長としても野田総理が手腕を期待しているのだろうが、どんな老練さで切り抜けようとしているのか。
今、政局で一番大事なことは相互の信頼関係だ。輿石幹事長は自民党の誰と信頼関係を築いて、この難局を切り抜けようとしているのか。
江戸城無血明渡は、西郷隆盛と勝海舟の信頼関係で達成できたことは有名な話であり、自民党・谷垣総裁も野田総理と信頼関係を築こうと努力したが、「近いうち解散」では裏切られる結果になり総裁選出馬も断念した。
野田総理は、政権与党の幹事長として輿石幹事長の続投を決めたのはどうしてなのか。国連総会出席という差し迫った政治スケジュールの中で、周辺に有無を言わせぬ決断であってほしくない。
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