2012年9月15日土曜日

どうなる消費税増税、民主は傷つき自民は無傷


財政再建、社会保障と税の一体改革で先行気味の消費税増税で民主党は大きく傷つき、同じ消費税10%を公約した自民党は無傷のまま、それぞれ代表選、総裁選を迎えたが、増税に対する対応には違いも見受けられる。

自民党は政権党だったこともあり所得税改正法の付則で消費税増税が記されていたために、2009年の総選挙で10%の増税を掲げた。一方の民主党は消費税増税の準備は出来ていなかった。

鳩山さんは「4年間は上げない」と明言したが、財務相経験者の菅さんは唐突に参院選で消費税増税を掲げ、自民党が言う10%を目安にすると言った。当然のことながら参院選は民主党が惨敗したが自民党は無傷で、国会はねじれ状態になった。

この時、菅さんは自民党も10%を掲げているのだから、選挙では同条件で民主党だけが不利になるとは思わなかったようだ。また財務省からは選挙で不利になると注意は受けていたが、何故か菅さんは強行した。

続く野田総理も一体改革、消費税増税に「政治生命をかける」と宣言し、先送りせず「決める政治」に突き進んだが、何しろマニフェストには記されていなかったために、当時のマニフェスト作成者で、党内最大派閥の小沢さんらが増税反対の狼煙をあげた。国会審議でも野党から「マニフェスト違反」で追及され続けている。

衆院では圧倒的議席数を誇ったとはいえ反対者も多く、野党の自民党、公明党との3党合意で成立を図ったが、党内の同志よりも野党を頼ったところに党内の分裂、小沢グループの反対者の離党そして新党結成となった。おまけに「国民の生活が第一」のキャッチフレーズまで持って行かれた。

この間、自民党は民主党分裂を目論み反対者の厳重処分、小沢さん切りを執拗に要求していたが、自民党だって増税賛成でまとまっていたわけではない。

民主党内には未だ造反者を抱え、何かあると更なる離党者をだすことを回避するために次期衆院選でのマニフェストのたたき台になる改革続行宣言では、「増税隠し」の手段に出た。

これを受け、私も先に野田総理は「増税前に国民に信を問う」と宣言していたので、消費税増税するのであれば公約に記すべきではないかと「消費税増税隠し:民主党は増税を回避するつもりか」という内容の記事を書いたことがある。

しかし、今回の代表選で野田総理は「消費税8%、10%を公約に明記する」と言明したが、野田総理と民主党執行部では増税に対する姿勢に違いがある。

当然のことながら、他の候補者からは政策決定プロセスの改革、党運営の民主化などがあげられ野田総理の党運営を批判しているし、マニフェストに違反する増税には反対の候補者もいる。

民主党は政権党だから国民の増税批判を一身に受けたのだろう。

日本再生を主張しているが、まずは党再生が先決だろう。野田総理も再選を目指しての工作と思われるが、代表選後に内閣改造、党人事を決行し立て直そうとしている。ということは、解散は任期いっぱいないのだろう。

一方、自民党は消費税増税で無傷だったが、総裁選では「時期が問題で、このデフレ下では増税には反対」という候補者もおり、経済状況がGOの判断基準になるのだ。

同じ消費税増税で民主党は深い傷を負い、自民党は無傷だったが、増税をGO判断する来年中頃は、どんな政権ができているのだろうか。意外に野田政権が続いていて解散と引き換えにGO判断をしたりすることになるのだろうか。

野田総理が「近いうちの解散」ができない時に、自民党は内閣不信任案を出すことになるのか。

讀賣新聞(2012.9.13)によると、日本記者クラブの公開討論会で記者の「近いうち解散」の質問に野田総理は「天地神明に誓って、時期については明示していない」と繰り返したという。

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