イタリアで政府担当者、政府機関専門 家らが有罪判決を受けたことを報じる 読売新聞 2012.10.23 |
イタリアで政府機関専門家、政府担当者らが適切な処置を怠ったとして、過失致死罪に問われた事件で注目すべき有罪判決が出た。人ごとではない。我が国の政治家、政府機関専門家、国家公務員らも襟を正すべきではないか。
読売新聞(2012.10.23)の「地震予知失敗 禁固6年」の記事によると、300人以上が死亡したラクイラ震災で、前兆とみられる微震が続いたにもかかわらず、住民への適切な警告を怠ったとして7人が過失致死罪で禁固6年(求刑は禁固4年)の実刑判決を受けたという。
微震が続き、大地震の恐れを指摘する専門家もいたが、「大地震の危険性は低い」と危険性を十分に警告しなかった責任が裁判所で認定された異例の内容だという(同上)。
我が国でも当てはまる。
3.11の東北地方太平洋沖地震のように大震災を起こすM9クラスの地震の発生はないと地震学専門家の定説になっていたが、地震考古学など他分野の専門家は巨大地震の可能性を指摘していた。
逆に3.11以降、何かが吹っ切れたように、巨大地震、巨大津波の予測が横行するようになった。それも責任回避のようにも思えるが。
東電福島第一原発の地震、津波も巨大津波も予測されていたが、東電経営者は無視したし、原子力安全・保安院、原子力安全委員会など政府および政府機関の専門家は何ら役に立つ働きはしなかった。菅総理の「爆発の危険は」との問いに、斑目委員長は「水素爆発はしない」と即答した直後に水素爆発を起こした。
メルトダウンの発生を隠したり、放射能汚染シミュレーションの結果も早期に公表せず、住民の避難に役立たなかった。政府担当者は後で、責任を追及され言い訳ばかりが目立った。
総理大臣を始め、政府の危機管理担当者も右往左往ばかりが目立つ危機対応だった。
「原発ゼロか否か」の論争では、原発の敷地内に活断層が走っているとか、浜岡原発では東海地震の想定震源域内に存在するとか、断層の評価が甘すぎないかなどが関連し、その再稼働などが議論されている。
政府関係者、政治家、政府関係機関の専門家の判断にその責任が重くのしかかっているが、新しくできた原子力規制委員会は安全性を検討するもので、再稼働かどうかは最終的には政府が判断するものだと責任のなすり合いをしている。
地震や原発ばかりではない。
政治の世界でも無責任さが目立つ。「近いうち解散」で時期を明示せず、政治を前に進めようとする野田総理であるが、本音は民主党の存命のための延命工作だ。野党との対立が続けば、「政治機能不全」になるが、偏に野田総理の責任である。
「解散時期は嘘を言ってもいい」という永田町の文化があるらしいが、政治は国民のためにあるモノだ。公明党の山口代表が「国民を馬鹿にしている」と怒っていたが当然の常識だ。
総理を始め政府関係者、国会議員、審議会の委員、政府関連機関・国立機関の専門家、国家公務員などそれぞれ自らの立場での責任と責務があるはずだ。
重大事故に絡めば提訴される場合もあるだろうが、裁判で責任が認定される事は稀だろう。
しかしそれだけの責任を持って、失敗すれば責任をとる覚悟が必要だ。辞任すれば済む問題ではない。
イタリアのこの判決は、異例の実刑判決で終わるのではなく、関係者の一人一人が襟を正す事を教えてくれる事件であるし、通説、過去の事例に拘ることなく反対意見にも耳を傾ける必要性も教えてくれている。
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