野田総理の首相所信表明演説全文を読んだ。「明日の安心」、「明日への責任」が各所に出てくる所信表明だったが、「今の責任」をどう考えているのか。今の政局打開への野田首相の責任は何なのか。
所信表明演説の「はじめ」と「おわりに」に、野田総理の本音が見えていたが、参議院での問責決議、与野党で対峙している「近いうち解散」にどう対応するのかは言及せず、停滞している国会を打開する自らの責任には触れず、国民に「明日の安心」、「明日への責任」を果たそうとメッセージを送っている。
今、雇用を守り、格差をなくし分厚い中間層に支えられた公正な社会を作り、今日よりも明日は必ず良くなると信じられる社会を作り「明日の安心」を生み出すという。
一方で、これから生まれてくる子孫のために原発に依存しない安心できるエネルギー・環境政策を確立するなど「明日への責任」を果たすという。
そのためには「決める政治」が必要だというのだ。
今、政局、権力闘争に果てしないエネルギーを使っていると野党を批判するが、民主党こそ分裂騒動、権力闘争に明け暮れ、民主党存続をかけた政局運営になっているのではないか。そしてそれが政治空白の要因にもなっている。
注目の特例公債法案が、「ねじれ国会」での政局第1か政策本位かの試金石になると言う。与野党の駆け引きは止め、一刻も早く胸襟を開き議論し成案に持って行こうではないかと提案している。
駆け引きで審議拒否を考えていた自民党は、審議に応じようと方針転換の姿勢だが、石破幹事長は内容を厳しき審議するという。会期1ヶ月、しかも審議時間に制限もある予算委員会で十分に審議できるというのか。
特例公債法案以外にも、野党が追求する課題は事欠かない。
野田総理は、主権者たる国民は政治の営みを厳しく監視し、「明日への責任」を果たす方向へと政治の背中を押してほしいと要望する。
本音は「野党の政治姿勢をどう見るか」と言うことだろうが、内閣支持率が18%(朝日新聞)、解散・総選挙を望む声も大きい今、野田民主党政権、民主党こそ批判されているのではないか。
そして、私たちの目前には国論を二分する複雑で困難な政治課題が山積し、ややもすると単純明快でわかりやすい解決法にすがろうとするが、極論の先に真の解決はない。ここは中庸を旨とし「明日への責任」を果たすべく、目の前にある課題に向き合おうではないかと国会議員に訴えた。
極論とは、自・公が拘る解散総選挙のことだろう。解散・総選挙といわず「決める政治」へ一歩進めようというのだが、野田総理に一歩踏み出す良案があるのか。
政権交代後、民主党の目指してきた社会の方向性は決して間違っていなかったと自己評価している。それは今を生きる仲間と「明日の安心」を分かち合い、子や孫たちに「明日への責任」を果たしていくという強い意志だという。
そして、その安心と責任を果たすのは今だといい、国会も建設的な議論の場になることを期待するという。
政治の流れを変えようとする姿勢はうかがわれたが、未熟な政権運営、党内抗争は「明日の安心」、「明日への責任」を果たすどころの問題ではない。
野田総理は「今の責任」をどう果たそうとしているのか。
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