2012年10月4日木曜日

民主党の「政治主導」って何だったのか、本当に無理なのか


ここに来て一度は放棄した予算編成を国家戦略局がやると前原・国家戦略相が言い出した。政権交代を目前に民主党が標榜した「政治主導」は何だったのか。本当に無理なのか。自民党政権時代の政権と官僚による思うがままの悪行が暴かれるのを目前に、民主党は「政治主導」を掲げ、多くの国民の支持を得て政権の座に就いた。私も期待したものだ。

政治主導の核は、国家戦略局だったが誰が担当するか。組織として動くには法制化が必要であるが間に合わなかった。それでも国家戦略相に菅さんが就任し一抹の期待は持てた。

ところが予算編成にあたって、どうしていいかわからず迷っていた菅さんを財務省の勝次官が訪ねて、「簡単です。紙一枚に書いてくれれば動きます」とアドバイスした。菅さんは渡りに船とその案に乗った時点で、政治主導を放棄したことになった。当時の藤井財務相が「予算編成では、財務省がノーハウを持っている」と胸を張ったシーンは今でも覚えている。

従来の官僚の利権が、民主党の「政治主導」に勝ったのだ。

また、官僚が力を誇る要因に事務次官会議があった。事務次官会議を通さない案件は閣議に係らない慣例があったのだ。自民党時代の安倍総理(当時)が、次官会議にかけられていなかた案件を閣議にかけて大問題になったことがある。官僚の抵抗は激しかったようだ。体調を崩したのも其のではなかったのか。

この次官会議は悪いことをしたようだ。国会で審議され成案した法案を官僚のいいように書き加えることもできたのだ。折角の改革内容が官僚により1行加えられることにより骨抜きになってしまったのだ。国会審議でそこを突かれた官僚が「いわゆる接続詞」だったと強弁した顔は馬鹿丸出しだった。

しかしこの次官会議廃止も、政治がうまく運ばない民主党政権にあって官僚の力を借りなくてはならず仙石さんが復活してしまった。

野田総理は財務省におんぶに抱っこの政権運営を繰り返している。財務省は与党は勿論のこと野党まで根回ししているのだ。

ところで、民主党にどんな政治主導があったのか。

菅さんはパフォーマンスと勘違いした。何でもかんでも自分が記者会見した。米国流に大統領が国民に話しかける姿勢はよいが、菅さんではパフォーマンスになるのだ。

民主党政権は、人気が落ちたり、閣僚に不祥事が出てくると総理や閣僚をくるくる変える身勝手な手段に出た。これだって悪しき政治主導だ。

中国大使に商社出身の民間人を起用した。しかし、尖閣問題で中国よりの発言をし顰蹙を買った。交代が予定されていたが次が決まらず延長になるようだ。これ以降、主要国大使は外務省が独占する手にでた。

政治主導とは官僚機構との戦いになる。

なかなか巨大な官僚機構を使いこなすのは大変なようだ。政治をやるにしても情報が必要であるが、その情報は一手に官僚が掴んでいる。悪く言えば、嘘の情報を言って政治を誤らせることもできるのだ。

そして、自分たちの利権拡大には何だってやってしまう。3.11東日本大震災の復興予算だって、被災地の要望は半分ほど聞き、ほとんどを官僚がやりたい事業に予算を付けている。廻りまわって復興に役立つ理由づけだからケシカランやり方だ。

復興予算は重要な予算だ。副大臣、政務官を多数だしながらどうして見破れなかったのか。遠回しの理由でも効果が大きいと思ったとしたらばバカとしか言いようがない。

財務省の力を削ぐために歳入庁構想もあるが、念仏程度に公約に掲げられているのではなかろうか。財務省寄りの野田総理が財務省が反対していることを理由に積極的に取り組まないのではないか。

民主党政権の中でも政治主導をしっかり確認しあった方がよさそうだ。

前原・国家戦略相が予算編成を国家戦略局がやることを表明したが、城島・財務相は相談しながらやるが、財務省の仕事だと主張する。

政権の中で重要な地位にある財務大臣たるものが、政治主導よりも、財務省の利権を擁護していては政治主導などできるわけがない。

政治主導を表に出せば少しは人気が回復すると思うのだが、野田総理では無理なのか。

[後記]
 読売新聞(2012.10.6)に「復興予算のムダ調査へ」と言う記事が掲載された。岡田副総理が復興予算のムダ使いについて政府の行政刷新会議で調査する方針を明らかにしたという。

行政刷新会議だって官僚の手がなければ何も出来ない。彼らに身内の非を暴きだす意思があるのか。大したことでない復興事業を上げて見直したというに決まっている。

確か昨日の産経新聞にも「復興予算にこんなものが」と言う内容の記事がトップ記事になっていたようだ。

官僚の思うままの悪行と民主党の副大臣、政務官の無能さを問題にしなければ政治主導もむなしくなる。

                        (2012.10.6)

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