2014年7月16日水曜日

集団的自衛権行使:いつまで続く「誤解されている」、「戦争はしない」、「丁寧な説明」・・・

集団的自衛権行使の話には必ず付いてくることに「理解されていない」「誤解がある」「戦争はしない」そして「丁寧な説明」がある。閣議決定されて初めての国会審議が開催された。NHK国会中継を聞いていてもそう言えるのだ。自公の質問者とは「やらせ質問」、野党とはまともに質問に答えず、自分の言いたいことを言うだけの実りの薄い質疑だったような気がする。

何故、2日間だけの審議だったのか分からないが、関連法案の準備をして実際の国会審議は春の統一地方選後になると言う。明らかにまともに審議し国民の判断をえる姿勢などまるっきりない。

現行平和憲法の第9条を守ろうとするも、「行政権は内閣に属し、行使に付いての最終的権限と責任は内閣が負う。だから内閣が憲法を適正に解釈する権限と責任がある」と言う内閣法制局はあてにならない。適正に解釈されていないから問題にしているのではないか。

一方、関西の自営業者が、閣議決定を違憲として裁判を起こすことにしたらしい。でも
最高裁だって当てにならないのだ。沖縄返還時に「密約」が交わされたことで、その密約を開示するよう求めた裁判で、最高裁は訴えを退ける判断を下した。民主党政権時の有識者委では「広義の密約はあった」とされ、米国でも公開されていた合意文書だが、最高裁は国民の知る権利を蔑ろにする判断を下した。

内閣法制局も最高裁も当てにならないのであれば、国民がしっかり監視すべきだ。

先の滋賀県知事選では、自公推薦の候補者が惨敗した。「地方選は国政に影響はない」とよく言う政府、自民党も今回だけは違って、集団的自衛権行使の閣議決定を敗因に上げている。

これからも益々必要になってくる国連の平和維持活動での自衛隊の役目、尖閣列島での中国への対応、朝鮮半島有事の際の対応など外交と共に自衛隊活動の強化による「抑止力」の向上が必要なのはよく分かる。

国民の半分以上は必要と認めている集団的自衛権行使が、憲法9条という高いハードルで行使できないのは問題ではないかと言って、憲法改正にかわって解釈見直しで対応しているのが安倍さんの考えだが、平和憲法を死守したい国民にとっては危険きわまりない総理になる。
思い出すのはアーミテージさんが過去に「ショー ザ フラッグ」と言ったことがある。アメリカと共に国際協力する時にアメリカ政府高官の言葉として、「日本は何をすべきか」の議論がわき起こったことがある。

日本の自衛隊が「日の丸」を掲げて紛争地へ出て行くことだろうと言われたものだ。

平和憲法に守られてか、私たちが生活するには集団的自衛権行使の必要性は分からないが、裏では自衛隊が海外で活動しているおかげでもある。

しかし、安倍総理は政治を担うに当てって、国際舞台で日本の地位向上には集団的自衛権行使、集団的安保が必要なのだろう。

オバマ大統領には尖閣諸島が日米安保の支配下にあることを認めさせた。ここは一気に日米同盟強化に行きたいところだろう。でも、閣議決定でガイドラインの見直しなど米政府では歓迎されているようだが、何故、オバマ大統領とは国際会議で一緒になっても会談が出来ないのか。

オバマ大統領は、逆に安倍総理を危険な総理とみていないか。そうだとしたら、安倍総理の政治姿勢は問題ではないか。

岸田外相は、憲法上、武力の行使が許容されるのは新3要件が満たされる場合に限るという。「国民の生命や幸福追求の権利などが根底から覆される明白な危険がある場合に限って自衛の処置を認める」というのだ。

何か、隠れ蓑になっているような気もする。

「何故、そんなに急ぐ」というのが大方の国民の見方ではないか。願わくば、安倍政権以外で国会審議をやって欲しいと思う。


2014年7月15日火曜日

滋賀県知事選:負けたのは自民党、では勝ったのは?

滋賀県知事選は三ケ日さん253,728票で自民・公明推薦の小鑓さん240,652票を破って当選した。負けたのは自公だが、では勝ったのはどこだ。そんな県知事選だった。自民党の石破幹事長は「負けたのには負けた理由がある」と反省するが、民主党は勝ったとは言い切れない。

投票前の大方の投票率40%台の予想だったが、60%には及ばなかったものの50%を確保した。県外に住んでいると今回の選挙戦の争点が分からないが、嘉田さんの地盤だから「滋賀の草の根自治」の勝利だったのだろう。

嘉田さんは一時出馬も考えたようだが、勇退を決めた。その代わりに「卒原発」を継承してくれる三ケ日さんを推したという。

一方の小鑓さんは、アベノミクスの立案者らしく、「アベノミクスの成果を地方経済へ」をモットーに戦ったのだろう。

しかし、如何にせん、知名度は低いうえに集団的自衛権行使容認の閣議決定、原発の再稼働など国政での安倍政権の政策にNOを突き付けた格好になった。「訴えが浸透しなかった」と小鑓さんは残念がる。

よく自民党、政権が言うことに「あくまで地方選、国政に影響はない」という。

都知事選でも国政での政策が争点に挙げられた時にも言われたが、今回は何故か、そういう発言は見られなかった。安倍総理、石破幹事長、菅官房長官らは集団的自衛権の閣議決定を敗因に挙げた。

でも、大きな争点は「卒原発」だった。

福井県にある電力事業者との間での安全協定を見直し、滋賀県も立地自治体並みの同意条件を求めると、三ケ日さんは記者会見で述べた。多重防護がない限り再稼働は認めないというのだ。

嘉田さんは「琵琶湖が放射能に汚染されると、湖水を飲料水に使っている関西圏に大変な事態が発生する」と原発に反対した。

最近の選挙は、負けた理由は分かるが、勝った理由が分からないことも多い。

楽天の前監督だった野村さんは、「負けて不思議な負けなし、勝って不思議な勝ちあり」と言うし、江夏さんは「敗因は誰でも分かるが、勝ったときに何故かをしっかり考えるべきだ」といった。勝負の世界に生きる人の貴重な言葉であるが、選挙も言えることだ。

今回は海江田さんも応援に入れないほど「民主隠し」の選挙だった。民主党は、しっかり勝因を検証すべきだ。

これから安倍政権にとっては厳しい県知事選が待っている。普天間移設問題での沖縄県知事選、原発再稼働、復興問題での福島県知事選だ。

重要な憲法解釈見直しを安易に閣議決定するなど危険極まりない政権運営が続く。国政選挙がまだ先であれば民意を反映させるのは、この県知事選だ。

勝った理由が分からないような選挙であっては困るのだ。





2014年7月13日日曜日

少子化対策も成長戦略:若者の非正規→正規へ、年収168万円→300万円へ

少子化対策が最優先の成長戦略課題になってきた。若者に増える非正規労働者を正規労働者へ、年収168万円から結婚、子育てが可能になる300万円へ政府、企業がどう対応していくか。人口爆発で成長の限界が言われ、出生率抑制政策がとられていたが、ここに来て人口減でいろんな社会システムの維持が困難になってくることが分かり少子化対策が喫緊の課題になった。

出生率抑制はうまく行ったのだが、今度は止まらないのだ。政策上のコントロールを考えていなかった。

このまま放っておくと4600万人に激減し社会システムの維持が困難になるので、取り敢えず1億人維持に焦点を絞った。900に近い自治体がやっていけなくなると言う。出産、子育て人口の若い女性が減ることが要因らしい。地方都市ばかりでなく、東京も区によっては、ご多分に漏れないという。

政府は少子化対策で、子ども手当、待機児童のゼロを目指した施設の拡充、保育士の待遇改善、若い母親支援政策などを掲げているが、若い女性が満足する内容に至っていない。

少子化対策で一番重要なのは、若者が結婚し子育てできる雇用、年収改善が必要なのだ。政治のウェートも大きいが、企業に意識改革が出来なければ少子化対策に有効な手立ては出来ない。

景気は回復しているという。有効求人倍数は22年ぶりに1.09倍、完全失業率は3.5%でこれも16年ぶりに低い数字だという。

しかし、問題は「雇用の質」だ。米国の雇用者が28万人増加し、失業率も6.1%までになり米国経済の好調をメデイアが伝えていたが、同時に非正規労働者の割合が増加していることも懸念していた。

国際協力銀行の渡辺総裁も米国の雇用の質が悪くなっていることを指摘していたが、日本についても失業率は改善しているが不安定な就業がまだ多いという(読売新聞2014.7.12)。

非正規労働者の割合が36%、仕方なく非正規になっている割合は20%で、25~34歳では30%になると言う。同一労働同一賃金が叫ばれているが国税庁の調査では、正規労働者の年収は467万円であるが非正規労働者の年収は168万円(男性は225万円)だという。

非正規労働者の未婚率は2004年の45.5%から75.6%に上昇している。若い男性が結婚したくても結婚できない社会状況なのだ。

いろんな調査があるだろうが、結婚、子育てには年収300万円が一つのラインになっている。雇用を安定させ非正規労働から正規労働へ、年収も168万円から300万円へ。

将来、優秀な労働力の再生産をしなければ国内経済は破綻してしまう。その付けは企業に跳ね返ってくるのだ。

今、安倍政権は法人税下げなど企業優遇策を先行させ、規制緩和で海外の企業を国内に誘致しようとしている。岩盤規制へ風穴を開ける「ドリルの刃」となると言ってみたり、「アベノミクスで悪魔を倒す」と海外で威勢の良いことを言っているが、海外企業が来ないのは法人税の問題ではなく、日本市場に需要がないと言う理由だったと思う。

製造業は人件費、海外市場対応で生産は海外に移転してしまった。それに関連する下請けも海外へ出て行った。トヨタの社長は「トヨタは日本企業だから国内生産を維持する」と殊勝な事を記者会見で言っていたが、本社機構、社長も海外へ移住する企業も出ているのだ。

「企業の儲けは誰のものか」という事になる。

今問題になっているのは、「人余り」から「人手不足」だ。当然所得にも変化が起こるだろう。日銀のさくらレポートでも、建設業は人手不足、資材高騰に直面、自動車も期間工、パートが集まりにくくなってきたというし、サービス業などでは非正規労働から正規労働へ切り替えている。

「雇用のミスマッチ」もあるので職業訓練の必要性も言われている。経済学では衰退する業種から成長する業種へ労働力はスムーズに移行すると教えられたものだが、年配労働者も含め、そんなにうまくは行かない。

少子化にいろんな手が打たれているが、要は若者(特に男性)が安心して(?)結婚出来る雇用(非正規から正規)、所得の確保(300万円)にかかっているのではないか。


政府の政策もさることながら、企業経営者の意識改革が必要だ。

2014年7月12日土曜日

7月12日4時21分、福島県沖地震M6.8、震度4:地震予測的中? 津波警報も出る

気象庁 地震情報
2014.7.12
7月12日朝4時21分頃、福島県沖を震源とする地震が発生、東北、関東、中部の広範囲で震度4を記録、地震予測も的中、津波警報も出された。朝起きてラジオを入れると津波警報を報じているので急いでNHKテレビに切り替えると1mの津波予測と「海岸に近寄らないでください」と繰り返していた。

私の住んでいる東京・大田区では震度2だから寝ていても感じなかったのだろう。

震源域は福島県沖で、いわき東140kmだから、3.11東北地方太平洋沖地震の日本海溝に近い場所だ。深さも10kmで浅い。今までもこの辺では地震が頻発しているが、津波が発生するのは10~20cm(予測では1m)とはいえ珍しい。

気象庁は3.11の余震で今後1週間はワンランク下の地震が発生する可能性を警告し
ている。

同じ時間帯で日本各所で揺れている
気象庁「最近の地震活動」から
Tenki.jpで調べると、福島県沖を震源とする地震で規模の大きいのは最近では、7月12日 M6.8,7月5日 M4.5,6月27日 M4.8,6月16日 M5.8,6月7日M4.0が発生している。

国が警戒している福島県沖地震はM7.4で、30年以内の発生確率は10%、200年間隔で発生しているという。今回も地震の規模から見ると小さい。

この辺では何時発生してもおかしくないと言われた宮城県沖を震源とする地震があるが、3.11の東北地方太平洋沖地震ですでに動いたのではないかと言う説も出ている。

ところで、いつも問題になるのだが、今回の地震を予測している機関があるかどうか調べてみた結果、2件の予測の情報が見つかった。

一つは、「大地震の予知と天変地異」によると、2014年7月11日倉敷でM6後半の規模の帯状地震雲を観測したと言い、発震場所は3カ所想定されているがその一つに福島県~宮城県~岩手県の沿岸沖一帯が含まれている。

2つ目は、Hazard Labの6月18日発表の「地震予測情報」で、福島県沖で牡鹿半島の南東192km(実際にはいわき東140km)、M5~6(実際にはM6.8)、予測期間6月18日~7月17日(実際には7月12日)になっている。
実際に的中していると見て良いのではないか。ただ信頼度レベルがD(低い)となっているだけだ。


どういう技術で予測しているのか知らないが、注目すべきではないか。

Hazard Labの「地震予測情報」
2014.7.18発表
的中しているのではないか

3.11のアウターライズ地震としてM8クラスの巨大地震が心配されている区域だ。明日なのか、数十年先なのか分からないところに対策の難しさがある。

2014年7月11日金曜日

企業への納税強化:経済界の減税要望が国を破綻に導かないか

国の破綻を回避するためには企業、経済界が要望する減税よりも企業への納税を強化すべきではないか。安倍政権は成長戦略と財政再建は車の両輪だと言う。アベノミクスの成果を急ぐ余り安倍政権は第3の矢の成長戦略及びその見直し案を出すが、市場の反応は鈍く、評価の指標である株価は15000円台を彷徨う有様で、これではダメと思って次々に企業優遇策を繰り出す。

復興特別法人税を1年前倒しで廃止し企業は喜んだ。ついで経済界からの要望も強かった法人実効税率の下げだ。現在の35%(東京)を25%まで下げるというのだ。当然税収減は約5兆円、代替財源が直ぐには見つからず数年で20%台まで落とすまで譲歩した。

当初麻生財務相は財務省の意向をくんで、「70%以上の企業が赤字で税金を納めていないのに法人税下げが効果があるのか」と反対したが、安倍総理の熱意に負けて「代替財源が見つかれば」と賛成したようだ。

安倍総理は「法人税を下げる代わりに、賃上げをしろ」と経済界に迫った。

米倉会長は、法人税下げで企業にカネが残る。それが賃上げに回せると考えたようだ。でも国民は消費税増税で負担を強要されているのだ。

今春闘は一定の効果があったと政権は評価するが、実体はそうでもなさそうだ。

朝日新聞(2014.7.11)の「経済気象台」によると、今年の賃上げは7300円で2.28%になるが、物価の上昇、消費税増税で家計には大きな負担になっている。所定内給与は0.2%増(5月)、消費者物価指数は前年比4.4%増だから所定内給与はマイナス4.2%だ。

アベノミクスで円安、株高、金利も低金利を維持、税の下げで企業に所得移転が進んだ(同上)。

逆に、企業の儲けを家計に再配分するシステムは整っていない。前川レポート、21世紀版前川レポートでも内需拡大には企業の儲けを家計に再分配することが必要と提言されていたが、企業側の同意を得られなかった。

経済界が企業に益する税制を要求ばかりしていると国を破綻に導くのではないか。
よく言われていることに、実効税率35%は世界で2番目に高い税率で海外企業の日本進出の壁になっているというのがある。

でもある調査によると、需要がないのであって法人税が高いのは下位の理由だという。

各省庁が別々に減税するので全体の税体制が分からなくなるが、実際には日本の法人税はあれやこれやを勘案すると35%ではなく、20%台になっており更に下げる必要はないというのだ。

欠損金(赤字)を次年度以降に繰り延べる制度、海外子会社の配当金を非課税、研究開発減税は1兆円に上り、減価償却制度の見直しは5000億円になるという。

課税拡大では、赤字や経営難でも納める外形標準課税の拡大で税負担を広く薄くすることだ。以前、石原都知事時代に銀行に外形標準課税を課したことがある。国がやれないことをやった実績は評価出来るが、一部訴訟を起こされたと記憶している。

中小企業への優遇対象企業を減らし、課税を強化することも出来る。

そして政府の税制調査会で話が出ていたが、租税特別措置法の全面的見直しだ。

課税ベースでの税制改革を言うと経済界は法人税下げを要求から下ろすかもしれない。それだけ租税特別措置法は企業優遇税制度なのだ。

驚くべき記事が日刊ゲンダイ(2014.5.20)に掲載されていた。「軽すぎる大企業の税負担」の記事で、法人税引き下げが必要かと主張している。

それによると、トヨタ自動車は過去最高の収益を上げているが、納税は6年ぶりで税負担率は18.5%、みずほFG 0.2%、三菱UFJFG 0.3%、事業拡大を続けるソフトバンク3.7%、京セラ、武田薬品が23.7%、ゴーンさんの報酬の高さが注目された日産自動車が33.5%、久保田が34.5%だ。

住友商事、ソニー、セブン&アイは払ってさえいないと言う。その理由は様々な減税策があるからだと言うのだ。

政府税調も手をこまねいているわけではなさそうだ。

6月25日の法人課税専門調査会で法人税下げの代替財源として租税特別措置法見直しや中小法人への課税強化を盛り込んだ法人税改革案を了承した。

政府税調が、どの程度思い切った見直しをするか。自民党の税調との駆け引きが激しくなるだろう。党が口出しすると選挙が念頭にくる。国が破綻しても選挙が大事か。

おねだりばかりの経済界ではなく、今度は自ら経済再生に向け実績を示すべきではないか。長く経済同友会の代表幹事を務めた品田さんのような気骨のあるリーダーが出て来て欲しいものだ。


政党政治:亀井静香さん曰く「政治とは「良い権力」で政策を実現すること」?

政治とは、「良い権力」を作って政策を実現することか。久しぶりで亀井静香さんを見た。朝日新聞(2014.7.9)の「政党政治を問い直す」の新聞紙上だ。そこで亀井さんは「権力を握って主張を実現してこそ」政党政治なのだという。

亀井さんは自民党で要職につきその名を知らない人はいない重鎮だったが、小泉さんの郵政民営化に反対し総選挙ではライブドアの若き社長が刺客として送り込まれ、かろうじて(?)議席を守った。

その後国民新党を結成したが弱小政党で選挙の度に勢力を減らし綿貫代表さえ落選する始末だ。

その後、日本未来の党、みどりの党に加入したが、いずれも失敗し今、無所属だ。

その経験から、いくら良い政策を掲げても、有権者は目先の利益のことを優先する。長い目で見てみんなの利益になることには、なかなか耳を貸してくれないとぼやく。

野党再編で政党の離合集散が続くが、大体は失敗する。政策がぴたっと合っても同士的結合がないから闘う前に負けが分かっていたというのだ。

先に衆院選で小沢さんの生活の党と嘉田滋賀県知事、亀井さんで「日本未来の党」を作った。その時、亀井さんは確か1億円以上の選挙資金を提供したと新聞に出ていた。嘉田さんが「これで小沢さんからバトンタッチですね」という2人の会談がテレビで流れていた。

しかし、亀井さんと嘉田さんは選挙前会ったのは、たったの10分だという。政党の離合集散、新党結成もそんな物かと驚く。これじゃ勝てるはずがない。案の定、大事なときに小沢さんは雲隠れし打ち合わせなど出来ない状態が続いたようだ。嘉田さんは「こんな人だったのか」と嘆いていたが、そんな事は誰だって知っていることだ。

亀井さんは、小沢さんのことを「良い権力者」とは思っていない。

自民、社会、さきがけの3党で政権を作るとき、亀井さんは社会党の村山委員長(当時)に「大事なことは良い権力を作ること。小沢から権力を奪い取ることだと思わないか」と言ったら村山さんも「その通りだ」と言ったそうだ。

小沢さんは、今では弱小政党「生活の党」の党首だが、今までは常に政治の世界で権力を握った。しかし、ことごとく失敗し折角の政権交代も権力の二重構造、党内ゴタゴタで政権の座から降りた。

亀井さんの言う「良い権力」とは、「良い政権」のことで国民のために政策を推進する政党政治だ。

今までの政権を振り返って、そんな政権があったか。

何で登場したのかよく分からない小渕政権、金のばらまきで「日本一の借金王」と言ったほどだ。その後、密室で選ばれた森政権へたらい回しが始まる。「神の国」などの発言で辞任、小泉政権が始まった。

政財官の癒着構造が批判されると見ると「自民党をぶっ壊す」「小泉政権に反対する者は抵抗勢力」と打って国民の人気を集めた。ライフワーク(?)の郵政民営化は自民党に衝撃が走った。賛否を問う総選挙では反対者には刺客を送り込み、yesかnoの二者択一を迫った。

このとき、郵政民営化に反対する亀井さんに、刺客としてライブドアの社長(名前は忘れた)が送り込まれ若者中心の選挙運動を実施した。メデイアは小泉劇場を煽り、選挙期間中の注目選挙区になった。

都会では又違った結果が出ただろうが、広島の田舎選挙区だ。長年支持者を固める亀井さんが勝った。

小泉さんの後、安倍さんが総理となり第1次安倍政権が出来たが、体調を崩し途中で政権を投げ出した。

その後、本格政権として福田政権になるが、自分では総選挙は戦えないと辞任し、麻生内閣へたらい回しが続いた。「解散・総選挙」管理内閣だったが、リーマンショックで経済対策が優先し、1年後に解散・総選挙になった。

自民党政治に飽きた国民は、この辺で一度民主党に任せてみてはどうかというという気運が高まり民主党が政権の座に着いた。権力者・小沢さんの功績は大きかったが、民主党が野党時代は若手・中堅議員が国会審議で自民党政権を追求する姿は頼もしい限りだった。

民主党最初の鳩山政権はひどい政権だった。政策はくるくる変わる。小沢さんとの権力の二重構造に泣かされたが、ツートップの政治資金規正法違反容疑は共に引責辞任しなければ民主党政権は持たなかった。

続く菅政権は、市民活動出身と言うことで期待も多かったが、東北地方太平洋沖地震、それに続く福島第一原発のメルトダウン事故の処理をめぐり国民、被災者の不満が高じた。「イラ菅」と揶揄されたが本領を発揮したようだ。「解散・総選挙は何時か」と野党から問われたが、次々に新しい政策を打ち出し先延ばし戦略に出た。

最後になった野田政権は、海外では一定の評価を得ていたようだが、国内では「何時解散/総選挙」、「近いうち」が決まり文句になった。そして国会改革、衆議院議員数削減等を自民党がのめば「3日後に解散します。呑みますか」との党首討論になり、解散に言明した。攻める自民党・安倍総裁は「解散するんですね」と驚きを隠さなかった。

党首討論らしい状況を見たが、野田さんからすると自民党に裏切られた感じだろう。

そして、解散・総選挙で与党民主党は敗北し、野党自民党が圧倒的多数の議席を確保し、第2次安倍政権の誕生になった。

安倍さんは円高、株安対策に、日銀総裁を更迭してインフレターゲット、異次元の金融緩和策をとり、その経済政策はアベノミクスと言われるようになった。

経済再生への大きな評価を得て、安倍総理は次々に成長戦略、財政再建策を打ち出したが、閣議による憲法解釈見直しを可能にしたことで支持率を落とす事になった。

公約にない政策を恣意的に進める安倍総理に多くの国民が違和感を持ち出した。いつまで持つのか。「驕る安倍総理久しからず」だ。

亀井さんは、「良い権力」を作ることが重要だと述べたが、政党にいるからこそ連立、連携の声がかかるのであって、一人ではそういうチャンスはないという。

今、野党再編が叫ばれているが、政策の一致と共に、国と国民に命をかける覚悟のある奴が一緒になってやるのが基本だという。

亀井さんは、良い政策を「良い権力」(良い政権)で進めて行くことが大事だと言っているようだ。小沢さんとくっついたり離れたりの政治から学んだ教訓あのだろう。

今の自民党も肝に銘じるべきだ。

2014年7月10日木曜日

驕る安倍総理久しからず?

驕る安倍総理久しからず? 公約にあるなしを問わず、人事にまで手を突っ込んで自分のやりたい政策を押し通す「危険な総理」の体を表してきたが、近づく滋賀県知事選では自民党候補者が苦戦する結果になり自民党は大慌てだという。

特定秘密保護法では国民との情報の共有の問題、集団的自衛権では閣議で憲法解釈が変更できること、法人税下げでは代替財源の確保もしないままでの大企業優先の税制など圧倒的議席数の物を言わせた安倍総理の驕りを垣間見ることが出来る。

内政ばかりでは物足りないのか、積極的平和主義、岩盤規制への風穴にドリルの刃となると言ったかと思えば、今度はアベノミクスで悪魔を退治すると外資の日本進出を誘う。

中国、韓国に対しては包囲網を構築し、集団的自衛権と共に抑止力を高めようとする。我が国では当然と思っても、相手国は日本の戦力強化を警戒する。

アベノミクスで日本経済を立て直そうとした当時は円高→円安、株安→株高で経済も息を吹き返した。自民党は一致団結して安倍総理を支持する結果になり、安倍総理も自分の総理の座を脅かすであろう人間を閣内に取り込み押さえ込んだ。

インフレターゲット、異次元の金融緩和では日銀総裁を更迭、集団的自衛権では法制局長官を更迭、北朝鮮問題(?)では最高裁長官人事に口出しした。言論界にも手を出し偏向報道を理由にNHK経営委員、会長人事にも影響力を行使した。

こんな総理は経験したことがない。

そして総理に対する不信感は、集団的自衛権行使での憲法解釈見直しを閣議でやってしまったことだ。久しぶりに国会周辺が反対運動で賑やかになった。集団的安保と言うことまでなると昔なら学生が国会を取り囲む事態になったと思うが、今の学生は無関心なのか。

こう見てくると、今後安倍総理にとってはマイナス要因が多く、プラス要因はほとんどない状態で、「驕る安倍総理久しからず」の感が強い。

マイナス要因としては、滋賀県知事選に続く沖縄、福島両県知事選だ。辺野古移設問題が争点になるだろうが、仲井間さんが立候補しようとしている。当初反対していたのが急遽賛成に回った裏には何か裏取引があるのではないかとみられている。仲井間さんの健康も心配だ。大きく書いたペーパーを体を前後に揺らしながら棒読みしている姿に大丈夫かと心配だ。

原発の再稼働は、経済にとっては重大な問題だ。電気料金の値上げ、電力会社の経営にも大きく影響する。自然エネルギーの拡大は買い取り価格で電気料金の高騰を招いているドイツが参考になる。

安倍総理はアベノミクスの評価を株価で見るという。20000円まで上がるだろうと言われている株価も今は15000円台だ。今の株は欧米の経済状況に大きく左右され、安倍総理が海外で発言しても株価には影響しない。

言わんや、今までやってはいけない事であった年金基金を株に投資しようとしている事だ。国民が拠出した年金基金をアベノミクスの評価のために株に投資し株価を上げるなんて姑息な手を使っている。

支持率も下落傾向だ。朝日新聞では40%台、読売新聞でも50%台で安倍総理にとっては気がかりなのだろう。安倍さんの出身母体の派閥の長である町村さんが「支持率の下落を気にせず、長期政権を築け」と激励している。

確かにメデイアの世論調査に右往左往することはないが、政権の命運は世論調査にかかっていることも事実だ。

マイナス面はまだある。

具体例が提示されても曖昧な集団的自衛権行使については、関連法案の審議が必要になるが統一地方選での影響を避けてそれ以降の審議になるらしい。安倍総理は常に「丁寧な説明」と言うが、国民への真っ正面からの説明を避けている。

消費税8%から10%への決断もある。増税での反動は想定内と言うが、本当のところはどうなんだ。軽減税率では大いに揉めそうだ。

インフレ2%が達成出来るのか。しかも好循環でのインフレだ。日銀は達成に自信を見せているが未達なら日銀総裁、副総裁は首だ。逆に悪循環でのインフレは総理に責任がある。

失業率の改善が見られると言うが内容はどうなんだ。正規従業員より非正規従業員数が伸びているという。少子化対策とも関連するが、若者が結婚し、子どもを育てるに十分な所得を得ることが重要だが、経済界の意識改革も先決だ。

企業の儲けを家計に再分配する課題は、前川レポート、21世紀版前川レポートでも指摘されていたことだが、うまく行かなかった。その要因は企業家の意識なのだ。

おねだりばっかりの経済界の期待に応えようとすると減税になるが、財政再建も重要な課題だ。今度は経済界が何が出来るかを提案すべきだ。

安倍政権は当然のことのように経済成長と財政再建は両輪だと言う。財政出動で経済成長へ持って行き、税収増で社会保障も潤うのが一番理想ではあるが、そうはいかない。

今、税収は46兆円を越えようとしているがこの税収増を社会保障に持って行くか、経済成長に投資するかは政権の力関係だろう。税制中立を考えるとどちらにも投資と言うことになる。

政治は大企業、富裕層のためにあるとは言われているが、安倍政権も定石通りだ。しかしそれで「アベノミクスを津々浦々まで」とは虫が良すぎる。

そして、来年9月の自民党総裁選だ。

滋賀、沖縄、福島県知事選の結果を見ることになるのだろうが、安倍さんでは選挙は出来ないと言うことになれば対抗馬が出てくるだろう。今考えられるのが石破さんだ。

先の総裁選では1次選では本命と言われながら2次選では自民党長老の支持が得られず敗退した。そこで国会議員の比重を落とす規約の改定をしたようだ。これで石破さん優位になるか。

自民党も派閥の存在感は希薄になってきた。入閣順送りが破滅したために派閥の長の権限も弱くなった。

安倍総理も恣意的政策を強引に推し進めようとすると国民は離れていくのだ。