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3月22日午前11時40分
の日経平均株価
2012.3.22 東京証券
取引所にて |
為替、株価は投資家のムード次第なのか。長く続いた円高、株安が急に円安、株高に転じた。景気変動の反映する株価は7000円台から10127円08銭(22日)へ、円相場は83円台に。75円台での1月末の9兆円の借金による数次の単独為替介入で78円台まで円安に動いたがすぐに円高に動いたが、あれは何だったのか。経済環境が何か変わってきたのか。
私も幾つかの投資信託をやっている。銀行に「どうなんだ」と確認すると、「ギリシャに始まる欧州の政府財務問題で芳しい運用ではない」という。ECB(欧州中央銀行)の金融緩和の動きが出てきたためか、配当金も入れると黒字になったので一つを解約した。毎日毎日新聞やテレビで経済ニュースを見てヤキモキするのが嫌になったからだ。
また、2月14日の日銀の更なる金融緩和と1%のインフレ目標(?)の設定でデフレ脱却、経済成長に日銀は本気で取り組む姿勢を見せたことも大きい効果があったのではなか。以前からエコノミストや国会で指摘されていたことではあるが、日銀は渋々重い腰を上げた結果が、良い(?)方向に向いたことにもなる。
私もNYダウは12、000ドル、東証は12、000円、円相場は100円がとりあえずの経済環境ではないかと思っていたが、NYダウはすでに13、000ドル台であるが、日本の株価は08年秋の12、000円台にも戻っていない。円相場は83円台となっているが、菅前総理が財務相に就任した時、「望む円相場?」ときかれ「90円台半ば」と答え顰蹙を買ったことを覚えているが、政府の経済無策で容赦ない円高が続き、日本経済は空洞化が進んだ。
日本の投資家は、昔は企業を長い目で育てる姿勢だったといえるが、6割が海外投資家で占めるグローバリゼーションが進むとともに、プログラム化されたコンピューターによる高速取引でチョッとした政治、経済ニュースで円相場、株価が大きく動く現象が続く。
確か十文字屋証券だったと思うが、グローバリゼーションとコンピューター取引についていけないということで廃業をするというニュースを新聞で見た。老舗で証券界をリードした証券会社だというから時代の趨勢なのだろう。
現在、私たちは多くの情報から判断を要求されている。経済指標では住宅ローン、雇用統計、消費者物価指数、失業率などの指標が民間市場予測と政府の公式発表とで上向いているか、下向きかで敏感に影響するが、民間予測が、どの程度の正確さで政府発表の数字と比較できるのかは疑問だ。
デイ―ラーは、いろんな指標、各国の政治事情、ユーロ圏の動向、イランの国内事情、市場にあふれる資金の動き、原油、食糧などの情報、更に格付け会社の国債格付けなどから
チョッとした動きを掴んで、短期に利益を出す対応を考えているのだろうが、それに振り回されるのも迷惑な話だ。
寺田虎彦博士がその随筆集「1つの思考実験」で、「今の世の人間が自覚的あるいは無自覚的に感じるいろいろな不幸や不安の原因のかなり大きな部分が「新聞」というものの存在と直接関係を持っているように思う。あるいは新聞の存在を余儀なくし、新聞の内容を供給している現代文化そのものがこれらの原因になっていると言った方が妥当かもしれないが・・略・・私はあらゆる日刊新聞を全廃することによって、この世の中がもう少し住み心地のいいものになるだろうと思っている」と記している。
今、新聞やテレビを廃することはできないが、世界の証券取引所を1~2回/週の開きにしたらどうか。ちょっとした悪いニュースも時間をおけば改善したり、投資家の頭を冷やす場合も多いのではないか。その都度、為替や株価がチョコチョコ変動することを回避できるのではないか。
新聞報道によると、東証は新規上場企業の減少に歯止めをかけようと、上場を増やす営業活動を強化すると言い、経済の再生を助けるというが、今のような株式の在り方では企業を育てることなどできないと思う。
経済は投資家のムードに動かされる。今の政治は投資家にどう映っているのか。
23日の参院予算委員会の国会中継を聞いた。民主党川上議員が「日銀に何を期待し、何をすればよいか」で、1ドル100円、株価15,000円を達成するために、更なる金融緩和を求めて政府、日銀に迫っていた。
日銀はデフレ脱却→経済成長が大事で、成長力を強化し、金融を支えることで政府と日銀は問題を共有している。2月に金融政策、3月に成長力の強化を支えたが、「効果があったかどうか」と聞かれれて、白川総裁は「今まで5回の金融緩和は局面が、それぞれ変わっているが、政策は効果があると思ってやっている」と答弁した。
そして、「投資家はリスクを取っていくことに転じた」と言う。
市場は、リスク・オフからリスク・オンに転じて、今の円安、株高が出現したのだ。新聞を開いて、ニュースが経済に与える影響をしっかり考えなければならない時なのだ。